
すっかりネオクラシックカーブームが定着した。ネオクラと呼ばれるのは1980年代から2000年前後までのクルマを指す場合が多く、人気の中心はマニュアルトランスミッション仕様の国産スポーツカー。この基準で中古車を探すと、あまりの相場の高さに唖然としてしまう。底値だった時代を知っていると手を出そうとは思わない程だが、意外と売れている。何も海外からの引き合いだけでなく若い頃憧れた中高年層から10代20代の若者にも支持されているようだ。

これらネオクラ・スポーツカーは大抵の場合カスタムされている。年式的に純正部品が少なくなりアフターパーツに変更してしまうのが費用的にも期間的にも楽だから。なかには元に戻せないほどカスタムされたケースもあるが、昨今では「純正戻し」が一つの流行になっている。多少カスタムされていても純正部品を探し出してノーマルに戻すことが主流になりつつあるのだ。

カスタムされた状態が本来の乗り味ではないことが多いから、初めて乗る車種であればノーマルを知ってからカスタムをするのが理想でもある。「純正戻し」のブームは自動車学校にも及んだようだ。東京オートサロン2026の会場を歩いていると、何やら同じ服を着た学生たちが群がっている一角があった。そこは筑波研究学園専門学校のブースで、別の自動車学校の生徒たちと交流があるようで盛り上がっていた。近づいてみると学生の一人から話しかけられた。

展示されていたのはアンフィニRX-7、FD3Sだ。話しかけてくれた学生は手に持つ写真を示しながら「僕たちでノーマルに戻しました」と語るのだ。聞けば2022年に続いての出展だそうで、その当時はイエローとブラックに塗り分けられたカスタム車だった。2度目の展示にあたり学生たちがテーマにしたのが「純正戻し」だったのだ。

ボディは古い塗装を全面的に剥離してから、純正色を調べて全塗装している。全塗装にあたりエンジン・ミッション・足回りなどは外され、いずれもオーバーホール作業を同時進行させた。そのためエンジンルームを隅々まで見ても古い塗装は残されていない。さらに吸排気系までノーマルにされている。今となってはエアクリーナーケースが残っているFD3Sなど、そうそうないだろう。

もちろん16インチのアルミホイールも純正のもの。中古ホイールを入手してボディ同様に古い塗装を剥離、再塗装して仕上げてある。またインテリアも純正にこだわって手直しされている。残念ながらステアリングホイールはMOMO製ではあるが、FD3Sのノーマルインテリアを再現している。

純正のシートには色褪せが見られた。そこでクリーニングを施してから褪せた部分を再塗装している。使う塗料はもちろんモケット用で、一目見ただけなら再塗装であることまでわからない仕上がりになっていた。時折、古い国産スポーツカーは壊れるという話を聞く。これはネオクラ・スポーツカーの多くがカスタム&チューニングされた結果であることが多い。事実、筆者が20万キロをともにしたインプレッサはノーマルだったこともありトラブルらしいトラブルはなかった。イジれば耐久性が低くなるのは当然のこと。ネオクラに乗るならノーマルプラスα程度のカスタムが理想的だろう。
