GRJ79K型にGDJ76W型のフロントまわりを移植する難作業の賜物

国産車なのに、なかなか手に入れることができないレアなクルマといえば、トヨタ「ランドクルーザー70」が真っ先に思い浮かぶ。第四世代モデルとなる現行型が発売されてから2年半が経つが、道で出会うのはごく稀だ。

なぜここまで日本にデリバリーされないのか、トヨタのランクル開発者に直撃したことがある。それによれば、生産された70のほとんどが、世界中で人道支援活動をしている海外組織に優先的に配車されているためだという。それを聞けば、「日本でレジャーユースの我々には後で結構です」という気持ちになる。

2023年11月に発売が開始されたランドクルーザー70(GDJ76W型)。丸型ヘッドライトやディーゼルエンジンの採用も相まって、高い人気を博している。

“ナナマルらしさ”を取り戻したGDJ76W型の人気は高く、東京オートサロンでも花形モデルだ。ただ、70はかつてほどカスタム市場が活発化しない。というのも、国内台数が少ないためで、パーツをつくっても市場での需要がまだそれほどではないというのが要因となっている。

加えて、オリジナル状態を愛するランクリストが多いのも影響している。カスタムをするにしても、海外向けモデルが装着している純正パーツを付けるケースが圧倒的に多い。

そんな中、東京オートサロン2026で筆者の目を惹きつけた1台があった。それは現行型70のピックアップトラックだ。周知のとおり、70には様々なボディバリエーションが存在していて、2014年に期間限定で第三世代モデルが日本で販売された際には、GRJ79K型というダブルキャブのピックアップトラックが投入された。

2014年に期間限定で販売されたランドクルーザー70。バンのほか、ダブルキャブのピックアップも設定された。エンジンは4.0L V6ガソリンエンジンを搭載。

アグリカルチャーでダブルキャブを使わない日本ではそれほど需要がないため、今回の日本復活ではラインナップに加えられなかった。そんなモデルが、目の前に悠然と並んでいるのである。

並んでいたのは「アクセルオートコーポレーション」のブース。同社は人目を惹く並行輸入車を導入することが多いので、“もしや”と思った。しかし、その正体は意外なものだった。

東京オートサロン2026のアクセルオートコーポレーションのブースに展示されていたランドクルーザー70のピックアップ。

この車両はGRJ79K型にGDJ76W型のフロントまわりを移植したもの。なるほど、後ろに回ると旧型の意匠が残っている。一見すると容易な改造のように思える旧型フェイスリフト化だが、同社スタッフによれば思うほど簡単ではないのだという。

それはエンジンルーム内にあるエンジンや構造物の違いゆえ。簡単に言えば、旧型と現行型ではフロント周りの容積がまるで違っているのだ。たしかに旧型は4.0LV6エンジン、現行型は2.7L直4ディーゼルであることを考えれば、ユニットの大きさはかなり異なるだろう。

実際に現行型のフロント周りを合わせたところ、高さがかなり違うことがわかった。そこで、結果的にはフロントバンパーにゲタのようなパーツを入れたり、様々な加工をしてやっとの思いで取り付けに成功したという。その甲斐あって、一見すると現行型のピックアップにしか見えない。アドブルーのフタが付いているのも、画竜点睛を欠いてない。

アドブルー補充口のフタ。

ちなみに、現行型マスクのキット化も考えているようだが、価格は加工賃に含めて約100万円になるという。同社が危惧しているのはその価格に加えて、70オーナーにどれだけオリジナルを崩す人がいるかということだ。冒頭で述べたように、ランクリストはオリジナルにこだわる人が多い。

まあ、ショーを十分に盛り上げてくれた1台だったわけで、存在してとしては面白い。中古のGRJ79K型を丸目ヘッドライトに変えたいというオーナーもいるかもしれない。まずは今後のなりゆきに注目といったところだ。