ホンダの車いすレースへの取り組み
ホンダは障害者の社会進出を支えるべく1981年にホンダ太陽を設立。1993年には「車いすレーサー研究会」を発足。さらに1999年に同社内に障害者スポーツに取り組むアスリートを応援する「ホンダアスリートクラブ」が設立されている。

そして、車いすレースに参戦するアスリートのためにフルカーボンの車いすレーサーの開発が進められた。2000年にはこれまでの枠を超えて本田技術研究所が開発に着手。2002年に試作1号となるホンダ製車いすレーサーが誕生した。

さらに、2014年には市販レーサー「極KIWAMI」をリリース。2019年にはニューモデルとなる「翔KAKERU」が登場している。
ホンダの車いすレーサーに使用されるカーボンフレームは、マザーサンヤチヨオートモーティブシステムズ(旧・八千代工業)との協業により製造されており、ホンダ、マザーサンヤチヨオートモーティブシステムズ、ホンダ太陽の3社協業により車いすレーサーを支えている。
「翔KAKERU」に投入されるホンダの最新技術

現在ホンダがラインナップしている車いすレーサーのトップモデルが「翔KAKERU」で、フレームからフロントフォークまでカーボン製となっており、同じくカーボンを用いた超軽量高剛性ホイールが組み合わされる。車体重量は7.9kg。ステアリングダンパーをメインフレーム内に収めてすっきりとした外観だけでなく、機構の保護製も高めている。

さらに車体後部をウイング形状とする優れたデザイン製は2021年のグッドデザイン賞として評価されている。もちろん、デザインだけでなく選手の乗り降りに配慮したコックピットまわり、選手の漕ぎ力を最大化する着座ポジションなど、選手ごとに最適化されたオーダーメイドとなる。



加えて、左右のホイールを繋ぐアクスルシャフトはホンダが現在活用を進めている金属3Dプリンターでトポロジー形状に出力したパーツを使用。軽量化と高剛性を両立している。
操縦安定性、加速性、トップスピードをハイレベルにバランスしたこのマシンをトップアスリートが操れば、最高速度は平地で30km/h以上、下りでは60kmにも達するという。まさにホンダの最先端テクノロジーが投入された究極の”マシン”と言えるだろう。



その分高価で、フラッグシップモデル(カーボンフレーム、カーボンフロントフォーク、超軽量ホイール、カーボンハンドリム)438万円(カーボン地無塗装)にもなる(塗装で+30万円)。スタンダードモデルでも343万円(ホイールを含まないフレーム単品で263万円)となっている。まさに世界のトップで戦うための”マシンなのだ。

スタンダードモデルもかなり高価な「翔KAKERU」だが、ホンダはよりベーシックなモデルとして「挑IDOMI」もラインナップしており、こちらはセットで130万円(フレーム単品で90万円)。カーボンではなくアルミフレームを使用しており、重量は9.0kgとなる。

専用測定機器でマシン開発と選手へのフィードバックを向上
ホンダは車いすレーサーの開発だけでなく、測定機器も開発。この「漕ぎ力測定機器」で、これまで選手の感覚やタイムで判断していた「漕ぎ力」を詳細に測定し視覚化。素早くフィードバックすることを可能とした。

またこの機器は、漕ぎ力測定だけではなく、選手の適正なポジションを無段階で設定することができ、漕ぎ力を最大化できる最適なポジションを導き出すことができるのだ。

漕ぎ力測定機器は機器自体はホイールに仕込まれており、アシモにも使用された6軸センサーやIMUセンサー、データ収集用の電装部品などが組み込まれる。ホイール自体はアルミスポークとCFRPパネルを組み合わせたものになっている。

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これまでは測定から解析まで時間がかかっていたが、この装置により測定後すぐにデータとして出力されるため、選手は走法などの違いによる漕ぎ力の違いなどが素早く把握できる。




この漕ぎ力測定によるデータ化により、競技はさらにハイレベルになっていくことだろう。
契約レーサーは世界でわずかに5人
車いすレースはパラリンピックを頂点に「大分車いすマラソン」(1981年初開催、2025年大会で44回を数える伝統のレース)など世界的にも盛んな障害者スポーツのひとつに数えられる。
車いすレーサーのメーカーじゃホンダ以外には国内でシェアの大きなオーエックスエンジニアリング、スイスのザウバー、海外でのシェアが大きいアメリカのトップエンドが挙げられる。



このように、車いすレーサーは人気の自転車競技と遜色ないハイレベルな機材で争われており、契約選手も存在する。現在ホンダの契約選手となっているのは世界でたった5人、スイス人2名、アメリカ人1名、日本人2名のみだ。

選手の活躍はもちろん、こうした車いすレーサーのメーカーを知れば車いすレースをより深く観戦・応援することができるだろう。
ホンダが活用を進める金属3Dプリンターはホンダ絶版旧車乗りの救世主になるか? 課題はサイズとコストと品質 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

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