後席はクロスビーが断然快適! ジムニーノマドの荷室は広いけど不便

ボディサイズはノマドの方が全長130mm長い程度で、両車ほぼ同じと言ってよいだろう。

しかし、ノマドの全幅はオーバーフェンダーを含む寸法であり、キャビンの幅は軽自動車のジムニーと同じだ。

ジムニーシエラに対して全長およびホイールベースが340mm延長されているノマドだが、後席は膝周り空間、頭上空間ともにクロスビーの方が明らかに広い。さらにクロスビーは後席に10段リクライニング&165mmスライド機構が備わっており快適性も高い。

ノマドにもリクライニングは備わるが可変量はわずか2段だ。さらに乗車定員はクロスビーが5人であるのに対し、ノマドは4人のままとなる。

荷室寸法はノマドの方が一回り広く確保されているが、後席格納時は荷室床面と背もたれの間に大きな段差ができてしまう。純正アクセサリーのラゲッジボックス(2万9700円)を装着すれば段差は解消できるが、倒した背もたれの大きな傾斜は解消できない。

その点、クロスビーは荷室がほぼフルフラットになるうえ、後席背面まで防汚仕様となっている。床下に備わる脱着可能な37リットルのラゲッジアンダーボックスも日常からアウトドアレジャーまで活躍する便利な装備だ。

車内機能や収納もクロスビーのほうが充実している。ノマドはオプションのディスプレイオーディオを装備しなければUSBソケットすら備わらない。価格上昇を抑える目的もあるだろうが、細かな不便は工夫で解消するジムニーのスタンスはノマドでも変わっていない。

スズキ ジムニー ノマド FC
ボディサイズ=全長3890mm×全幅1645mm×全高1725mm
ホイールベース=2590mm
車両重量=1210kg
タイヤサイズ=195/80R15(前後)

スズキ クロスビー HYBRID MZ
ボディサイズ=全長3760mm×全幅1670mm×全高1705mm
ホイールベース=2435mm
車両重量=1030kg
タイヤサイズ=175/60R16(前後)

ジムニー譲り悪路性能は確かに高い。しかし日常的な移動では…

ノマドのパワートレインは、ジムニーシエラとまったく同じ構成となる1.5L 直列4気筒自然吸気エンジン+副変速機付き4速AT+パートタイム4WDシステムだ。対するクロスビーは、1.2L 直列3気筒自然吸気エンジン+マイルドハイブリッドシステム+CVTで、4WDシステムはビスカスカップリング式の簡易的なスタンバイ4WDとなる。

180kg軽い車重と、最大トルク60Nmのモーターアシストにより発進加速の鋭さはもちろん、ハンドリングもクロスビーの方が明らかに軽快であり、燃費性能でも優れる。両車のWLTCモード平均燃費はクロスビーが21.0km/L(ハイブリッドMZ 4WD)、ノマドは13.6km/L(JC 4AT)だ。

不整地での走破性を重視した設計のノマドは悪路走行において卓越した性能を発揮する。しかし、その性能を発揮できるシーンは非日常的な場面に限られる。

パートタイム4WDであるノマドは平時はFRであり、4WDへ切り替えると前後輪が直結状態となるため、氷雪路と乾燥路が混在する道路では非常に使いづらいばかりか、かえって挙動を乱す原因になりかねない。

悪路走行の要となる前後のリジッドアクスルはサスペンション自体が重いため、高い着座位置と相まって特有の揺れが起こる。また、ノマドでは後輪荷重の増加に合わせてリヤサスペンションも硬められている。

“ブレーキLSDトラクションコントロール”は、クロスビーに搭載される“グリップコントロール”と類似した機能ではあるが、4WDの状態でしか作動しないようになっている。

さらに言えば、オーバーフェンダーにより車幅感覚が掴みづらいうえ、最小回転半径はクロスビーの4.7mに対して5.7mと、Dセグメントセダン並みに小回りが利かない。

日常での移動はクロスビーの方が乗り心地がよく軽快に走れる。4WDモデルにはグリップコントロールやスノーモードも備わるため、キャンプ場などの不整地や雪道といった日常的に想定される悪路の走行はクロスビーでも困ることはないだろう。

スズキ ジムニー ノマド FC
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン
排気量=1460cc
最高出力=101ps/6000rpm
最大トルク=130Nm/4000rpm
トランスミッション=4速AT
駆動方式=パートタイム4WD

スズキ クロスビー HYBRID MZ
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1197cc
最高出力=80ps/5700rpm
最大トルク=108Nm/4500rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD

悪路走行以外は、すべての面でクロスビーの方が使いやすい

ジムニーノマド FC(4速AT)の新車価格は292万6000円、クロスビー HYBRID MZ(4WD)は255万5300円だ。

ノマドの価格は、2026年1月の一部仕様変更で約13万円アップしたが、快適性と安全性は大きく高まっている。

衝突被害軽減ブレーキはクロスビーと同じ“デュアルセンサーブレーキサポートII”が採用されたほか、車線逸脱抑制機能が標準装備となり全車速追従機能付のアダプティブクルーズコントロールが備わった。加えて、スズキコネクト対応のバックアイカメラ付ディスプレイオーディオがオプションとして設定されている。

4ドアボディとなるノマドは後席が使いやすいだけでなく直進安定性や静粛性も高い。しかし、そうした好評価はあくまでジムニーシエラと比べた場合であって、絶対的な乗り心地や使い勝手で優れるクルマは他にたくさんある。

クロスビーもそのなかの1台。劣悪な路面での走行性能を除けば、クロスビーはほぼすべての面においてノマドより使いやすいクルマであり、4WDを選んだとしても37万円安いうえ、長い納車待ちもない。

日常的に使えるノマドだが、その本質はジムニーであり不便は必ず現れる。そうした不便を楽しむ心意気があるなら迷わずノマドを選ぼう。

車両本体価格

スズキ ジムニー ノマド FC(AT):292万6000円

スズキ クロスビー HYBRID MZ(4WD):255万5300円