壊さないためにこそ必要な「フルコン」という選択

往年のフリークだけではない。初期型のNA/NBロードスターは、発売当時を知らない若いスポーツカー好きからも、「クラシカルなデザインが、逆に新しい」と注目を集めている。

ただ、そんな世代を超えた人気車も、手に入れ、いざ走りを楽しもうとすると、多くの人が車齢相応のトラブルに見舞われる。実際、相次ぐ故障に、頭を抱えているオーナーは多い。エンジンを制御するECUの故障は、NA/NB乗りを悩ませるトラブルの筆頭だ。

目に見えるハード面の故障と違い、問題を抱えると泥沼化しやすい。まさに司令塔部なだけに、故障が多彩な部分に連鎖する。パーツはすでに製造が廃止され、新品を手に入れるのは、まず不可能。修理しても、また、いつバグるか……。不安はいつまでもつきまとう。

最先端を行くフルコン制御は、セッティングスタイルもいまどき。エンジンチューニングを担当する奥田メカは、セッティングのスピードアップを図るために、パソコンのカーソル移動をコントローラのジョイステックで行う。PCの画面に現れたMAPの数値が、指の動きで目まぐるしく変わる。正確なセッティングを行うためにもセンサー類の厳選は重要とのこと

ジュピターネットガレージが提案するECUのフルコン化は、NA/NB乗りの不安を根元から解消する、リフレッシュ兼チューニングメニューだ。古くなった純正ECUを、現代のシステムに置き換え、現車セッティングで確実に制御する。

ハードチューンでは珍しくないフルコン制御だが、ライトチューン指向のNA/NBではまだまだ少数。ストックのECUにコダワル人も多いものだが、しかしこれからは、「フルコンが主流になる」と西村穣地代表は見ている。その理由が、純正ECUにはない、高いエンジン保護機能だ。

「フルコンのよさは、エンジンの性能をフルに引き出せることだけではありません。純正にはない機能で、エンジンを守れることもメリットです。NAもNBも、以前とは違い希少車。愛車を壊さず、長く楽しむためにも、断然フルコンです。LINKなどを使えばコストも意外にかかりませんし、壊すよりはずっとマシ。今後、主流化していくのは確実です」

水温や油温だけでなく、水圧の変化を検知しての、より確実なエンジン保護。水温に合わせてエンジンのリミット回転数を設定できることも、安心この上ない機能だ。

思いっきり走っても、エンジンを壊しにくい。そんなセッティングがフルコンはできる。取材したNAとNBは、いずれもカスタマーカー。両車ともロードスターカップに参戦中。エンジンはフルコン制御で、安心感をもって唯一無二の走りをフルに満喫しているわけだ。

なお、フルコン導入にあたっては、覚えておくべきことがある。ある程度、セッティングを重ねる必要があるということだ。ただ、それも自身仕様に最適化するための過程。そう考えれば結構楽しい。

LINK制御のカスタマーカー NB6C ロードスター 詳細スペック

ロードスターカップのレギュレーションに合わせて仕上げられた、NBのB6-ZE型エンジン。本体は、ヘッドから腰下まで、精密オーバーホールを施し、オーバーサイズピストンと戸田レーシングのハイカムを組む。ECUはLINK プラグインを用いてのフルコン制御だ。ちなみに純正コンピュータの空燃比は、思いのほか薄め。奥田メカによると、サーキットで酷使するとピストンが溶けることも珍しくないそう

■エンジン:B6-ZE/1597cc

■LINK プラグインECU

■AEM AFユニット

■奥田施工 ヘッドチューン(ポート/ステム交換/シートカット/擦り合わせ/面研)

■オーバーサイズピストン

■戸田レーシング ハイカム(IN 264/EX 264)

■腰下 ボーリング/ホーニング/面研/クランクフルバランス

■マキシムワークス エキマニ

■オリジナルストレートマフラー

■スポーツ触媒

■KOYO レーシングラジエーター

■HPI オイルクーラー

■NB 6速MT

■ 戸田レーシング FW/スポーツフェーシングクラッチディスク

■クスコ L.S.D. type-MZ(1.5way)

■4.3ファイナルギア

■オーリンズ DFV車高調+ハイパコスプリング(F 12 ㎏/㎜、R 10 ㎏/㎜)

■制動屋 ブレーキパッドRM551+(F/R)

■DIREZZA  Z Ⅲ(205/50R15)

■ VOLK RACING TE37(15×7.5J inset 25)

■ 4点式ロールケージ +サイドバー

■ BRIDVIOS Ⅲ

■サベルト ハーネス

■トヨシマクラフト クーリングボンネット

アダプトロニック制御のカスタマーカー NA8C ロードスター

NA/NBでサーキット走行を楽しむなら、冷却系の強化は必須。ラジエーターは容量アップ。オイルクーラーの装着も必要不可欠と考えたい。エンジンルームの熱が抜けにくい構造のため、ダクト付きのボンネットの装着も推奨。なお、この世代のロードスターの理想の水温は、80℃〜85℃と低めなことを覚えておこう

■エンジン:BP-ZE/1839cc

■アダプトロニクM2000 ECU

■イノベートテクノロジー MTX AFユニット

■奥田施工 ヘッドチューン(ポート/ステム交換/ シートカット/擦り合わせ/面研)

■オーバーサイズピストン

■TODAレーシング ハイカム(IN 264/EX 264)

■腰下 ボーリング/ホーニング/面研/クランクフルバランス

■フジツボ エキマニ

■RSファクトリー STAGE 2寸管マフラー

■KOYO レーシングラジエーター

■セトラブ オイルクーラー

■NB用 6速MT

■TODAレーシング FWメタルクラッチ

■クスコ L.S.D. type-MZ(1.5way)

■4.77ファイナルギア

■KONI スピードクラブ車高調(特注ショート)+ハイパコスプリング(F 14 ㎏/㎜、R 12 ㎏/㎜)

■パワーフレックス ウレタンブッシュ

■F:スピードクラブ WILWOOD 4POT+制動屋RM550 

■R:ビッグローターキット+制動屋RM551+

■DIREZZA  ZⅢ(205/50R15)

■ENKEI RPF1(15×8J inset 28)

■サイトウロールケージ 6点+メインバー

■BRID VIOSⅢ

■サベルト ハーネス

■トヨシマクラフト クーリングボンネット

タイムによほどこだわらない限り、タイヤは一般的なスポーツラジアルで十分。サイズは、15インチがベスト。バネ下荷重の増加を抑えられ、持ち前のハンドリングをスポイルしない。撮影車両のタイヤはDIREZZA ZⅢ(205/50R15)だ。

NA/NBロードスターの最大の武器は軽さと回頭性。フットワークは、そんな特性をしっかりと掴んでのセッティングがキモだ。キャンバーは多め。リアはトラクションを稼げるように、しっかりとストロークを確保。安定性を高めるために、リアトーはわずかにインに振る……。オリジナルの車高調を軸に、ジュピターネットガレージが仕上げる足まわりには、サーキット走行をさらに楽しくするノウハウがぎっしりだ。


■ジュピターネットカーガレージ 

奈良県大和郡山市小泉町2763-1 

TEL0743-20-4000 

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