安全運転が困難な重い症状での走行は「道路交通法違反」

花粉症であっても症状が軽度であれば違反には問われない。しかし、運転が困難だと客観的に判断されるほど重症の場合は、過労運転等や安全運転義務違反で処罰される恐れがある。

道路交通法 第66条では「過労や病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定められている。もちろん花粉症もこの条文に抵触する。

こうした「過労運転等」による違反点数は25点となるため一発で免許取消処分となり、取消期間は前歴がない場合でも2年だ。そのうえ、刑事罰として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。過労運転の罰則は、酒気帯び運転と同等に厳しいものだ。

ただし、花粉症で運転すれば直ちに過労運転として処罰されるわけではない。花粉症での運転は危険ではあるが、個人によって症状に程度はある。

安全な運転に支障がない軽度の症状であれば違反には問われないが、くしゃみや鼻水によって適切な操作が妨げられるような状態であれば、事故の有無にかかわらず過労運転等もしくは安全運転義務違反で検挙の対象となる恐れがある。

仮に重い症状を抱えたまま運転して事故を起こしてしまった場合には、過失運転致死傷罪に加えて明確な過労運転として重い処罰が下されることになるだろう。

花粉症での運転の危険性は、運転する当人が一番よく知っているはずだ。涙は視界を奪い、1度のくしゃみで仮に0.5秒間目をつむると、60km/hで走行中ならクルマはその間に8mも進む。突然のくしゃみはハンドルやアクセルの誤操作を招きかねないほか、鼻水や鼻をかむ行為は運転時の集中力を確実に削ぐ。

花粉症薬のなかには運転が禁止されている薬も

過去には、花粉症薬を服用しての運転や、激しいくしゃみによるハンドル操作の誤りによって、歩行者を死傷させた事故も起きている。裁判では、事故の可能性が予見できたにも関わらず運転を継続した過失責任が厳しく問われた。

花粉症の症状だけでなく、それを抑えるための薬にも注意したい。花粉症に有効な抗ヒスタミン剤には、副作用として強い催眠作用や中枢神経抑制作用があり、服用後の運転は安全性を著しく低下させる。

薬の副作用により正常な判断ができない状態での運転は、前述した道路交通法 第66条における薬物の影響による運転に該当するため、明確な道路交通法違反だ。

多くの花粉症薬のパッケージには「服用後の乗物または機械類の運転操作を避けるように」と注意喚起文が記載されており、こうした警告を無視して運転し、居眠り運転や不注意による事故を誘発した場合は重大な過失として責任が追及される。

眠気が出にくい第2世代の抗ヒスタミン剤も普及しているが、製品によっては依然として運転禁止の旨が記載されている。また、運転に関する注意喚起文の記載がない薬でも、体質によって副作用が強く出る場合もあるため安心はできない。

注意喚起文がない薬であっても、服用後の反応も加味して運転の可否を判断し、体調が優れない場合は極力公共交通機関などを利用したい。

クルマの花粉対策は「車内に入れない、入れたら除去」が基本

車内の樹脂部品は静電気によって花粉粒子を吸着するため、ダッシュボードなどを濡らしたクロスで拭き取るだけでも大部分の花粉を除去できる。ただし、アルコールタイプのウェットティッシュは樹脂部品を変質させる恐れがあるため、水道水や精製水を染み込ませたペーパークロスを使用するのがベターだ。

どうしても運転しなくてはならない場合は、本格的な花粉シーズンが始まる前に、集塵性が高いエアコンフィルターや抗アレルゲン機能が備わったフィルターに交換しておこう。

PM2.5クラスの捕集能力があれば花粉の粒子を確実にキャッチし、抗アレルゲン機能は捕集した花粉の活動を抑制してくれる。PM1.0クラスのエアコンフィルターや静電気を利用した帯電フィルターであれば、静電吸着や拡散などの原理により網目より小さな微細粒子も捕捉するため、花粉爆発などで微細化した粒子にも高い防護効果を発揮する。

そのうえで走行中は内気循環モードを基本としよう。ただし、内気循環モードを続けると車内の二酸化炭素濃度が上昇し、かえって眠気を誘発する恐れがあるため適宜外気導入モードへ切り替えることも忘れてはならない。

また、花粉を車内へ持ち込まない工夫も大切だ。衣服に付着した花粉を払い落としてから乗り込み、車内に入り込んだ花粉は定期的な清掃で取り除くようにしよう。

車内清掃を行う際は、花粉を舞い上がらせないように掃除機や乾拭きは避け、濡らしたクロスなどで優しく拭き取るのがよいだろう。