ホンダ・レブル250 Sエディション・Eクラッチ……731,500円

レブルシリーズの外観の特徴は、ヘッドパイプと後輪の車軸を1本のラインで結び、シート下付近に“くびれ”を設けたフレームや、独創的なガソリンタンクによって実現したナロースタイル。ただし前後タイヤは、あえてファット&ワイドサイズを選択している。

ライディングポジション(身長182cm・体重74kg) ★★★★☆

足つき性を重視して着座位置を低く設定した車両は、僕のような大男が乗ると下半身に窮屈さを感じることが多いものの、ハンドル・ステップとの位置関係がいいからだろうか、レブル250にそういった気配はナシ。もっとも従来型でロングランに出かけると、途中から尻と腰にかなりの痛みを感じたのだが、シートとリアショックを刷新した2025年型はそういった問題をおおむね解消。ただし峠道をアグレッシブに走っているときは、個人的にはもう少し前方かつ上方に座りたいと思った。

シート高は現在の250ccクラスで最も低い690mmだから、足つき性は超がつくほど良好。身長が150cmのライダーでも、両足の1/3前後が接地するようだ。なお小柄なライダーにとっては、ハンドルグリップ位置がライダーに近くなったことも歓迎したくなる要素だろう。

タンデムライディング ★★★☆☆

2021年にガチ1000kmで取り上げたレブル500では、後部座席に座る富樫カメラマン(身長172cm・体重52kg)がタンデム性能を酷評。とはいえ2025年型レブル250は、決して悪くはなかったようだ。「乗り心地は明らかに良くなったね。それに加えて今回のタンデム試乗での発見は、ステップの踏ん張りが意外に利くこと。ヒザが上を向くから当初はダメだろうと思ったんだけど、加速と減速に何とか対応できた。個人的には着座面積の拡大とグラブバーの追加を期待したいけど、小柄な女性が運転手に密着して乗るなら、現状でOKなのかもしれない」

取り回し ★★★★☆

左右に大きく張り出したステップが足の動きをジャマするかと思いきや、取り回しは至って楽々。とはいえ現代の250cスポーツネイキッドの基準で考えるなら、171kgの車重(Eクラッチ仕様は174kgで、Sエディション・Eクラッチ仕様は175kg)はやや重く、1490mmのホイールベースはかなり長め。なおハンドル切れ角は、現代の250ccスポーツネイキッドのほぼ平均値となる35度。

ハンドル/メーターまわり ★★★★☆

従来型に対して、絞り角が強く(ライダーを基準すると、左右グリップの位置が手前に6.5mm、上方に5mm移動)、幅が10mmほど狭くなったハンドルバーは、中央を1インチ≒25.4mm、左右を22.2mmとした2段階構造(従来型はごく普通の1インチバー)。なおハンドルバーの刷新に伴い、2025年型からは純正アクセサリーとしてスポーツグリップヒーターが設定されるようになった。

ホンダ純正アクセサリーのスポーツグリップヒーターは、5段階の温度調整が可能。価格は2万7830円。

トップブリッジ上部に備わるφ100mmのLCDメーターは従来型の基本構成を維持しながら、下部に並ぶインジケーターの上段中央にEクラッチ用のランプを追加。また、理想のギアより高めの段数で走っているときは、ギアポジションインジケーターの左にシフトダウンを促すマークを表示。

左右スイッチ/レバー ★★★★☆

従来型では1インチバー専用品?……と思われる部品だった左右スイッチボックスは、2025年型で近年のホンダの定番パーツに変更。フロントブレーキマスターシリンダーとクラッチレバーホルダーも、従来型とは異なる。

グリップラバーは従来型と同様の雰囲気だが、ハンドルバーの外径が細くなったことを考えると、おそらく、肉厚が増えているのだろう。バックミラーはステーを延長。ブレーキ/クラッチレバーにアジャスト機構はナシ。

燃料タンク/シート/ステップまわり ★★★★☆

容量11Lのガソリンタンクは非常にスリム。側面のアクセントとなるエグリは、身長182cmの僕でも直線路でのニーグリップには使えないが、峠道ではこの部分をプッシュすることで気持ちよくコーナリングできた。サドルタイプのシートは内部のウレタンを高密度タイプに変更。ダイヤモンドステッチ風のワディング加工が施されたシートレザーは、Sエディションならではのパーツだが、純正アクセサリーとして購入することが可能。左リアショック後部にはヘルメットホルダーが設置されている。

左右ステップはなぜかトレールバイク風で、ラバーを取り外すとバーはギザギザ仕様になる。なおレブルシリーズのステップ位置は、クルーザー用語で言うならミッドコントロールで、オーナーの中にはらしさを追求して、フォワードコントロールに変更する人が存在する模様。

積載性 ★★☆☆☆

従来型と同じく、積載性は絶望的。テールカウル周辺に荷かけフックは備わっていないし、シートバッグ(写真はタナックスのミニフィールドバッグ・ヘリテイジエディション)を取り付ける際はボルト止めされたタンデムシートを外さなくてはならないし、シート下に収納スペースは一切ナシ。いずれにしてもツーリング指向のライダーは、アフターマーケット市場で販売されているキャリアやバッグ、荷かけフックボルトなどの購入を考えるべきだろう。なお2025年型レブル250は初の純正アクセサリーとして、ETC2.0車載器キットを設定。

2025年型からレブル250の純正アクセサリーパーツとして設定された、ETC2.0車載器キットの価格は4万7960円で、専用アクセサリーボックスは1万1374円。

ブレーキ ★★★☆☆

フロント:φ296mmディスク+片押し式2ピストンキャリパー、リヤ:φ240mmディスク+片押し式1ピストンキャリパーのブレーキは、従来型の構成を踏襲。ものすごく高性能ではないけれど、どんな場面でも扱いやすかった。ただし、ABSの利き方はちょっと唐突。

サスペンション ★★★☆☆

従来型の構成を維持するフロントフォークはφ41mm正立式で、迫力のあるルックスとハンドル切れ角確保を意識して、スパンをかなり広めの240mmに設定。一方のリアショックは、全長・バネレート・ダンパー特性などに変更はないようだが、底づきを防止するバンプラバーの形状を刷新している。

車載工具 ★★★☆☆

メインシート下に備わる車載工具は、5mmのL型六角棒レンチ、ヒューズプーラー、差し替え式ドライバー、リアショックのプリロード調整用フックレンチ、10×14mmスパナの5点。従来型と同じく、パーツリストには12×14mmスパナが記載されているものの、なぜか試乗車では見当たらなかった。

実測燃費 ★★★★☆

Eクラッチの従順さと柔軟さに気を良くして、普段よりラフなスロットル操作を行ったからだろうか、燃費はいまひとつ奮わず……。念のために記しておくと、ネットではWMTCモード値と同等の35km/ℓ前後を公表するライダーが数多く存在するし、過去にガチ1000km企画で取り上げた同系エンジン搭載車のCRF250Lは33.1km/ℓだった。今回の平均燃費から割り出せる航続可能距離は、31.7×11=348.7km。

ホイールサイズは3.00×16・3.50×16。スタンダードのカラーは定番のブラックだが、Sエディションは存在感を主張するブロンズ。

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2025年型レブル250の最大の注目要素は、第1回目で紹介したEクラッチ仕様の追加である。でも従来型の乗り心地に不満を抱いていた筆者にとっては、シート・リアショック・ハンドルなどの刷新で快適性が向上したことのほうが、インパクトは強烈だった。 REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko) PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

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