気温5℃でも油断禁物。路面凍結が起きる本当の理由とは

道路上にある温度計が5℃以上だとしても路面は凍結している場合もある。外気温と路面温度は分けて考えよう。

気温と路面温度の乖離は、計測方法や計測箇所の違いに加え、地面と空気の温度低下プロセスの違いから起こる。

気象庁が公表する気温は、地上から1.5メートル程度の高さにある空気の温度を計測している。これに対し、地面は外気の影響だけでなく、地熱を赤外線として大気に放出する放射冷却などの影響を直接受けるため、空気よりも早く冷え込む性質を持つ。

それにより、まず地面に近い空気から冷えはじめ、地表には非常に冷たく重い空気の層が停滞する。しかし、空気は熱を伝えにくい性質を持つため、地面から1.5メートルの高さにある温度計周辺の空気が冷えるまでには時間がかかる。地面の温度よりも外気温が高い数値を示すことが多いのはこうした理由だ。

とくに、熱しやすく冷めやすいアスファルトは、放射冷却にさらされると日中に溜め込んだ熱を夜間に赤外線の形で放出し、急速な温度低下を起こす。こうした性質により、外気温が5℃以上であったとしても路面温度は0℃を下回り、水分が凍結しはじめる温度に達しやすい。

時折、道路上に設置された外気温計を見かけるが、あれはあくまで気温を計測しているため表示温度よりも路面温度はさらに低くなる。

クルマの外気温計はバンパー裏など地上30cm程度の場所にあるため、より路面温度に近い数値を表示する。ただし、クルマが排出する熱の影響を受けるため正確とは言い難い。

そのため、寒冷地域の峠道などには、外気温計ではなく路面温度計が設置されている場合も多い。こうした路面温度計は道路の温度を直接計測しているため正確な温度だと言えよう。

また「路面温度注意」などの警告表示は、0℃付近になると自動点灯するようになっているため、温度表示がなくとも極めて信頼性の高い指標だ。

橋やトンネルの出入口は気温が参考にならない特殊環境

橋やトンネルの出入り口、山影やビルの陰などは外気温以上に路面温度が下がるため、それだけ高い気温でも路面凍結が起こる。

外気温の低下が直接影響しない道路もある。トンネルの出入り口付近は、吹き抜ける風の冷却効果によって路面温度が下がりやすいため注意が必要だ。同様に、ビル風が発生する場所も気温低下と風が合わさって凍結しやすくなる。

また、路面に日光が当たりづらい山影やビル陰は、日中でも氷が解けづらいため気温と路面温度の乖離がとくに大きい。

さらに注意したいのは橋だ。橋の上は地熱が届かないうえ、冷たい風によって上下から冷やされるため、地面上の道路に比べてはるかに凍結しやすい場所となる。

もちろん、標高が高い場所はそれだけ気温も下がりやすい。標高が100m上昇すると気温は0.6℃下がるとされているため、平地での気温が5℃以下なら高標高地の路面は凍っていると思った方がよいだろう。

道路の白線にも注意しよう。白線や横断歩道に使われる塗料の表面は吸水性がないため水分が薄い膜となって表面に広がりやすく、路面温度が下がると薄い氷の層を形成しやすい。

そのため、周囲のアスファルトが乾いていても、白線の上に残った水分だけが凍ったまま残っていることも多い。

二輪車や自転車にとっては、この急激な摩擦変化が転倒に直結するため大きな脅威になる。四輪で安定しているクルマも、白線が連続する横断歩道やゼブラ上を通過する場合には注意が必要だ。

外気温5℃は路面凍結の分水嶺!ブラックアイスバーンにも要注意

気温5℃以下が路面凍結の目安だ。ただしこの温度は、あくまで目安であって道路環境によっては5℃以上でも凍結する恐れがある。

路面温度が下がると、アイスバーンへと変化するリスクが著しく高まる。とくに警戒したいのがブラックアイスバーンだ。

ブラックアイスバーンはアスファルトの表面に薄い氷の膜が張った状態を指し、一見すると単に路面が濡れているだけのようにしか見えない。

しかし、実際には表面が極めて滑りやすい氷で覆われており、スタッドレスタイヤを装着していても制動距離が大幅に伸びるほどの非常に危険な路面状態となっている。とくにスタッドレスタイヤを装着する習慣が少ない温暖地域の都市部ほど強い警戒が必要だ。

外気温5℃以下では、濡れた路面は凍結していると思って運転するのがよいだろう。路面温度が低い状態にある夜間や早朝に路面が黒く光って見えたら、濡れているだけと楽観視せず、凍結しているものと判断して早期に減速することがブラックアイスバーンでの事故を防ぐ唯一の手段だ。