アストンマーティンF1チームは、5年間メルセデス・ベンツ製エンジンを使用してきた後、2026年シーズンに向けてホンダ製エンジンへの大規模な切り替えを行う。そして新たな情報によると、このレーシングエンジンの変更は将来の市販車にも影響を与える可能性があるというのだ。

アストンマーティンとホンダは先日、東京で新型F1エンジンを華々しくデビューさせた。イベント中、アストンマーティンのエグゼクティブチェアマン、ローレンス・ストロール氏は、このパートナーシップの将来について簡潔に語った。

「私たちの現在の計画は、言うまでもなく、非常に野心的なF1ワークスチームプロジェクトです。これが私たちの関係の始まりだと言っても過言ではありません。現時点では、市販車、ハイパーカー、スーパーカーなどについて共同で話し合ったことはありませんが、今後、そうできない理由はまったくありません」と語り、ホンダとの今後の展開に非常に期待を寄せていることが伺える。
また、両社の可能性についても、「最良のパートナーシップを築くための最良の方法を模索するために、あらゆる扉は開かれていると言っておきましょう」と述べ、両社の可能性を後押ししている。
一方、ホンダの三部敏弘社長は、この提携の今後については慎重な姿勢を示しているが、そこは日本と欧州の国柄の違いともみられ、可能性を否定することはなかったようだ。

また同社長は、「量産プロジェクトについては、今のところ協議していません。しかし、両社によるレース活動が成功すればするほど、そこから得た知見を量産車に活かす価値が生まれるでしょう。ですから、いつになるかはわかりませんが、先ほど申し上げたように、事業拡大の可能性があれば、引き続き協議していくつもりです。ローレンス氏とも協議していくつもりですし、それはまったく可能なことです」と付け加えている。
どちらの幹部も、この契約の将来について重要な発言を控えているのは当然のことだろう。2026年のF1シーズンは2026年3月に開幕する。アストンマーティンとホンダは、スーパーカー開発を決める前に、レースカーの性能を検証する必要があるからだ。

アストンマーティンとホンダは、それぞれF1のノウハウを公道に応用した経験がある。例えば、アストンマーティンは著名なF1デザイナー、エイドリアン・ニューウェイと共同でスーパーカー「ヴァルキリー」を開発。彼は、マシン周辺の空気の流れを正確に制御する複雑なボディワークを設計している。また、アストンマーティンはコスワースと提携し、10500rpmまで回転する6.5L V12エンジンを開発。ハイブリッドシステムとの組み合わせで、合計1160PSを発揮する。

ホンダF1と公道車との繋がりはそれほど直接的ではないものの、高性能車の歴史において極めて重要な意味を持っている。 1980年代、ホンダとマクラーレンはF1でパートナー関係を結んでいた。チームの一員としてF1デザイナーのゴードン・マレーはNSXの試作車を運転し、その乗り心地とハンドリングはマクラーレンF1スーパーカーにインスピレーションを受けたと語っている。彼はまた、8年間、普段使いのクルマとしてもNSXを所有していた。
ホンダとアストンマーティン、両者のDNAが融合した夢のスーパーカーは誕生するのだろうか? すべてはF1の2026年シーズン成績にかかっているとみていいかもしれない。
