新型マツダCX-5、熟成を重ねた3代目

マツダの中核モデルとしてブランドを支えてきたCX-5が、3代目へと進化した。ジャパンモビリティショー2025で日本初公開された新型CX-5は、その後、東京オートサロン2026の会場にも姿を現している。

一見すると、展示車両はきわめてノーマルな佇まいであった。派手なエアロパーツやアクセサリー装着車が並ぶオートサロンの文脈においては、むしろ異質とも言える存在である。しかし、その控えめな外観の奥には、新型CX-5が着実に進化を遂げた事実が詰め込まれている。

今回のモデルチェンジにおいて、マツダは従来から評価の高かった走りやデザインの基本思想を維持しつつ、ユーザーから指摘されてきた実用面の課題に真正面から向き合った。ホイールベースを115mm延長し、その増分を主に後半部分へ配分することで、後席の乗降性と居住性、さらにラゲッジルームの使い勝手を大幅に改善している。リヤドア開口部は広げられ、乗り降りは明確に楽になった。ラゲッジルームにはベビーカーを縦に積載できるだけの奥行きが確保されている。

室内のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)も、マツダ車全体の課題として認識されてきたポイントだ。新型CX-5では、15.6インチまたは12.9インチの大型モニターを採用し、ステアリングスイッチ、物理スイッチ、ソフトスイッチ、音声操作の役割分担を一から再構築。Google搭載により、操作性と情報連携の両面で大幅な進化を果たしている。

後席を倒した際の荷室奥行きは185cmに達し、ヘッドレストを逆向きに装着すれば枕代わりにもなる。パノラマサンルーフと組み合わせれば、車中泊というライフスタイルまで視野に入れたパッケージである。

ディーゼルエンジンの廃止は惜しまれる点ではあるものの(現行ディーゼル車は当面併売予定)、将来的にはスカイアクティブZの投入により、ガソリンエンジンでディーゼル並みの走りと燃費性能を実現する構想が示されている。国内発売は春頃とアナウンスされており、新型CX-5は再びマツダの屋台骨としての役割を担うことになる。

世界初披露となった新色「ネイビーブルーマイカ」

こうした実直な進化を遂げた新型CX-5において、東京オートサロン2026で世界初披露となった要素がある。それが、新たなボディカラー「ネイビーブルーマイカ」である。

開発主査の山口浩一郎氏は、この色について次のように語る。

「ネイビーブルーマイカは、鮮やかさと深みという、両立が難しい要素の表現を目指しました。光が当たった際の滑らかな鮮やかさやリフレクションと、影に入ったときの深み、その両立ができたと考えています。そのために、光を反射するマイカフレークの選定を見直し、配列まで含めて工夫を重ねました」

左:ディープクリスタルブルーマイカ,右:ネイビーブルーマイカ

ソウルレッドやマシーングレーでも語られてきた表現だが、単に塗料の色味を変えれば同じ効果が得られるわけではないという。

「塗装には、塗料成分だけでなく、焼き付け条件や塗膜の厚さなど、多くの要素が関わります。それらをすべて含めてモデルベースで開発しており、簡単に他の色へ応用できるものではありません」

ネイビーブルーマイカは、マツダが「匠塗」と呼ぶプレミアムカラー群には含まれない。現在の匠塗は、ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、ロジウムホワイトプレミアムメタリック、アーティザンレッドプレミアムメタリックの4色で構成されている。これらは反射層、発色層、クリア層の3層構造を持つ。

塗膜構成図(左:ディープクリスタルブルーマイカ,右:ネイビーブルーマイカ)

一方、ネイビーブルーマイカは、ブルーの塗料中に反射フレークを狙い通りに配列する技術によって、クリア層を含む2層構造で完結させている点が特徴だ。高度な表現を、より現実的な構造で成立させているのである。

マツダにとっての「青」という色

マツダのイメージカラーは赤、そう考える人も多いだろう。各車にソウルレッドがイメージとして存在し、赤ヘル軍団のカープを思い浮かべるかも知れない。しかし歴史を紐解くと、1970年代には企業のシンボルカラーとして「マツダブルー」が採用されていた。当時のMAZDAロゴは青を基調とし、本社ビルの看板も2013年頃まではブルーのロゴが掲げられていた。初代CX-5のローンチカラーがブルーメタリックであったことも、象徴的な事実である。

戦後に大ヒットしたマツダ三輪車も青のイメージを持ち、マツダはこれまでに「ブルー」の名を冠したボディカラーを150色以上世に送り出してきたという。

日本では春頃発売と予定される新型CX-5。

ネイビーブルーマイカは、プレミアム専用色ではなく、主流として選べる色である点にこそ意味がある。より良いものを、より多くの人に手の届く形で提供するという、マツダらしさを体現したカラーだと言える。

このボディカラーに組み合わせたい内装色も、CX-5には用意された。ホワイトとブルーのツートン内装である。座面や腰部など体重がかかる部分をブルーとし、腰より上をホワイトとすることで、デニムの色移りといった実用面への配慮を行いながら、視覚的には明るく洗練された印象を実現している。車内から見ても、ウインドウ越しに外から見ても、上質でスタイリッシュな空間に映る工夫である。

山口氏は「新しい世代のお客様の感覚に合う、カジュアルでありながらスタイリッシュな志向の方に薦めたい」と語る。

初代CX-5デビュー直前のプロトタイプはイメージカラーが青だった。

初代CX-5がスカイアクティブ時代の象徴としてマツダを牽引してきたように、3代目となる新型CX-5もまた、新たな時代の基軸モデルとなるのか。その完成度の高さは、十分にその期待に応えるものである。