シートギミックが光るセレナ vs 上質な空間と使い勝手のヴォクシー




セレナは5ナンバーサイズ、ヴォクシーはフル3ナンバーサイズのミニバンだが室内空間の広さは同等と言ってよいだろう。車内の使い勝手においては、依然として独自の工夫を凝らしたセレナが優勢だ。
セレナの最大の特徴であるスマートマルチセンターシートは、2列目シートの中央座席をスライドさせて前席のセンターコンソールとしても使えるギミックであり、状況に応じてベンチシート状態とセパレートシート状態を柔軟に切り替えられる。
対するヴォクシーは、最上級グレードの“S-Z”を選択するとキャプテンシート仕様の7人乗りしか選べない。しかし、ヴォクシーは2列目シートが745mmの超ロングスライドを可能としており、圧倒的な足元空間を確保できる点が強みとなる。
3列目シートはどちらも跳ね上げ格納式となるが、窓枠に収める形でシートを格納できるヴォクシーの方が張り出しが少なく、荷室が広く使える。3列目シートにスライド機構が備わるセレナは荷室への張り出し量が多い代わりに、格納時でも窓が隠れないため後方確認がしやすい。
また、セレナのリヤハッチに電動開閉機構は備わらないものの、ガラス部分だけを開閉できるデュアルバックドアが継続採用されており、狭い場所での荷物の出し入れに重宝する。対するヴォクシーは、任意の角度で止められるフリーストップ機能を備えた電動リヤハッチを開閉の妨げとならない車両側面から操作可能だ。
コストアップを抑えつつも高い利便性と多機能を備えたセレナに対し、ヴォクシーは贅沢な2列目空間と広く便利に使える荷室空間が大きな特徴と言えるだろう。
日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV
ボディサイズ=全長4765mm×全幅1715mm×全高1870mm
ホイールベース=2870mm
車両重量=1810kg
タイヤサイズ=205/65R16(前後)
トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-Z
ボディサイズ=全長4695mm×全幅1730mm×全高1895mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1680kg
タイヤサイズ=205/55R17(前後)
燃費性能はヴォクシーの圧勝! セレナもeペダルが使いやすく


1.4L エンジンを発電専用とし、最大トルク315Nmの大トルクモーターで駆動するe-POWERを採用するセレナは、電気自動車に近い力強い出足と滑らかな加速が持ち味だ。
マイナーチェンジによるスペック変更はないが、アクセル操作のみで自在に減速速調整ができる“e-Pedal Step”に“前回モード記憶機能”が追加されたことで、都度スイッチを切り替える手間が解消された。
ヴォクシーは、1.8L エンジンと最大トルク185Nmのモーターを最適に使い分けるTHS-IIを搭載しており、どのようなシーンでも安定した燃費性能を発揮する。
両車のWLTCモード平均燃費はセレナが19.0km/Lであるのに対し、ヴォクシーは23.0km/Lだ。とくに高速道路での巡航では、エンジンの直結駆動で走行できるヴォクシーが優れた燃費性能とドライバビリティを発揮する。
燃費性能で劣るとはいえ、100%モーター駆動による静粛性とレスポンスがセレナの大きな魅力となる。ストップ&ゴーが多い市街地走行ではセレナの方が好印象を受ける人も多いはずだ。
また、セレナはGoogle搭載の“Nissan Connectインフォテインメントシステム”をオプションとして新採用し、ナビ機能とアラウンドビューモニター機能、コネクテッド機能の大幅強化。さらに、別途“プロパイロットパーキング”も追加可能となっており、駐車支援機能に関しては“アドバンストパーク”をいち早く採用していたヴォクシーに追いついた形となる。
日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1433cc
最高出力=98ps/5600rpm
最大トルク=123Nm/5600rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-Z
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1797cc
最高出力=98ps/5200rpm
最大トルク=142Nm/3600rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FF)
セレナは追加オプション次第でヴォクシーよりも高額に


セレナ e-POWER ハイウェイスターVの車両本体価格は377万5200円、対するヴォクシー ハイブリッド S-Zは399万9600円だ。
今回のマイナーチェンジにおけるセレナの値上げは、最上級グレードのルキシオンを除いて5万円前後に抑えられている。ヴォクシーと比べるとセレナの方が割安に感じられるが、追加するオプション次第で価格は容易に入れ替わる。とくにカーナビ選びには注意を払いたい。
セレナはオーディオレスが標準であり、ベーシックなディスプレイオーディオを追加するのにも約13万円かかる。より高機能な日産オリジナルナビは約24万円で、新たに追加された“Nissan Connectインフォテインメントシステム”は45万円超の高額なセットオプションだ。加えて、セレナのFFモデルは前席シートヒーターもオプション設定となっている。
それに対し、ヴォクシーの“S-Z”グレードはディスプレイオーディオと前席シートヒーターが標準装備だ。セレナは2列目にも前席とセットでシートヒーターを追加できる美点はあるが、同等レベルまで装備を揃えるとなると価格差はないものと考えるべきだ。
一長一短はあるものの、クルマ自体の総合性能はほぼ互角と言ってよいだろう。両車のカタログ装備表を見比べながら、用途と必要な装備に応じて購入するクルマを選び分けたい。
車両本体価格
日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV:377万5200円
トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-Z:399万9600円
