連載

【歴史を飾ったライバル対決】

レースで名を上げた「スカイライン」、日本初のスペシャリティカー「セリカ」

1957年4月に富士精密工業から高級ファミリーセダンとして誕生した初代「スカイライン(ALSI型)」
レースでも活躍した1968年にデビューした日産3代目“ハコスカ”「スカイライン」
1969年にデビューした日産3代目“ハコスカ”「スカイラインGT-R」

初代「スカイライン(ALSI型)」は、1957年4月に富士精密工業(1966年4月に日産に吸収合併されたプリンス自動車の前身)から高級ファミリーセダンとして誕生した。1964年5月には、第2回日本GPに参戦した2代目(S50型)「スカイライン2000GT」が、レーシングカー「ポルシェ904 GTS」を一瞬だが追い抜いたことで、“羊の皮を被ったオオカミ”と呼ばれるなど、今も語り継がれているスカG伝説を誕生させた。そして、1968年7月にデビューした3代目“ハコスカ”スカイライン(C10型)でも2000GTが設定され、さらに走りを追求した「2000GT-R」も誕生するなど、スカイラインはセダンながらスポーティなイメージが定着し、走り好きの憧れのモデルとなった。1972年2月には、ハコスカに続いて歴代スカイラインで最も人気を博した4代目“ケンメリ”スカイライン(C110型)が登場した。

1970年12月にデビューした日本初のスペシャリティカー、トヨタ初代「セリカ」
トヨタ初代「セリカ」の透視図
トヨタ初代「セリカST」
トヨタ初代「セリカ」のコクピット

一方のトヨタ「セリカ」は、1970年12月に日本初のスペシャリティカーとしてデビューした。スタイリングは、ジェット機の翼に採用されている層流翼を意識した断面形状をベースに、ロングノーズのピラーレス・ハードトップのクーペスタイルで、丸みを帯びたボディラインから“ダルマセリカ”と呼ばれた。

スポーツカーのようなスタイリングと性能を持ち、快適性も重視した先進のスペシャリティカーは、若者を魅了して大ヒットモデルになった。さらに、初代セリカのデビューから2年半経った1973年4月、セリカの人気をさらに加速させた「セリカLB(リフトバック)」が登場した。

そして、この4代目スカイラインとセリカLBに高性能2000GTが設定されたのだ。

爆発的なヒットモデルとなったケンメリ2000GT

1972年9月にデビューした日産4代目“ケンメリ”「スカイライン1800」

1972年9月に登場した4代目スカイラインは、3代目のボクシーなハコスカからデザインが一新された。人気のサーフィンラインはさらに強調され、シャープながらやや丸みを待たせたスポーティなフォルムに変貌し、丸形テールランプが以降スカイラインのシンボルとして継承されることになった。

1972年9月にデビューした日産4代目“ケンメリ”「スカイライン1800」

2ドアハードトップと4ドアセダン、ワゴン、バンが設定されたが、人気となったのはもちろん美しいフォルムのハードトップだった。室内も、大型ソフトパットで覆われたインパネや木目パネルを多用するなど、スポーティかつ豪華に仕上げられた。

ケンメリ「スカイラインGT-X」に搭載された直6 L20ツインキャブ仕様エンジン

エンジンは、最高出力100ps/最大トルク13.8kgmの1.8L 直4 SOHCと105ps/15.3kgmの1.8L 直4 SOHCをベースとし、トップグレードの「スカイライン2000GT」に120ps/17.0kgmの2.0L 直6 SOHC(ツーバレルキャブ)、「2000GT-X」には130ps/17.5kgmの同エンジン(SUツインキャブ)を搭載、いずれもハイオク仕様。トランスミッションは、4速/5速MTと3速ATが組み合わされたが、2000GT系には5速MTが用意され、最高速度は180km/hに達した。

1972年9月にデビューした日産4代目“ケンメリ”「スカイライン2000GT-X」
日産4代目「スカイライン2000GT」のコクピット

2000GT系には、ラジエターグリルにスポーティな専用デザインを採用し、インテリアはバケットタイプのシートやタコメーター、革巻き風3本スポークステアリングを装備。足回りには、2000GT専用のサスペンション(前:マクファーソンストラット/後:セミトレーニングアーム)が採用された。

車両価格は、人気の高かったハードトップ(5速MT)で92.0万円(2000GT)/102.5万円(2000GT-X)。当時の大卒初任給は5.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約371万円/414万円に相当する。

4代目スカイラインは、ファッショナブルなTVコマーシャルで“ケンメリ”の愛称を日本中に浸透させ、“ハコスカ”を上回る人気を獲得して歴代最高の販売台数を記録した。なかでも2000GTは、若者の憧れのクルマとなったのだ。

スタイリッシュなリフトバックスタイルとパワフルな走りを誇ったセリカLB

1973年4月にデビューしたトヨタ「セリカLB 2000GT」
1973年4月にデビューしたトヨタ「セリカLB 2000GT」のサイドビュー

ケンメリ2000GTが登場してから7ヶ月経過した1973年4月に、セリカの人気をさらに加速させた「セリカLB」がデビューした。最大の特徴は、ロングノーズ・ショートデッキのフォルムになだらかな傾斜を持つ開口可能なテールゲートをヒップアップさせたリフトバック(LB)スタイルだが、デザイン以上にその優れた走りは高く評価された。

トヨタ「セリカLB 2000GT」のフロントフェイス
トヨタ「セリカLB 2000GT」のリアビュー

インテリアについては、革巻き4本スポークステアリング、5連メーター、握りの太い5速シフトレバーとスポーティさを演出。また後席のバックレストは前方に倒せばラゲッジスペースを大幅に拡大でき、GTカーとしての魅力も忘れていない。

トヨタ「セリカLB 2000GT」のコクピット

エンジンは、1.6Lに加えて最高出力105ps/最大トルク16.0kgmの2.0L 直4 SOHCを新設定、さらにトップグレード「セリカLB 2000GT」には、ハイオク仕様で145ps/18.0kgmを発揮する2.0L 直4 DOHCエンジンを搭載。トランスミッションはポルシェタイプの5速MTが組み合わされ、最高速度は205km/hを記録した。

その頃のセリカ・ファミリー

足回りについては、専用チューニングのサスペンション(前:マクファーソンストラット/後:ラテラルロッド付4リンク)、タイヤも185/70HR13ラジアルが標準となり、リミテッド・スリップ・デフ(LSD)もオプションで用意された。

トヨタ「セリカLB 2000GT」のリアビュー

「セリカLB 2000GT」は、当時若者を魅了していた「スカイライン2000GT」と真っ向勝負してもそのパワーで圧倒する走りを見せた。ちなみに、セリカ2000GTの価格は112万円、スカイライン2000GT-Xが102.5万円なので9.5万円ほど高いが、その差は現在の価値では約38万円となり、かなり大きい差である。

日産ケンメリ「スカイライン2000GT-X」vs.トヨタ「セリカLB2000GT」

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スポーティな走りでは「セリカLB 2000GT」が優ったが、人気では「ケンメリ2000GT」に及ばなかった。ケンメリは、“ケンとメリーのスカイライン”のTVコマーシャルやコマーシャルソングが大ヒットし、その人気は社会現象級だった。価格帯もケンメリ2000GTの方がリーズナブルで、TVコマーシャルのおかげでファミリー層にも人気が浸透したことが、販売の大きな差になったと思われる。

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