アドバンレーシングの美学と鍛造技術を凝縮

鍛造製法の進化で有機的なフォルムを実現

「東京オートサロン2026」のヨコハマホイールブースは、好評のアドバンGTビヨンドRに19インチサイズが追加されたこともトピックだが、何より注目すべきはブランニューモデルの「アドバンレーシングRZ-F3」である。アドバンGTと双璧をなすスポーツホイールであり、2×5のクロスオーバーツインスポークを踏襲するRZシリーズの最新モデルだ。

前作のRZ-DF2は、鍛造製法の限界といえる細身のスポークを採用したのが特徴で、シャープで足長感あるフェイスが、研ぎ澄まされた刀身のような繊細な美しさを感じさせた。2023年に19インチからスタートし、翌年には20インチ、2025年には21インチを投入。単にサイズを拡充するだけでなく、その都度デザインの完成度も高めてきた。時間を掛けて熟成されたその仕上がりはヨコハマホイールのプロデューサーである萩原修氏自身が「納得のできるもの」と語るほどだが、RZ-F3は性能とカッコよさでそれを超えてきた。

では、RZ-F3はRZ-DF2に対して何が変わったのか? 

まず、基本設計が、アウターリムからフルフェイスデザインへと変わったのが一番の変更点だ。とくにフルスポークデザインを成立させる場合、「フランジに直接つなげるのか」「わずかに逃がすのか」「リムの縦壁にぶつけるのか」などスポークをどのように繋ぐかが、ホイールのキャラクターを決定づけ、印象は大きく変わる。萩原氏はRZ-F3を開発するにあたり、TC4やRC4などの鋳造モデルで数多くの表現してきた有機的なラインを取り入れることを決めた。

文章にすると簡単だが、柔らかい素材を流し込んで形を作る鋳造に対し、硬い素材をプレスして、形を作る鍛造では精度と自由度の両立することがこれまで難しかった。ただ、今回は技術の進化によって、その壁を超えることが可能となっている。同時に型の完成度も非常に高く、面の美しさも際立つ。鍛造でここまで複雑な造形ができるようになったこと自体が驚きだ。

フランジの処理もRZ-F3の見どころのひとつだ。リムエンドに見える2本の段付き形状は、スポーク側をフランジ側よりも段付きを高くしている。これはデザイン性もさることながら、湾曲したスポークエンドの落ち込みに奥行きを生むための処理。理想の形を実現するために随所に工夫を凝らしたことで、真正面から見ればオーソドックスなフルスポークだが、角度をわずかに変えた瞬間、その印象は一変。面の重なり、エッジの立ち方、スポークとリムのつながり方。そのすべてが、見る角度によって異なる表情を生み出す。RZ-F3は、そういう“顔の多さ”を意識して作られた鍛造ホイール。性能はJWL規定を上回りながら、デザイン力と製造技術でRZ-DF2を超えてきたのだ。

カラーは3色展開。チタニウムブラック、ハイパープラチナブラックのダイヤカット、そしてコッパーブロンズを採用。アドバンGTビヨンドRのようなセンターやディスク面を切削することはせず、シンプルさを意識している。サイズ展開は国産車用が18×7.5Jから18×10.5Jまでの7サイズで、輸入車向けが18×8Jから18×10Jまでの4サイズを設定している。

RZ-F3は、派手さで目を引くホイールではない。しかし、現在のアドバンレーシングらしさを凝縮した造形は鍛造派にとって「これを待っていた」と感じさせる説得力がある。「デザインの魂は細部に宿る」。アドバンレーシングの美学と鍛造技術の現在地を、静かに、しかし確実に示す1本。シンプルながら、確かに存在を引き立てる最先端のスポーツホイールだ。

●取材協力:YFC TEL:0463-75-9346

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