強風の力を受けたドアパンチの威力は凄まじい

ドアを開けた際に隣のクルマにぶつけてしまう接触事故は「ドアパンチ」と呼ばれる。

平時のドアパンチであれば塗装に傷がつくか、わずかに凹む程度の損傷で済む。しかし、船の帆のように風の力を受けたクルマのドアは、ときに大人の力でも抑えきれないほど強い力で一気に全開まで開いてしまう。

力の大きさは風速の2乗に比例して強くなるため、少し風が強まるだけでドアを押し出すエネルギーは数倍に跳ね上がる。さらにドアのヒンジを支点とした「てこの原理」が働くうえ、そのエネルギーは作用点となるドアエッジの極小面積に集中することになる。

その威力は、隣のクルマのボディパネルを深く凹ませてしまうほどの強さだ。請求される修理費用は相応に引き上がるうえ、ぶつけたクルマが高級車であった場合は、さらに高額な賠償が求められるだろう。おまけに自分のクルマのドアも無事では済まない。

風の強い日にドアを開ける際は、必ずドアグリップを強く握るとともに、もう片手でドアの縁をしっかり掴みつつ、風の力に負けないように足を踏ん張りながら開けるようにしよう。

板金塗装はいくら?ドアパンチの修理代目安

ドアパンチの加害者になった場合でも、当事者同士の口約束で済ませたり、安易に現金を渡して行う示談は二次トラブルの元となるため避けたい。被害者になった場合も同様だ。

隣のクルマにドアをぶつけてしまった場合、その修理費用は部位や与えたダメージによって大きく変動する。ダメージの程度は風速とドアの重量の影響を大きく受けるため、軽度の擦り傷から板金修理が必要な大きな歪みまで様々だ。

塗装がわずかに剥がれた程度の小傷であれば1万〜3万円程度で済むこともあるが、ドアパネルに凹みが生じた場合は大規模な板金塗装が必要となり、10万円を超えるケースも珍しくない。

さらに、相手のクルマが特殊な塗装であったり、部品交換が必要になったりすれば、費用はさらに跳ね上がる。加えて、修理期間中の代車費用も発生する可能性があることと、自分のクルマのドアエッジ修理代として5万円前後の費用が必要となることも忘れてはならない。

幸い、こうした事故は物損事故として扱われるため、自動車任意保険の対物賠償保険の対象だ。車両保険に加入していれば自分のクルマの修理にも保険が適用できる。

ただし保険を使うためには、警察に届けを出して事故証明書を発行してもらう必要がある。また、保険を使用すれば翌年度からの等級が下がり、保険料が増額される点も覚えておきたい。

任意保険の契約内容にもよるが、10万円以下の修理であれば自費で支払う方が安く済む場合がほとんどだ。最終的には保険料の増分と請求される修理費を比較して保険を使うかどうか決定しよう。

加害者・被害者にならないためのドアパンチ対策法

風が強い日はドアパンチの加害者になりやすいだけでなく、被害者にもなりやすい。対車両だけでなく、強風によるドアの自損事故にも注意しよう。

風の強い日は「他のクルマの横に駐車しないこと」が、ドアパンチに対するもっとも確実な対策法だ。

やむをえずクルマの横に駐車しなければならない場合は、くれぐれも風に注意しながらドアを開けるようにしよう。同乗者がいる場合は、あらかじめ安全な場所で乗降車を済ませておくべきだ。

子どもや高齢者が乗降する際は、突風に対応できない恐れがあるため、大人が外からドアを開けてあげたい。また、乗員が不用意にドアを開けてしまわないようチャイルドロック(チャイルドプルーフ)も活用しよう。

風が強い日は、反対にドアパンチによる当て逃げをされる可能性も高まる。時間が経過してから被害に気付いても、加害者が特定できず泣き寝入りとなるケースも少なくないため、駐車していたクルマに乗り込む前には必ず車両側面の状態を確認しておきたい。

もし当て逃げをされていたなら警察に被害届を出すことになるため、まずは損傷箇所を写真に収めるとともに日時や場所などの詳細を記録しておこう。ドライブレコーダーの駐車監視機能にドアパンチの様子が映っていたなら録画データの保護操作を忘れずに行い、念のため周囲に防犯カメラがないか確認しておくとよいだろう。