eビターラの車内はコンパクトEVとして十分な広さ




スズキのeビターラはBセグメントに分類される全長4275mmのコンパクトEVだ。他方、トヨタのbZ4XはCセグメントに属し、全長は4690mmとeビターラよりもかなり大きい。もちろん室内空間もbZ4Xの方が広いが、eビターラのコンパクトカーらしからぬ長いホイールベースにより、後席膝周り空間は拳1〜2個分ほどの差まで詰め寄る。
ルーフラインはどちらも後方までほぼ真っすぐ延びており、リヤサイドウィンドウもスクエアに近い形状で閉塞感は少ない。また、どちらも後席にはリクライニング機能が備わっているため安楽な姿勢は取りやすい。
後席の頭上空間は同じくらいだが、eビターラは後席天井周りのトリムがえぐられており、狭さを感じさせない作りとなっている点はコンパクトカーを得意とするスズキらしい工夫と言えるだろう。
荷室寸法もbZ4Xの方が広いが、後席に160mmのスライド機能が備わるeビターラは用途に応じて荷室を拡大できるため狭いスペースを効率的に使える。両車の荷室寸法はeビターラの長さ675〜835mm×幅1165mm×高さ660mmに対して、bZ4Xは985mm×1288mm×828mmだ。
床下の駆動バッテリーにより室内空間が大きく圧迫されがちなコンパクトEVでも、eビターラは十分な広さと実用性を備えている。
スズキ eビターラ Z 2WD
ボディサイズ=全長4275mm×全幅1800mm×全高1640mm
ホイールベース=2700mm
車両重量=1790kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)
トヨタ bZ4X Z
ボディサイズ=全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1880kg
タイヤサイズ=235/60R18(前後)
モーター出力や航続距離は1クラス上のbZ4Xに敵わないが…


両車のグレード構成は、FFと4WDが用意される上級グレードと、モータースペックとバッテリー容量を抑えた下位グレードに分かれており、下位グレードはFFのみの設定だ。どちらも一番航続距離が長いグレードは、上位グレード『Z』のFFモデルとなる。
最大航続距離は、eビターラのZグレードFFモデルが520kmに対して、bZ4XのZグレードFFモデルが746kmだ。モータースペックもbZ4Xの方が圧倒的に優れているが、eビターラの定格出力はbZ4Xと同じ64kW(約87ps)であるため、このクラスのEVにしては高速道路での連続走行や長い登坂路走行時でも十分な余力があることを示す。
また、どちらも急速充電に対応しているが、eビターラが最大90kWであるのに対し、bZ4Xは150kWと差がある。パワートレインに関しては、あらゆる点でbZ4Xが優れていると言えよう。
ただしスズキ初のEVとは言っても、eビターラのパワートレインを含むシャシーはトヨタとの協業によるものであり、bZ4Xとの性能差は意図的なものだと言っていい。実はeビターラのシャシーは、トヨタが欧州向け小型EVとして販売予定のアーバンクルーザーと共通であるため、信頼性においては十分と言えるだろう。
ただしバッテリーは、bZ4Xが一般的な三元系リチウムイオン電池であるのに対し、eビターラにはエネルギー密度は低い代わりに安価で長寿命なリン酸鉄リチウムイオン電池が用いられている。
取り回しに優れたコンパクトなボディと長期的にバッテリー性能を維持できる特性から、eビターラは都市部での使用に重きを置いた実用的なクルマであることがうかがえる。なお、eビターラの最小回転半径はbZ4Xよりも0.4m小さい5.2mだ。
スズキ eビターラ Z 2WD
エンジン形式=交流同期電動機
排気量=-
最高出力=174ps/-rpm
最大トルク=193Nm/-rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
トヨタ bZ4X Z
エンジン形式=交流同期電動機
排気量=-
最高出力=227ps/-rpm
最大トルク=268Nm/-rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
安価でも安心して使えるプレミアム電動コミューター


『eビターラ Z 2WD』の新車価格は448万8000円、『bZ4X Z 2WD』は550万円。CEV補助金額はeビターラが127万円、bZ4Xが上限額となる130万円だ。
両車の価格差は約100万円であり、bZ4Xの方があらゆる面で高性能であることは間違いない。しかし、eビターラは単に価格を抑えただけのEVではない。とりわけインテリアに関しては価格に見合った先進性とデザイン性が備わっていると言えよう。
eビターラの運転席には、10.25インチのメーターと10.1インチのインフォテインメントモニターを統合したインテグレーテッドディスプレイが鎮座し、音声認識でナビゲーションやエアコンが操作可能だ。
シートは3種の表皮を組み合わせた凝ったデザインのコンビシートを採用し、アンビエントライトまで備わる。上級グレードの『Z』では、ガラスルーフと米インフィニティ社のサウンドシステムも標準装備だ。
ただし、eビターラには全グレードを通して後席シートヒーターが備わらない。前席にはシートヒーターとステアリングヒーターが備わるが、後席シートヒーターが欲しい場合はbZ4Xの上位グレード『Z』を選ぶ必要がある。
その点を除けば、eビターラはコンパクトな電動コミューターとして十分すぎる性能と実用性が備わったクルマと言っていいだろう。
車両本体価格
スズキ eビターラ Z 2WD:448万8000円
トヨタ bZ4X Z:550万円
