やっぱりハッチバックが使いやすい! 快適性ではWRX S4が上

WRX S4『STI スポーツR ブラックリミテッドII』は、最上級グレードの『STI スポーツR』をベースに、ブラック塗装の各部装飾やホイールが映えるサンライズイエローを設定した特別仕様車。ブラックでまとめられた内装に、特別装備となる電動レカロシートのバックレストにも黄色の通気孔を配して外装との一体感を高めている点も大きな特徴だ。

一方、2025年2月に大改良を受けたGRカローラは、わずか半年後の同年9月に構造接着剤の塗布面積拡大によるボディ剛性の強化や吸気温度の低減を狙った改良が施されている。

どちらも高い運動性能を持ちながら、日常的な使い勝手も考慮されたハイパフォーマンスカーだ。ただし、使い勝手はGRカローラの方が高いと言えるだろう。

ノッチバックセダンであるWRX S4はトランク容量こそ422リットルと大きいが、一般的なセダンと比べても開口部が狭く、大きな荷物を積み込むのには適さない。

その点、大きなハッチバックドアが備わるGRカローラは日常的な用途にも使いやすい。GRカローラの荷室容量は213リットルと小さいものの、リヤシートを格納することで650リットルまで拡大できる。

しかし後席の快適性はWRX S4が上だ。後席の膝周り空間/頭上空間ともに、それぞれ拳1つ分ほどWRX S4の方が広く、後席にもエアコン吹き出し口が備わるうえ、リヤシートヒーターも標準装備となる。

スバル WRX S4 特別仕様車STI Sport R-Black Limited II
ボディサイズ=全長4670mm×全幅1825mm×全高1465mm
ホイールベース=2675mm
車両重量=1610kg
タイヤサイズ=245/40R18(前後)

トヨタ GRカローラ RZ
ボディサイズ=全長4410mm×全幅1850mm×全高1480mm
ホイールベース=2640mm
車両重量=1500kg
タイヤサイズ=235/40R18

排気量差をひっくり返すGRカローラの驚異的なエンジンスペック

WRX S4に搭載されるエンジンは、最高出力275psの2.4L 水平対向4気筒ターボエンジン。対するGRカローラは、わずか1.6L で最高出力304psを絞り出す3気筒ターボエンジンが搭載される。

ただし小排気量エンジンを高過給圧で回すGRカローラは、中回転域のトルクでWRX S4を圧倒するも、低回転域と高回転域はスペック値ほどのパンチ力は感じられないだろう。排気量が大きい分、より幅広い回転域で余力が感じられるのはWRX S4の方だ。

加えて、水平対向エンジンの滑らかな回転フィールと、左右の重量バランスにも優れるシンメトリカルAWDの高い走行安定性は、険しいワインディングをものともせずクルマを前へと進める。

しかもWRX S4には電子制御ダンパーが装備され、モードセレクトにより乗り心地を切り替えられるためスポーツ走行もロングツーリングも快適だ。

他方、GRカローラはメカニカルダンパーであり、WRX S4に比べれば乗り心地も硬い。改良で施されたボディ補強は、凹凸が激しい海外サーキットでの操縦安定性を確保するための措置だ。GRカローラの性能は、あくまで競技用途に主眼を置いている。

WLTCモード平均燃費は、GRカローラの8速ATモデルが10.4km/L、WRX S4は10.7km/Lと同程度であり、燃料はどちらもハイオクガソリンだ。

スバル WRX S4 特別仕様車STI Sport R-Black Limited II
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=2387cc
最高出力=275ps/5600rpm
最大トルク=375Nm/2000-4800rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD

トヨタ GRカローラ RZ
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1618cc
最高出力=304ps/6500rpm
最大トルク=400Nm/3250-4600rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=4WD

高性能グランドツアラー vs 普段使いもできる競技車両

WRX S4『STI スポーツR ブラックリミテッドII』の新車価格は530万2000円で、先に発売されている『STI スポーツR ブラックリミテッド』と同額となる。なお、サンライズイエローのボディカラーは5万5000円のオプションだ。

対するGRカローラ『RZ』8速ATモデルの価格は598万円。2025年9月の改良から価格に変更はないが、ウルトラスエード巻きステアリングやレーシングハーネスが通せる専用セミバケットシートなどがセットになる『スポーツパッケージ』オプション(25万3000円)が新たに設定された。

加えて、オプションの『JBLプレミアムサウンドシステム』(19万9100円)を装着すれば、スピーカーからクルマの動作と連動して強調されたエンジンサウンドを響かせる“アクティブサウンドコントロール”が追加される。

両車は同じハイパフォーマンス4WDマシンでスペックもよく似ているが、WRX S4は高性能グランドツーリングカーであり、GRカローラは5人乗車可能で日常的にも無理なく使える競技車両だ。

日常的な使い勝手を確保しながら本格的なサーキット走行もするのであれば、高い費用を支払ってでもGRカローラを選ぶべきだろう。逆に日常使用を優先したツーリングカーとして乗るのなら、WRX S4の方が多くの面で高い優位性を持っていると言えるかもしれない。

車両本体価格

スバル WRX S4 特別仕様車STI Sport R-Black Limited II:530万2000円

トヨタ GRカローラ RZ(8速AT):598万円