最新技術を導入したネオクラの理想像。
PAMSヘッド&六連バレルスロットルの痛快NA仕様で目指す筑波1分5秒台
人生初の愛車である180SXでドリフトするところから、クルマ弄りのキャリアをスタートさせた中山さん。まだ20代だが、クルマ好きとしての価値観や信条は確固としている。

中山さんの好みのスタイルは、まさに180SXがそうであるように、ロングノーズ・ショートデッキ、全体的に角張ったシルエットでリトラクタブルヘッドライトを備えているネオクラスタイル。置きのイベントやUSDMにも興味が湧いてきた中、しっかり走れてショーでも映えるクルマを1台作ろうと考えた結果、辿り着いたベースがZ31型フェアレディZだった。

「国内にあった左ハンドルの300ZXと縁があって購入したんですけど、最初は当時仕様にしようかな…くらいの気持ちで、エンジンまでやるつもりは全くなかったんですよね(笑)。でも、オールペンから始めて外装がきっちり決まってくると、ちょっとずつ色気が出てきちゃって」。

そんな感じで徐々に「悪ノリ」も働いて手数が増えていったZ31。ショーにおける魅せ技のひとつとして、当時はまだ日本であまり知られていなかったラディウム・エンジニアリングの燃料タンクがハッチバック越しに見えたらどうだろうと着手。ラゲッジフロアをぶち抜いた上でタンクをマウントし、ワンオフの配管の中に配線も通すことで隠してしまうワイヤータックも実現させた。

それらの作業を担当したのは、中山さんにとって長年の盟友である東京都青梅市の“YT WORKS”。エンジンとECUセッティング、塗装などを同店の鈴木さん、同じく溶接や配線作業、各種作り物を柳堀さんが分担して行い、中山さんが理想とする「ネオクラを感じさせるZ31のスタイルをそのまま活かしながら、誰もやっていないことを隅々までやる」というビジョンを具現化していった。

エンジンはN42マニアブロックベースのL28改3.3L仕様を搭載。フロントサスメンバーはZ31のまま、マウントをワンオフで製作している。PAMS×JMCのL6ヘッド、インジェクション、電子制御スロットル、フルコン制御などなど、L型を最新技術でモダン化させる手法も数々採用。電動ウォーターポンプを右フェンダーの内側に忍ばせるなど、ワイヤータックの技法も取り入れた。全体を黒のキャンディーで塗装した上、ヘアラインも入れて落ち着いた美観を実現。

全開時に抵抗となるシャフトが備わらないバレル式の六連スロットルを装備。それに後付けの電動スロットルモーターを加えて、ドライブ・バイ・ワイヤを実現している。

エキマニは神奈川県のS&Aオートクリエイトでワンオフ製作されたもの。クルマごと同店に持ち込み、デスビレスとしたことで管長を長く取れる利点を活かしたレイアウトを依頼したとのこと。集合部の中がツノ形状になっているベルヌーイ仕様で、6-1等長を実現している。


他車種の純正イグニッションコイルを流用してダイレクトイグニッション化。クランク軸上に歯車とセンサーを装着してクランク角を検出。フルコンによる緻密な点火時期制御を実現させた。

ECUは電子スロットル制御に対応したLINKのG4Xフューリーを採用。サーキット走行を見据えた本格的なセッティングはこれから煮詰めていく段階だ。


フロントサスペンションのS15コンバート、リヤサスペンションのコイルオーバー化を実現。300ZXのストックフェンダーのまま、理想のローダウンスタイルを生み出した。ホイールは苦労して探したNISMOのLMGT2を美しくリビルト。オフセットも時間をかけて追求し、フロント10Jプラス8.5×、リヤ10.5Jプラス3.5としている。タイヤはセミスリックのナンカンAR-1で、サイズは235/40R17。



ロールケージはスパンレーシングでメインフレームを装着した後、YT WORKSで追加の補強バーやアイキャッチにもなるバーリング加工したプレートを追加。トランスミッションは日産の71Cを使用するが、自然なシフト位置を実現している。駆動系はそのほかJUNオートの軽量フライホイール、NISMOのクラッチなども装備。

チルトンのオルガン式ペダルアッセンブリーを装着。マスターシリンダーはエンジンルームから見えない位置に移設してある。アクセル開度を電動スロットルに送るドライブ・バイ・ワイヤを実現。

最高出力のターゲットは400ps、筑波2000のタイムは1分5秒台と、中山さんは明確な目標も口にする。

「パーソナルベストが5秒台なんですけど、このZ31はポテンシャル的には5秒台を切ることも十分狙えるはずなので、がんばります」と、1月に予定されている走行会でのシェイクダウンに向け、闘志を燃やしている。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

