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今日は何の日?■初代デリカにバンと乗用コーチが追加

1969(昭和44)年3月17日、三菱自動車は前年に誕生した小型トラックの初代「デリカ」に、新たに「デリカバン」と乗用「デリカコーチ」を設定することを発表した(発売は4月1日)。バンは500kg積載のキャブオーバー商用車、コーチはクラス最大の9人乗り乗用車であり、これによりデリカシリーズが完成した。

多目的キャブオーバーの小型トラック、デリカ誕生

ジープのライセンス生産で自動車生産を本格化させた三菱。「三菱ジープ」は、その優れた耐久性と信頼性が認められ、自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両として採用され、その後市販化されてオフロード車として圧倒的なシェアを獲得した。
三菱は、このジープの生産で培われた技術を生かして、オフロードにも強いトラックやバンなどの商用車の展開を図った。こうして登場したのが、1968年6月に誕生した「デリカ」であり、また後に登場する「パジェロ」である。

初代デリカは、ラダーフレームにキャブオーバーの3人乗りキャビンを組み合わせた小型トラックだった。ライバルとしては、トヨタの「ハイエース」や「トヨエース」、日産の「ダットサン・キャブ」、マツダの「ボンゴ」などがあった。
アピールポイントは、ライバルよりも2割程度多く積める積載量、クラス初の前席3名乗車、そしてクラス最強レベルのエンジンである。エンジンは、実績のある乗用車「コルト1100」の最高出力58ps/最大トルク8.3kgmを発揮する1.1L 直4 OHVを搭載し、トランスミッションは4速MT、駆動方式はFRが採用された。
商用バンと乗用コーチを追加


初代「デリカトラック」誕生の翌1969年3月のこの日、デリカのシェアを拡大するためにシリーズ化(ラインナップ拡充)が発表された。追加されたのは、リアに上開きのドア、左側面にスライドドアを設けた500kg積載のワンボックス型商用車「デリカライトバン&ルートバン」と、9人乗りの乗用ワゴン「デリカコーチ」だ。このコーチが現在の人気ミニバン、デリカの源流である。
スタイリングは、丸型2灯式ヘッドライトとベンチレーター開口部が備わる丸みを帯びたフロントマスクが特徴。パワートレーンは、デリカトラックと同様で1.1L 直4 OHVと4速MTの組み合わせ。駆動方式はFRで、最高速度は115km/hを記録した。

車両価格は、48万~52万円(バン)/58万~63万円(コーチ)に設定。当時の大卒初任給は3.4万円(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約325万~352万円/392万~426万円に相当する。
そして1970年に、エンジンの最高出力を62psに向上。1971年10月/11月のマイナーチェンジで「デリカ75」となり、フェイスリフトやバン系のテールゲートのデザインを変更。同時にエンジンは86ps/11.7kgmの1.4L 直4 OHVに換装され、最高速度は140km/hに達して走りの力強さが増した。
その後進化しながら三菱の屋台骨になったデリカ
バリエーションの充実によって、デリカの生産台数は1968年度の6639台、1970年度には1万5239台と倍増して三菱を支える主力モデルとなった。


乗用ワゴンのデリカコーチは、その後2代目「デリカスターワゴン(1979年~)」へモデルチェンジ。クリーンなワンボックススタイルとなり、左側スライドドアを配置した3列シートの定員9名のミニバンとなった。続いた3代目「デリカスターワゴン(1986年~)」は、先代よりも角が取れた丸みを持たせたスタイリッシュなワンボックス型のミニバンに変貌。駆動方式は、FRとパジェロ譲りの走破性に優れた4WDが用意された。

RVブームの中でデビューした4代目「デリカスペースギア(1994年~)」は、パジェロとともにRVブームをけん引する人気モデルとなり、唯一無二の本格4WDミニバンとして確固たる地位を築いた。そして、現行の5代目「デリカD:5(2007年~)」は、市場の変化に対応して先代のオフロード重視から、ミニバンとSUVしての機能を重視して、フロントフェイスも都会的な雰囲気に変わった。

D:5は、誕生からすでに19年経過するが(2026年現在)、フルモデルチェンジすることなく、マイナーチェンジで進化しながら、ファンから飽きられることなく人気を継続している。


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デリカの名は、デリバリー(配達)とカーを組み合わせた造語である。名が表すように、商業車としてデビューしたデリカだが、約60年の間にそのイメージは人気のミニバンへと変貌した。姿は変わったが、三菱ジープで培われた4WD技術と高い耐久信頼性は長く継承され、初代から累計台数は138万台を超え、三菱の登録車の中で最もロングセラーモデルとなっている。
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