1年で5000kmを走行。平均電費は7.5km/kWh

令和6年式フィアット500eオープン。走行距離が非常に短い中古車を購入した

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人生2台目のEV(電気自動車)として、フィアット500e(チンクエチェントイー)をお迎えしたのは2025年3月のことでした。

カタログスペックを並べると、ボディは全長3630mm・全幅1685mm・全高1530mmの5ナンバーサイズ。選んだのはコンバーチブルボディの「OPEN」だったので車両重量は1360kg。乗車定員は4名です。

フロントタイヤを駆動するモーターの最高出力は118ps(87kW)、​最大トルクは220Nmとなっています。駆動バッテリーの総電力量は42kWh、WLTCモードの一充電走行距離は335kmと一般的には短めです。

納車時にリセットしたトリップメーターで納車からの平均電費を記録している

そんなフィアット500eオープンに乗り始めて1年が経った頃、納車時にリセットしたトリップメーターが5000kmに到達しました。

フィアット500eのトリップメーターは、それに連動して平均電費や平均速度、走行時間を表示します。

5000km走行時の平均電費は「7.5km/kWh」、平均速度は「22km/h」となっていました。

この【EV自腹レポート】は、急速充電を使わず、自宅での普通充電だけで運用することをテーマとしています。実際、納車からの1年間で急速充電は一度も利用していません。

それでも普通充電だけの運用に不満を覚えたことはありません。なにしろ、月平均400km強、週平均100km程度の走行です。1年間の経験則でいえば、満充電での航続可能距離は260~300kmとなりますし、10~14日に一度、満充電にしておけば余裕で事足りるからです。

それはさておき、平均電費と走行距離から1年・5000kmのランニングコストを計算してみましょう。

年間の消費電力は走行距離÷平均電費で算出できます。そこに普通充電でかかる電気代を31円/kWhとしてかけた結果は、2万600円。1km走行あたりのコストは約4.1円となりました。

レギュラーガソリンを150円/Lとして、1kmあたり4.1円というランニングコストを実現するには36km/Lを超える”実燃費”で走ることが求められます。このコスト感、フィアット500eと同じく全長3.6m程度のコンパクトなハイブリッドカーであれば、十分に狙えるレベルかもしれませんが、まあほとんどのハイブリッドカーよりランニングコストを抑えることができるともいえます。

このランニングコストの安さは期待以上で、フィアット500eの満足度を高める大きなファクターです。

唯一無二のオープンEVは大満足。ラゲッジの狭さは閉口する

言うまでもなく、EVはエンジンオイル交換が不要ですし、5000km程度ではタイヤ交換の必要もありません。じつは自動車税も免除されていましたから、保険を除くと1年間のランニングコストが2万円ちょっとで済んだのです。

あらためて1年・5000kmを過ごしてきて感じるのは「屋根の開くEVは本当に新しいモビリティ」ということです。周りにクルマが走っていないようなワインディングで、屋根を全開にして走っていると、鳥のさえずりや木々のざわめきだけが聞こえてきます。この自然の中に溶け込む感覚は、ノイズや振動の少ないEVならではといえるでしょう。

おそらく、いま日本で購入できるEVとしてはこれほどの開放感があるクルマはフィアット500eオープンだけ。その唯一無二のモデルという点も、所有満足度を高めてくれる要素だったりします。

冒頭でスペックを紹介したように、EVながら車重が1300kg台となっているのは、フィアット500eの美点といえます。たしかにAセグメントとしてみるとフィアット500eはエンジン車より重いかもしれませんが、乗用車の全ラインナップからみると軽量系モデルといえます。この軽さが、ハンドリングや加速、そしてブレーキングのリニア感としてドライビングの楽しさに直結しているのも魅力です。

オープンボディかつコンパクトでライトウェイト…であることのネガを一手に引き受けているのがラゲッジスペースの狭さです。トランクが非常に狭い上に、フィアット500eは急速充電時にCHAdeMOアダプターを用いる必要があり、それを積んでおくとますます狭くなってしまうのです。

よく「コードレス掃除機並み」と評される、かさばるCHAdeMOアダプターをトランクに積んでおくと、それだけでかなりのスペースを占有してしまうのは閉口もの。個人的には、一度も使ったことのないCHAdeMOアダプターですから降ろしてもいいのですが、自宅に置いておく場所もないので積みっぱなしになっているのです。

場合によっては普通充電のケーブルもトランクに積むことになるでしょうから、そうなるとトランクスペースはさらに圧迫されます。後席を荷物スペースにするという使い方がフィアット500eオープンでは主流かもしれません。

ドライブモードは3種類。ストップ&ゴーが得意を実感

RANGEモードは、ワンペダルドライブ・モード。停止までカバーするので右足だけで運転できる

フィアット500eには、ノーマル/レンジ/シェルパと3つのドライブモードが用意されています。センターコンソールのダイヤルで操作すると、メーターの右上に選んだモードが表示されます。

「レンジ」はアクセルペダルの操作だけで停止までカバーするワンペダルドライビングを可能にするモード。「シェルパ」は最高速を80km/hに抑えるなど、電費に特化した緊急的なモードです。

1年間乗ってきて、自分自身の運転が変わったと実感するのはレンジ・モードを使いこなせるようになったこと。

正直、フィアット500eのワンペダルドライビングは、停止するときにカックンとなりがちで自分でブレーキングしたほうがマシと思えるものですが、アクセルペダルを停止直前にチョンと踏むことでスムースに停止できるなど、クルマの癖に合わせた運転を覚えてきました。

もっとも、ワンペダルとして出来がいいかといえば、そこは疑問。最近でいえばヒョンデ・インスターで味わったワンペダル・ドライビングはもっとスムースに動かせた印象があり、フィアット500eについてもアップデートを期待したいところです。

経験的に高速道路で渋滞にハマったときが、もっとも電費に有利といえる。渋滞はうれしくない状況ではあるが…

あえて言葉を選ばずにいえば、クルマ任せにしたときのカックンブレーキの悪癖は、高速道路でACCを使っているときにも感じる部分。とくに渋滞時には加速と減速がキビキビとしすぎてピッチング方向の動きを大きく感じることもしばしば。そのため渋滞時にはACCを使わず、ノーマルモードで運転することが多く、ドライバーの疲労を軽減するというACCのメリットを享受しきれていなかったりします。このあたりも改善を望みたいところ。

ちなみに、高速道路の渋滞というとエンジン車では無駄なアイドリングが多くなってしまうため燃費にはネガティブな状況といえますが、アイドリング的なエネルギー消費の少ないEVにとっては逆で、渋滞は電費に有利なシチュエーション。先日、東名高速でノロノロな事故渋滞に巻き込まれましたが、その際には11.8km/kWhという区間電費を達成しました。

コンパクト系のEVは中低速域のストップ&ゴーといった走り方がマッチしていると1年間の経験が教えてくれるのです。そして長距離移動をしないのであれば、普通充電で事足りすぎるというのも、5000kmを走っての結論。

ホルムズ海峡の閉鎖など、エネルギー安全保障の課題が顕在化している昨今。自宅で充電できるという条件を満たせるのであれば、個人的なEVシフトを進めていくのは時代に適応した選択といえます。自宅での太陽光発電を組み合わせることができる環境であれば、なおさらでしょう。

EVに急速充電が必須というのは、おそらくリアルに使っていない人たちの想像上のシナリオにすぎない…、フィアット500eと1年を過ごし、年間2万円ちょっと、月平均1700円のランニングコストで5000kmを走ってきたからこその率直な感想です。

普通充電で生活するとしても6kWを選ぶべきだ。圧倒的にストレスが少ない
はじめて所有したEVは日産リーフ(30kWh車)だった。当時は充電カードの契約内容によりCHAdeMO急速充電メインで運用していた