57秒台は“通過点”にすぎない!

HKSが本気で仕上げるシビックタイプR!

Attack筑波2026に向けたセットアップ走行が行われた2月11日、NOB谷口の代打としてステアリングを握った冨林勇佑選手が、早々に筑波57秒999をマークした。本番のAttack筑波では、タイヤ選択やオイル処理による赤旗中断の影響もあり、ポテンシャルを出し切るには至らなかったが、それでもこのタイムが持つインパクトは大きい。

というのも、この『HKSレーシングパフォーマーFL550R』は、昨年11月の真庭速祭でデビューしたばかりの車両。わずか3カ月という短期間で、筑波シェイクダウン時にノーマルタービンで58秒台、さらにボルトオンターボ化によってあっさりと57秒台へ突入しているのだ。シビック タイプR(FL5)のポテンシャルの高さはもちろん、それを引き出すHKSの開発スピードと完成度には驚かされる。

ここで改めて、この車両の成り立ちを整理しておこう。真庭速祭ではブーストアップと軽量化というシンプルな仕様ながら、クラス3位・総合6位を獲得。そのままの仕様で臨んだ筑波シェイクダウンでは58秒776を記録し、東京オートサロン2026では伝統のHKSレーシングオイルカラーへと変貌。本格的なタイムアタックに向けて、エアロやタービンといった各部のアップデートがハイペースで進められてきた。

現在の仕様は、エンジン本体とミッションはノーマルのまま、純正置き換えタイプのGT4845スポーツタービンキットを装着。マスタリーECUフェーズ3改で制御することで、約450psを発揮している。実際にはブースト1.7〜1.8キロで480ps相当のポテンシャルを持つが、タイムアタック時にはマージンを確保し、あえて出力を抑えている点も開発車両らしい判断だ。

足まわりには市販モデルのハイパーマックスRをベースに、スプリングレートをフロント18kg/mm、リヤ22kg/mmへと変更。

ブレーキにはエンドレス製キットを組み合わせ、タイヤはアドバンA050のA1コンパウンドを装着するなど、実戦を見据えた構成となっている。ホイールサイズやタイヤ幅についても複数のパターンを試しながら、FF特有のフロント負担をどうコントロールするかを探っている段階だ。

車内はご覧のとおりのドンガラ状態で、ブリッド製フルバケットシート(XERO VSプラス)が1脚のみというシンプルな構成。補強対策としてワンオフのロールケージが組まれ、ルーフのカーボン化など軽量化も可能な範囲で徹底されている。

エアロについても同様で、製品化されたボディキットタイプSに加え、大型GTウイングやワンオフのアンダーパネルを装着。特にアンダーパネルは、FFターボにおけるフロントのトラクション不足を補う重要な開発パーツとなっている。

ただし、HKSはこの車両について「タイムアタック専用マシンではなく、あくまで製品開発車両」と明言する。つまり、ここで採用されている仕様はすべて市販化、もしくは市販を前提としたパーツのテストを目的としたもの。ユーザー目線でのチューニングを軸に据えている点が大きな特徴だ。

ドライバーのNOB谷口もその仕上がりを高く評価する。「よく曲がるし、よく止まるし、パワーもあって乗りやすい。特別なことをしているというより、基本に忠実な作りという印象だね。今は足まわりとタイヤのセットアップを探っている段階だけど、開発は順調そのもの」。今回はA050のA1コンパウンドで1周のみのアタックとなったが、一発のタイムを狙う上でも有効な武器になるという手応えを得ているようだ。

ちなみに車名にある“550”は、K20Cチューンの最終目標である550psに由来する。つまり現状の450ps仕様は、まだ序章にすぎない。ただし、出力向上に伴う課題も見えてきている。「エンジン自体の強度は高そうですが、500psオーバーになったときのミッション耐久性は気になるところ」とHKSが語るように、その先は未知の領域でもある。

とはいえ、その限界を探ることこそが開発の本質。パーツメーカーとして最前線を走り続けるHKSにとって、この挑戦は避けて通れないステップだ。順調すぎる立ち上がりを見せているFL550Rプロジェクト。HKS×シビック タイプRという強力な組み合わせが、この先どこまで進化していくのか…。次の一手から目が離せない。

●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235

「1億1000万円という車両価格の価値」HKSはコンプリートカーや多彩な新作パーツを展開!【東京オートサロン2026】

他の追随を許さぬハイパフォーマンス、ハイクオリティでカスタマイズパーツブランドのトップを走り続けるHKSブースでは、今年も世界から集まったメディアに向けてプレスカンファレンスを開催。HKSの技術や思想を詰め込んだコンプリートカーや開発中の様々なパーツを通じて、未来に向けて無限に広がるカスタマイズの可能性を示してくれた。

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