車両運動統合制御システム「S-AWC」が悪路での走りをレベルアップさせる
三菱自動車は2025年12月18日、デリカD:5の商品改良版を発表した。「東京オートサロン2026」にタイミングを合わせ、2026年1月9日に発売する。新型はオールラウンドミニバンとしての走行性能を高めるとともに、エクステリアデザインを一部変更。インテリアにも手を入れて魅力を高めている。

現行モデルのデビューは2007年と聞いて驚いた。2019年にダイナミックシールドと呼ぶ個性的なフロントマスクが与えられてイメージを一新しているが、それでも2026年で丸7年である。少しも古さを感じさせないのは、デザイン力と、技術の進化や市場のニーズに合わせてアップデートを繰り返しているからだろう。
デリカD:5は2024年に現行モデル(2019年型〜)発売以降最多となる約2万2000台を販売したという。2025年はこれを上回るペースで販売しているというから、人気のほどがうかがえる。しかも、(2024年の)売れ筋は最上級グレードのP(26%)と、Pをベースにした派生モデルの特別仕様車、CHAMONIX(シャモニー、52%)とBLACK Edition(9%)。この3機種で全体の87%を占める。「高いのを買っておけば間違いないんでしょ」ということらしいが、デリカD:5にはそういう思考にさせるだけの魅力があるということだ。
では、最新のデリカD:5に施されたアップデートのポイントを見ていこう。まずはエクステリアから。フロントは力強いダイナミックシールドの表情はそのままに、バンパーを変更。リヤも同様で、前後ともバンパー下端を切り上げるデザインとした。デリカの特徴である力強さと高い走破性をイメージさせるのが狙いだという。

リヤは従来、DELICAのロゴがガーニッシュの下に配置されていたが、新型ではガーニッシュに取り込んだデザインとした。これにより、リヤゲートパネルをよりシンプルにし、プレミアム感を演出している。リヤコンビランプのグラフィック自体に変更はないが、レンズ以外の部分のトーンを落とすことで、シックな印象を醸し出している。また、サイド面では、アルミホイールの意匠変更に加え、別体のホイールアーチモールを追加したのが変化点。力強さを強調するアイテムとして機能している。

インテリアはメーターの変化が大きい。従来はオーソドックスなアナログメーターだったが、新型は8インチカラー液晶を採用してフルデジタルになった。運転中、常に視界に入る部位だけに変更の効果は大きいと感じた。グラフィックは映画やアニメに出てきそうな未来的なデザインで、気分が上がる。画面はクラシックモードとエンハンスモードの2種類に切り換えることができ、後者を選択すると後述するS-AWCのモードや制御量を確認することができる。

インストルメントパネルとドアには金属調のアクセントパネルを採用。シートはCHAMONIXで好評の撥水機能付きスエード調素材と合成皮革のコンビネーション生地とし、カーキ色のステッチを施している。また、センターパネルは傷つきに配慮したダークグレーとした。これらの変更により、ギヤ感とプレミアム感を高めている。
走行機能面では、車両運動統合制御システムのS-AWCを搭載したのがポイントだ。そう聞いて(何度も説明を受けているはずだが)、「今までついてなかったの?」と不覚にも思ってしまったが、ついてなかったのだ。S-AWCは4輪の制駆動力を自在に制御して車両運動性能を向上させるシステムである。S-AWCが実装されると、悪路・悪天候・長距離走行をものともしない信頼感と、意のままに操れるためドライバーだけでなく乗る人みんなが安心・快適に移動できるようになる。

S-AWCを成立させるには、4WDにして前後輪間のトルク配分を制御する必要があり、ブレーキ制御などで左右輪間のトルク移動を行なうアクティブヨーコントロール(AYC)の機能を持たせる必要がある。さらに、ABSやASC(一般用語はESC=エレクトリック・スタビリティ・コントロール)を用いた4輪ブレーキ制御が欠かせない。
従来のデリカD:5は電子制御カップリングユニットによって前後輪間のトルク配分は行なっており、ABS&ASCで4輪ブレーキ制御を行なっていた。また、トラクションコントロール(TCL)を実装することで、オフロード走破性能を担保していた。ところが、左右輪間のトルク移動は行なっていなかった。


今回の商品改良でそこに手を打ったのである。旋回内輪に軽くブレーキをかけることでヨーを発生させるブレーキAYCを適用することによりヨーコントロールが可能になり、ようやく「S-AWCを搭載」と言えるようになった(その割に、ステッカーが控え目)。ミスターS-AWCの澤瀬薫氏(三菱自動車 フェロー)によれば、S-AWCを搭載したデリカD:5は「オフロードの走破性は従来と同じレベルをキープしつつ、フラットダートや雪道でのハンドル操作に追従する動きに一段と磨きがかかった状態」になっているという。
ドライブモードはECO、NORMAL、GRAVEL、SNOWの4種類。新たに、下り坂でも車速を一定に保つヒルディセントコントロール(HDC)を追加したことで、ダイヤル形状の見直しを行った(HDCのスイッチはダイヤル下に位置)。

安全装備面での進化も大きい。「衝突被害軽減ブレーキシステム」は従来の車両と人に加え、新たに自転車の検知が可能に。「誤発進抑制機能」は前進時に加え後退時もアクセルの踏み間違いに対応。また、前後バンパーにソナーを搭載したことにより、車両付近の障害物のおおよその位置をメーター表示と音で知らせる「パーキングセンサー」を追加。「マルチアラウンドビューモニター」はカメラの画質を約3倍に高め、両サイドビュー+フロントビュー画面や、バードアイビュー+透過フロントサイドビュー画面を追加することで視認性を向上させている。
こうして進化の内容を見ると、デリカD:5の快進撃はまだまだ続きそう。そんな気がする。
| グレード | 三菱デリカD:5 P(4WD) | ||
| 全長 | 4800mm | ||
| 全幅 | 1815mm | ||
| 全高 | 1875mm | ||
| 室内長 | 2980mm | ||
| 室内幅 | 1505mm | ||
| 室内高 | 1310mm | ||
| 乗員人数(名) | 7/8名 | ||
| ホイールベース | 2850mm | ||
| 最小回転半径 | 5.6m | ||
| 最低地上高 | 185mm | ||
| 車両重量 | 1980〜1990kg | ||
| パワーユニット | 2.3L直列4気筒DOHCディーゼルターボ | ||
| エンジン最高出力 | 107kW(145PS)/3500rpm | ||
| エンジン最大トルク | 380Nm(38.7kgm)/2000rpm | ||
| 燃料(タンク容量) | 軽油(64L) | ||
| トランスミッション | CVT | ||
| 燃費(WLTCモード) | 12.9km/L | ||
| サスペンション | 前:マクファーソンストラット式 後:マルチリンク式 | ||
| ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク | ||
| タイヤサイズ | 225/55R18 | ||
| 価格 | 494万4500円 | ||






