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自衛隊新戦力図鑑1隻あたりの建造期間も短い
もがみ型多機能護衛艦(FFM)は、新時代の護衛艦として平成30年度(2018年度)より建造が開始され、1番艦「もがみ」が2021年3月、2番艦「くまの」は先立つ2020年12月に進水した。以降、もがみ型はおおよそ年2隻のペースで順調に進水し、「よしい」までわずか5年間のうちに12隻が進水を果たした。

また、それぞれの艦の建造期間は、起工から進水まで1年半程度、その後に兵装の取り付けや試験などを経て、就役までトータルで3年弱となるが、これは諸外国と比較して短い。一般的に数千トン級の駆逐艦やフリゲートの建造に欧州諸国は3~6年程度を要し、アメリカはそれ以上になることもある(なお、造船が盛んな韓国・中国も3年程度で建造している)。

オーストラリア海軍も日本の造船能力に期待
もがみ型FFM12隻に続き、もがみ型の発展型である「新型FFM」12隻の建造がスタートする。また、新型FFMはオーストラリア海軍の次期フリゲートにも選定されており、同海軍向けに11隻が建造される計画だ(3番艦までを日本国内で建造し、4番艦以降はオーストラリア国内で建造される)。

豪海軍次期フリゲートの選定には、ドイツや英国、韓国なども名乗りを挙げていたが、日本が勝利した。この勝利の大きな理由のひとつに上記のような建造ペースの速さ、スケジュールの遵守が挙げられている。
実際、豪海軍は建造スケジュールの遅延に悩まされている。次期フリゲートとしては、新型FFMの選定以前の2018年に、英国艦をベースとしたハンター級フリゲートの採用を決定しているが、当初2020年代後半とされていた1番艦の就役は大幅に遅延しており、一部の報道では2034年までズレ込むとも言われている。こうしたなかで、中国の脅威増大を見据え、海軍戦力の拡充を急いでいる豪海軍が「スケジュール厳守」を重視したことは、よく理解できるだろう。

さて、艦艇の新規建造に苦しんでいるのはオーストラリアだけではない。アメリカは次期フリゲートとして計画していたコンステレーション級の建造中止を昨年末に発表した。2020年に既存の欧州艦をベースとすることで、少ないリスクで安価かつ迅速に建造することを目指したが、仕様変更などが重なり建造費の高騰や遅延を招いていた。

アメリカは、再び既存艦(アメリカ沿岸警備隊のレジェンド級カッター)をベースとする次期フリゲート「FF(X)」計画をスタートさせるようだ。既存艦をベースとするのはコンステレーション級のときと同様にリスクを減らし、迅速な配備を目指したものだが、日本のSNS上では「もう、アメリカも日本の新型FFMを買えばいいのでは?」との声も出る始末だが…はてさて。
