ストリート、サーキット、レースの3タイプの新作を披露
トラックエディションは東京国際カスタムカーコンテストの優秀賞に!
2026年の東京オートサロン、VARIS(バリス)ブースの中心に据えられたのは、3台のシビックタイプRだ。いずれも最新のFL5型だが、その立ち位置は明確に異なる。1台は本田技研研究所/本田技研工業従業員チーム‟HONDA R&D Challenge”として2025年のスーパー耐久シリーズのST-2クラスを戦った743号車。残る2台は、新作エアロパーツを装着した「アライジング2トラックエディション(以下トラックエディション)」と「アライジング1 EVO2」である。今回の展示は、それぞれの走行ステージに合わせた最適なパーツを組み込み、その違いを見せるのが狙いである。

「東京国際カスタムカーコンテスト」のドレスアップ・スポーツカー部門で優秀賞に輝いたトラックエディションは、その名のとおりサーキットでのラップタイム短縮を主眼に置いたモデルだ。最大の特徴は、見た目の迫力ではなく、裏付けられた空力性能にある。デモカーに使用されるカーボン素材は、より軽く、より強い12Kを選択し、実走行を前提としたエアロとして作り込まれている。
新形状のボンネットや、フロントディフューザーの追加などは、その象徴的な例だ。ボンネットダクトの位置や開け方、フェンダーダクトの位置や角度といった細部に至るまで、743号車として実際に走らせた経験が色濃く反映されている。レースで見えてきた課題を市販向けエアロへと落とし込む。その流れが、確実に存在している。
今回ホンダと協力し、空力解析まで踏み込んだ開発を行った点も大きなトピックだ。シミュレーター上では問題なく見えたものが、実際のレースでは想定と異なる挙動を示す。そこでなぜ差が生じるのかを解析し、具体的な改善案が導き出されていった。ただし、性能を追い求めるだけでは終わらないのがVARIS流だ。空力的に正解でも、販売を考えた場合、ビジュアルのよさも重要なファクターである。「機能」と「カッコよさ」のせめぎ合い、落としどころを見つける。その両立こそが、市販エアロパーツメーカーとしての矜持である。

エアロパーツは、大きく分類するとフロントバンパー、ディフューザー、サイドスカート、フロントフェンダー、ボンネット、リヤスカート、リヤディフューザースカート、リヤフェンダートリム、トランクリッドスポイラー、GTウイングの9点。
とくにフロントバンパーは複雑で、バンパー本体に加え、ディフューザー、アンダーリップ、左右のブレーキダクト、左右のエアダクトなどを含めるとなんと7ピース構成となる。バンパー上部はレースカーと共通だが、レギュレーションのないトラックエディションは大きく前にせり出し、迫力のあるフロントビューとなっている。

リヤウイングはスワンネックタイプを採用。これはホンダ側からの要望もあり、空力的な優位性を狙って2026年シーズンに初投入される。2025年シーズンはスーパー耐久車両に装着されている3Dデザインタイプであったが、より最適な空力性能が得られるということから、トライすることになった。こうした、新たな取り組みで得られたデータが、2027年のエアロパーツ開発に活かされていくのだ。

スーパー耐久車両のフロントバンパーはトラックエディションとベースは共通だが、前述したとおり、リップの出幅がレギュレーションで抑えられており、左右にはオイルクーラーダクトが設けられているのが違いだ。このダクトは市販車ではバンパーにあるセンサーの関係上使用できない。ただ、よりアグレッシブな表情となるこの仕様は捨てがたい魅力がある。

グレーのアライジング1 EVO2は、ストリートユースを意識した入門的な仕様。「バンパー交換には抵抗がある、コストも抑えたい」というユーザーに向けて、純正バンパー用リップを新たにデザイン。これに既存のエクステンションリップを組み合わせることで、より精悍な面構えへと刷新。さらに純正アンダーパネルを活かして装着可能なサイドアンダーボードは、EVO仕様に対して張り出し量も増やし、空力性能を磨き上げるなどさらなる進化を果たしている。手軽ながらその効果は大きく、実際に走行テストでは、ドライバーがダウンフォースの違いを明確に感じ取れたという。思想はトラックエディションと共通だが、カーボン素材を一般的な3Kとし、リヤウイングも車検対応の幅とするなど、使い勝手も含めて現実的な路線に落とし込んでいる。

FL5型シビックタイプRは、純正状態ですでに完成度が高く、エアロパーツの開発は難しい。それでも、冷却や拡張性といったチューニング時の弱点を補いながら、オリジナルの雰囲気を崩さずに磨き上げていく。多彩なニーズに応えながら、進化と挑戦を続けるのがバリスの真骨頂。今回の3台にそのスピリッツは確かに宿っていた。
●取材協力:バリス TEL:042-689-2939
【関連リンク】
バリス
http://varis.co.jp

