しっかりとした走りと日常の実用性を兼ね備えた足まわりチューン

カスタムカーの祭典「東京オートサロン2026」が開催され、大盛況の中で3日間の幕を閉じたのは記憶に新しい。オートサロンは昨今、ジャパンモビリティショーよりもユーザーから注目されるイベントで、各自動車メーカーもそこにブースを出展するのが定例となった。

最新のカスタムトレンドはクルマ自体の売れ行きさえも左右する時代というわけだが、すでに愛車を持っているユーザーにとっては、どのように自分のクルマを変えていくかのマイルストーンそのものだ。

ここ数年、会場で目立つのはスズキ「ジムニー」のカスタムカーだ。特に2025年からは「ノマド(5ドア)」の展示車が増え始め、今回は会場を歩けばノマドに当たるほどその数は目立って多かった。

ノマドのカスタムメニューは現在二極化しており、「上げる」か「上げない」か。40mmほどガツンとリフトアップして大径タイヤを履かせ、これに合わせて前後バンパーをショート化するというジムニーではオーセンティックなカスタム手法は健在だ。一方でノマドの場合は、やはり5ドアゆえのファミリーユーザーもいることから、乗降性に影響するリフトアップを敬遠する向きもある。

そのため、タイヤ&ホイールを僅かにサイズアップするドレスアップを選択する人も少なくない。ただ、ノマドのハンドリングに不満を持っている人はいる。これはノマドだからというよりは、クロカン4WDならではの“習性”とも言える部分だ。オンロードのみならず、悪路での高い走破性を発揮しなければならないクロカン4WDは、相反するサスペンションの性能を両立させる必要がある。そのため、オンロードしか乗らない一般的なユーザーには、そのユラッとしたハンドリングと乗り心地に不安を感じる。

実はノーマルサスのセッティングはよく出来ているのだが、確かにハイスピードでオンロードを駆けるには物足りない部分はあるのだ。車高を上げたくはないが、シャープなドライブフィールは欲しい。そんなユーザーに向け、ジムニーカスタムの老舗「アピオ」がリリースしたのが、オリジナルコイルスプリング「ゼロライズ」だ。その乗り味はすでに多くの人を魅了しているが、今回のオートサロンにおいてついにノマド用がお披露目となった。

アピオが出展したジムニー ノマド。ゼロライズを装着しているほか、ナローフェンダー化されている。

筆者もまだその味付けは体験していないが、JB64/74用から考えると期待度は大きい。ゼロライズは、基本的にコイルスプリングのみを交換するサスキットで、ダンパーはノーマルをそのまま使う。これは開発陣の思想ゆえ。車両の運動性能のコアとなっているのはコイルスプリングであり、ダンパーはコイルの余分な動きを抑えられればノーマルで十分というわけだ。

ジムニー ノマド用のヨシムラ マフラーも初お披露目された。

コイルのみの交換ゆえに、1台分5万円台のプライス(ノマド用の価格は未定)を実現しているのもユーザーには魅力だ。愛車のハンドリングをリーズナブルに変えたいという人にうってつけなのである。

足元は鉄チン風アルミホイール「WILDBOAR Ventura」でドレスアップ。

ビルシュタインからはジムニー ノマド用純正形状ダンパーが登場

このカスタムメニューと非常に似ているのだが、ある意味逆ベクトルの商品も今回のオートサロンで登場した。それが阿部商会で取り扱っているサスの定番ブランド「ビルシュタイン」のジムニー ノマド用キットだ。ビルシュタインというだけあって、こちらはダンパー4本のキット。

ビルシュタイン製の純正形状ダンパーを装着したジムニー ノマド。

ビルシュタインは90年代にいわゆる「純正形状スポーツダンパー」なるものを流行らせた。当時は輸入セダンや国産スポーツコンパクトが全盛の時代であり、カスタム派はローダウンコイルスプリングと車高調整式ダンパーを使って車高を下げるのが定番だった。しかしこのキットは当然ながら高額で、もっと気軽に安価にスポーティなハンドリングにしたい派に向けて登場したのが、純正形状スポーツダンパーというわけである。

純正ダンパーとほぼ同じ長さで、減衰力調整機能も付いていないが、様々なメリットがある単筒式を採用している。重量のあるクロカン4WDには向いていると言える。純正と同じ長さなので、ノーマルコイルスプリングを使えるのもメリットだろう。コイルのみのキットと比べると高価になるが、見た目のドレスアップ効果もあるので、決して高いとは言えない。

フロントサスペンション
リヤサスペンション

そのビルシュタイン純正形状スポーツダンパーに満を持して登場したのが、ジムニー ノマド用だ。すでにJB64/74用はリリースされているが、JC74用も2月に発売が予定されている。こちらは1台分14万800円と多少根が張るが、それでも愛車のハンドリングを大きく変えることができるなら高すぎる値段ではない。

問題はどちらのキットがいいのかということだが、正解はオーナーの感覚次第になる。それぞれ違う開発者の感性で造られているため、ドライブフィールも異なるはずだ。やはり購入にあたっては、試乗車に実際に乗ってみるのがベストということになる。