ホンダCB200X……359,000円

純正指定タイヤはMRF ZAPPER KURVE。試乗車が装着するスマートモニター+ドライブレコーダーは、バイク館/2りんかんが取り扱っているカエディア製。

日本の道路事情に適しているのか?

バイク館が独自に輸入販売を行っているインド仕様のホンダCB200X(装備を充実化した2025年型からは、車名をNX200に変更)に対して、日本の道路事情の中でどのくらい使えるのか?……という疑念を抱いている人は少なくないと思う。

具体的な話をするなら、インド生産特有の気遣いは不要なのか?、排気量が184.4ccで最高出力が17psのエンジンに物足りなさは感じないのか?、シャシーはちゃんとアドベンチャーツアラーとしての資質を備えているのか? などという感じで。

第1回目の文章ではそういった要素を念頭に置きつつ、約800kmの日帰りツーリングとオフロードでの好印象を紹介したのだけれど、その2つの事例はちょっと極端だった気がしなくもない。そこで今回はわかりやすい視点を意識して、このバイクの特徴を記してみたい。

充実した低中速トルクと粘り強さ

最初にインド生産特有の気遣いの話をすると、それはもう、皆無だった。

コクピットの雰囲気やスイッチボックスの操作性は日本で正規販売されている近年のホンダ車と同様だし、ケーヒン製スロットルやニッシン製ブレーキ、ショーワ製ショックユニットの作動感は至ってナチュラル。ひと昔前の一部のアジアンバイクで必須と言われていた意識のアジャストは、CB200Xでは一切不要なのだ。

続いてはMC56Eという型式が与えられたエンジンの話で、少なくとも僕にとっては十分な性能だった。

と言っても、高回転域でパワーが盛り上がってくる感は希薄で、勾配の急な登り坂や高速道路で追い越しを行う際は、時として物足りなさを覚えることがあったものの、そのあたりは排気量を考えれば当然と言えなくはないし、逆に184.4ccの排気量で、こんなにも充実した低中速トルクと粘り強さが実現できるのかと僕は大いに感心。

ちなみにMC56Eのフィーリングは、かつてのSL230やXR230が搭載していたMD33Eとよく似ている。2種のエンジンには、動弁系がSOHC2バルブ、冷却方式が空冷という共通点が存在し、ボア×ストローク比も近いのだけれど(61×63.1mmのMC56Eは1.03で、65×66.2mmのMC33Eは1.01)、排気量には38.6ccの差がある。

にも関わらず同様の資質が実現できた理由は、おそらく、吸気系と点火系の進化だろう。誤解を恐れずに表現するなら、現代ならではの緻密な制御を行うMC56Eは、MC33Eよりパワーが引き出しやすいのだ。

そんなMC56Eにあえて異論を述べるなら、ミッションが5段なので、高速巡航時のエンジン回転数が高めになることだろうか(100km/h:7200rpm、110km/h:8000rpm、120km/h:8800rpm)。もっとも、100~110km/hの維持は容易で、高回転域の振動の増加は微々たるものだから、僕にとっては問題ではなかった。

アドベンチャーツアラーとしての資質

アドベンチャーツアラーの乗り味と言ったら、多くの人がイメージするのは、安心感が抜群で穏やかなハンドリング、路面の凹凸を余裕で吸収する上質な乗り心地、長距離を淡々と走り続けられる高速巡航性能だろう。

以下にその3点に関するCB200Xの印象を述べると、まずハンドリングは予想に反して良好だった。試乗前に車体寸法が開発ベースのホーネット2.0とほぼ同じことを把握していた僕は、実は操安性に期待していなかったのだが、フェアリングの追加による前輪荷重の増加や着座位置を高めたことが功を奏しているのか、このバイクはフロント17インチらしからぬと言いたくなる、絶妙の安定感と程よい穏やかさを獲得していたのだ。

ただし乗り心地と高速巡航性能は、決して悪くはないものの、手放しで絶賛というわけではなかった。

このふたつの要素はホーネット2.0の基本設計を転用した弊害が感じられて、試乗中の僕は前後ホイールトラベル・軸間距離の延長を考える場面に何度か遭遇(ノーマルのホイールトラベルの推定値はF:118/R:115mmで、軸間距離は1355mm)。例えば、ホイールトラベルが前後とも130mm前後、軸間距離が1400mmくらいだったら、CB200Xの快適性は大幅に向上するに違いない。

まあでも、第1回目に記したように、僕はこのバイクで約800kmの日帰りツーリングを難なくこなしているのだ。そしてホイールトラベルと軸間距離の延長は、フレンドリーさを阻害する可能性が大いにあるし、もちろんコストの上昇にもつながるはず。そういった事実を考えると、現状の車体構成はひとつの正解なのだと思う。

バイク館で購入するなら心配は不要

ここまでの文章を振り返ると、気になる要素もいくつか記したけれど、僕はCB200Xにかなりの好感を抱いている。この乗り味と価格ならエントリーユーザーからベテランまで、幅広い層の旅好きライダーにオススメできるし、セカンドバイクとしての購入も大いにアリだろう。

と言っても、国内で正規販売されていない車両を購入することに対して、世の中には不安を感じる人がいると思う。ただし、これまでに数多くのアジアンバイクを扱ってきたバイク館は万全のバックアップ態勢を整えているので、同店で車両を購入するなら、整備や補修部品に関する心配は必要はないようだ。

※近日中に掲載予定の第3回目では、筆者独自の視点で行う各部の解説に加えて、約1200kmを走っての実測燃費を紹介します。

タイヤサイズは、フロント:110/70-17、リア:140/70-17。オンロード用の選択肢は超が付くほど豊富だが、悪路を考慮したブロックパターンで適合する製品はメッツラー・カルーストリートくらい。ただしリアが1サイズ細くなるのをヨシとするなら、ピレリ・スコーピオンラリーSTRも装着可能。

ホンダCB200X 1000kmガチ試乗|日帰り800kmを難なくこなせる、インド生まれの空冷単気筒アドベンチャー【1/3】

アジアンバイクの魅力と言ったら、価格の安さを筆頭に挙げる人は少なくないだろう。事実、ホンダがインド市場で販売しているCB200Xも、日本人の感覚だと価格は相当に安いのだけれど、このモデルは快適性や運動性という面でも侮りがたい資質を備えていたのだ。 REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko) PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki) 協力●バイク館イエローハット https://www.bikekan.jp/

ツボを抑えた装備と構成で、走る場面や乗り手の技量を問わない万能性を獲得 ホンダCB200X 1000kmガチ試乗【3/3】

バイクの趣向は、地域や国によって異なると言われている。もっともインドを主要市場とするCB200Xは、日本人と日本の道路事情との相性も抜群で、軽くて小さなオールラウンダーを好むライダーにとっては、理想の1台になり得る資質を備えているのだ。 REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko) PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki) 協力●バイク館イエローハット https://www.bikekan.jp/

主要諸元

車名:CB200X
全長×全幅×全高:2035mm×843mm×1248mm
軸間距離:1355mm
最低地上高:167mm
シート高:810mm
キャスター/トレール:25°30′/97mm
車両重量:147kg
エンジン形式:空冷4ストローク単気筒
弁形式:DOHC4バルブ
総排気量:184.4cc
内径×行程:61mm×63.1mm
圧縮比:9.5
最高出力:12.7kW(17.3ps)/8500rpm
最大トルク:16.1N・m(1.64kgf・m)/6000rpm
始動方式:セルフスターター
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式5段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ
 1速:3.076
 2速:1.789
 3速:1.300
 4速:1.066
 5速:0.916
1・2次減速比:3.136・3.214
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式前:テレスコピック倒立式φ37mm
懸架方式後:スイングアーム・モノショック
タイヤサイズ前:110/70-17
タイヤサイズ後:140/70-17
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:12L
乗車定員:2名

全国に70以上の店舗を展開するバイク館では、国内外のさまざまな車両を取り扱っている。同社はアジアで販売される日本車の輸入にも積極的で、CB200Xの開発ベースとなったホーネット2.0や、中国仕様のCB190シリーズなども準備。