そもそも「ガッツミラー」ってナニ?

2020年04月、初めてパノラミックビューモニターがラインアップされた6型。当然ガッツミラーも装着されている

 200系ハイエースのボディ、そのフロントフェイス助手席側に設置されたミラーがガッツミラーです。その由来はガッツポーズをしている腕のように見えたから。

それで「ガッツミラー」って何のためにあったの?

正式名称を「直前直左(ちょくぜんちょくさ)確認装置」といいます。ハイエースのようなキャブオーバー車は、運転席から見て「左前方の足元」が大きな死角になります。道路運送車両法の「直前直左鏡等に関する保安基準」により、車体のすぐ前と左横にいる子供や障害物が見えることが義務付けられており、それを物理的に解決していたのがあのミラーだったのです。

2020年04月6型ハイエース。ハイエース バン スーパーGL(標準ボディ・2WD・ディーゼル車)<オプション装着車>

6型〜8型にもパノラミックビューモニターはあった。でも「ガッツ外せなかった」ワケ

2020年登場の「6型」から、メーカーオプションとしてパノラミックビューモニター(PVM)が設定されました。空から見下ろしたような映像が映るなら、もうガッツミラーはいらないはず……と思いきや、実はここに「表示の壁」がありました。

6型のパノラミックビューモニター

当時の純正PVMは、あくまで「駐車補助」という位置付け。速度が出ると消えてしまう、スイッチを押さないと映らない(常時表示ではない)という仕様だったため、保安基準上の「常に、または必要な時に即座に視認できる装置」としての要件を100%満たしていなかったのです。そのため、オプションでPVMを付けてもガッツミラーも付いてくる……という状態が続いていました。

カスタム界では「常時表示」が裏ワザの定番に!

この「PVMがあるのにミラーが残る」不満を解消すべく、ハイエースカスタム界で流行したのがカメラ接続アダプターや増設モニターによる加工です。純正カメラや社外カメラの映像を社外モニターなどに「常時表示」させることで、保安基準をクリアし、合法的にガッツミラーを取り外す(ミラーレス化する)カスタムがドレスアップの定番メニューとなっていました。左前のガッツミラーを固定しているボディのコーナーパネルも交換して、スッキリしたフォルムを手にいれる、ドレスアップ的にも効果の高いカスタムです。

そして最新「9型」で全グレードがミラーレス化!

そして2026年1月に登場した「9型」で、ついに革命が起きました。トヨタはPVMを全車標準装備(※字光式ナンバープレートは同時装着不可)へと踏み切り、さらに表示システムそのものを刷新

2026年01月9型ハイエース・スーパーGL(バン・2WD・2800ディーゼル・標準ボディ)<メーカーオプション装着車>
  • 視認装置としての型式認定を取得
  • デジタルインナーミラー等と連動した確実な視認性
  • 法改正や技術基準への完全適合

これらにより、ついに「電子の目(PVM)」がガッツミラーの役割を正式に代行できるようになったのです。メーカーが「このカメラがあればミラーは不要です」と国に認めさせたからこそ、スッキリとした「ミラーレス」の顔つきが純正で手に入るようになった……というワケ。

9型で手に入れた「スマートな純正フロントマスク」。これまでの「6型・7型・8型」たちが積み上げてきたPVMの歴史と、オーナーたちの「ミラーレスへの熱望」があったからこそ辿り着いた進化と言えそうですね。
ちなみに、9型でPVMが直前直左に対応しているままガッツミラーのようなものをつけても、PVMなどの視野を妨げない限り、違法にはなりません。

回転灯も描かれている6型ハイメディックのパノラミックビューモニター