究極のR35GT-R、ここに完成

HKSが示したコンプリートの答え

ついに日本発のコンプリートカーが、世界の名立たるチューナーと肩を並べる時が来た。今年の東京オートサロンで華々しくデビューを飾った『THE HKS』のR35GT-Rである。

エンジンからエクステリアに至るまで徹底的に手が入れられたこの1台は、HKSの技術の集大成とも言うべき存在。東京国際カスタムカーコンテストでは優秀賞を獲得し、1億1000万円〜という弩級のプライスとともに、会場の話題をさらった。

当然ながら、この特別なR35を手にできるユーザーはごくわずかだ。しかし、THE HKSの公式サイトが公開されるや否や、わずか数日で「SOLD OUT」の表示が並んだ。

言うまでもなく、HKSは世界に名を轟かせるチューニングブランド。国産スポーツを進化させる数々のパーツで支持を集めてきたが、2024年に新規事業としてTHE HKSを立ち上げ、コンプリートカーの製作を発表した際には、そのブランド価値をいかに築くかが大きな課題とされていた。

ブラバス、RUF、ゲンバラ、アルピナ…欧州には歴史あるチューナーズブランドが存在し、多くのクルマ好きを魅了してきた。HKSもかつてBNR32ベースの『ZERO-R』を手がけた実績はあるが、それ以降は1台の車両を丸ごとプロデュースする活動からは距離を置いていた。

それでも、長年パーツサプライヤーとして積み上げてきた信頼は揺るがない。今回の即完売は、その価値が世界に認められた証と言えるだろう。

前置きが長くなったが、THE HKSのR35GT-Rがいかに特別な存在なのか、その中身を見ていこう。

ベースとなるのはMY24ニスモ。R35の集大成とも言える個体に、HKS流のカスタマイズが施される。心臓部には、熟練のエンジニアがレースエンジン同等の精度で組み上げた4.3Lコンプリートエンジンを搭載。

最新のGT5565_BBターボやGT1000インタークーラーキットを装備し、大容量インジェクターや大径フューエルラインによって燃料系も強化。マスタリーECUとF-CON VプロVer3.4でマネージメントされ、最高出力は1200psに達する。

単なるパワー追求では終わらない。素材の選定からクーリング対策まで徹底することで、日常域から高負荷の連続走行まで対応するフレキシブルなユニットに仕上げられている。

サスペンションには、純正電子制御ダンパーと連携するハイパーマックスRのTHE HKS専用スペックを採用。限界域を引き上げながらも、しなやかさを兼ね備えたセッティングが与えられている。フロントにはリフター機構も備わり、段差への対応力も確保した。

ホイールはアドバンレーシングビヨンドの20インチに、アドバンA052(285/30)を組み合わせる。ブレーキは信頼性の高いニスモ純正システムを踏襲。

インテリアは落ち着いたトーンで統一。コンソールにはEVCコントローラーを違和感なくマウントし、ダッシュボードには専用シリアルプレートを配置する。シートはニスモ純正のレカロ製カーボンバケットだ。ミッションはHKS強化品へと換装され、DCTフルードクーラーやデフオイルクーラーも備わる。

エクステリアも抜かりはない。ドライカーボン製フロントディフューザーはアンダースイープ形状を採用し、高速域でのノーズリフトを抑制。可変バルブ付きマフラーは、車速や回転数に応じて音量をコントロールでき、マット仕上げのテールが上質な存在感を演出する。なお、THE HKSのエンブレムはチタン製だ。

さらに、2枚羽根構造の可変式GTウイングも専用品。軽量かつ高剛性なドライカーボン製で、強力なダウンフォースを発生させる。ステー内部には電動リンク機構が組み込まれ、車速に応じてフラップ角度を制御するDRS機構も備える。

「THE HKSのフラッグシップとして、コストに制約を設けず、これまで培ってきた技術をすべて投入しました。1200psを日常的に扱えるロードゴーイングカーを目指し、サスペンション、マフラー、ウイングに可変機構を取り入れています。最高のパッケージに仕上がりました」と語るのは、HKSの橋本氏(左)と赤塚氏(右)。

細部に至るまで作り込まれたその完成度を見れば、即完売にも納得がいく。HKSの最新技術を惜しみなく注ぎ込んだこの1台は、単なるハイスペックマシンではない。見る者の心を動かす、特別な存在だ。

スペック以上に「走らせてみたい」と思わせる魅力。究極のコンプリートRを前に、日本のモノづくりの底力を改めて実感させられた。

●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235

「これが5年分の進化なのか…」新型HKSハイパーマックスS車高調の実力検証!

GR86/BRZ用パーツを幅広く展開するHKSが、人気のストリート車高調「ハイパーマックスS」を5年ぶりにリニューアルした。乗り心地と走行性能の両立を追求した最新モデルは、ストリートからワインディングまで幅広いシーンで高い完成度を発揮するという。今回はスーパーチャージャー仕様のデモカーをストリートへと持ち出し、その実力を実際に体感してみた。

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