気になる中古911の仕様は……
店舗に飾られていたのは、純白の911。
簡単に車両情報をお伝えすると、2001年式のポルシェ911カレラ。いわゆる素の996といえるもの。走行距離は約6万キロ。年式からすれば、かなり少ないといえます。

ステアリングの位置は、本国と同じ左ハンドル仕様。トランスミッションは流通の多い5速AT「ティプトロニックS」。インテリアはブラックレザー仕様で、サンルーフが装備されていました。さらに社外品として、ポータブルナビを追加。オーディオシステムがパイオニア製オーディオユニットに変更され、BOSEのボックススピーカーを追加。そして、足元にはBBS製18インチホイールが装着されていました。

注目すべきは、”ワンオーナー車”で、保証こそないものの車検2年付きであること。車検2年付きならば、車検を通せる状態までの整備代が含まれることを意味します。そのため、購入時に必須の整備代が膨らむ心配がないことは安心材料といえるでしょう。
気になる”並行車”ってなに?安いにはワケがある……その注意点とは
欲を言えばMT車だったら万々歳だったのですが、なんと車両本体価格265万円で、諸費用込みで楽々と300万円を切るという総額であることを鑑みれば、文句なしの条件といえるでしょう。唯一気になったのは、「新車並行車」であることでした。
一般的に輸入車は、ディーラー車と呼ばれる正規輸入車と並行輸入車の大きくふたつに分けられます。ざっくりいえば、ディーラー車は海外の自動車メーカーが日本向けの法規対応できる仕様に変更や調整を行ったクルマであり、販売も正規ディーラーを通じて行なわれたもの。また日本向けに企画された仕様なので、本国仕様よりも標準装備が充実していたり、日本独自仕様となっていたりします。

一方、並行輸入車は、現地や他の地域向けに製造されたものを、販売者が海外で仕入れて独自に輸入したもの。日本に正規導入されていない車種やクラシックカーなどで行なわれることが多く、日本の法規に対応できる変更を施することで、登録を可能としたものです。海外で一度も登録されていないものを新車並行車、海外で登録済みのものが中古並行車と呼ばれています。
かつて高価だった欧米の高級車は並行輸入が盛んに行なわれており、市場にも多く出回っていました。その最大の魅力は販売価格の安さでした。為替や仕様の違いなどから、車種によっては数百万以上安いなんてケースも珍しくなかったのです。
しかし、1990年代後半には円高の影響と海外メーカーが戦略的な価格設定を行なうようになり、ディーラー車と新車平行車の価格差が縮小。さらにディーラー車のような手厚い新車保証もなく、売却時の価格も安くなるため、平行輸入車の需要は下火となり、日本に正規輸入するしかないクルマに限られるようになりました。

この996が輸入された当時が、新車平行輸入が盛んだった時代の最後でしょう。それを示すように、同車の輸入元は、某TV番組で”虎”と呼ばれた有名社長の経営する新車平行輸入車の販売を得意としていた会社でした。その後、同社が並行輸入業者からインポーターへと転身。その後、紆余曲折があったことをご存じのクルマ好きも少なくないでしょう。
並行輸入車の場合で懸念すべきはディーラー車と仕様が異なる場合があるため、国内で部品が入手できず輸入しなければならない可能性があることや、故障時に正規ディーラーでメンテナンスが受けられない可能性などの問題が生じることもあります。またリコールも、並行輸入車は対象外となるようです。そのため、ディーラー車と比べ、中古車の販売価格も低めになるのが一般的なのです。
並行輸入の左ハンドル車も”現地仕様”ということで前向きに検討
しかし、2001年式ということは購入検討当時でも既に23年落ちの中古車であり、ネオクラシックともいえる存在。今まで日本で前オーナーが問題なく維持できていたのだから、あまり気にしても仕方ないと考えることにしました。

そもそも911は、仕向け地が異なっても全てシュトゥットガルト(ポルシェ本社および工場所在地)製ですし、当時の輸入車は、地域ごとの差別化も少なくなってきた頃。個人的にも、以前に左ハンドル車を所有した経験がありますし、そもそも欧州ではこちらが標準。現地仕様に近いものを手にできると前向きに捉えることにしました。
実車の第一印象が良かったこともあり、より細部をチェックしてみることにしました。
続く……。

