CF MOTO 150SC……451,000円

ボディカラーは、ジェムブラック、ストームグレイ、スペースシルバー、ソーラーシルバーの4種が存在。

本国では30機種以上を販売中

日本市場での躍進はまだこれからという雰囲気だけれど、1989年に創業し、1998年から2輪の完成車生産に着手した中国のCF MOTOは、おそらく、近年のモーターサイクル市場で最も成長を遂げたメーカーである。

何と言っても、2020年に約5万台だった同社の生産台数は、2025年には約25万台にまで増加し、現在の本国のカタログには30機種以上が並んでいるのだから。

現在のCF MOTOのフラッグシップは、グランドツアラーの1250TR-G。2026年からはリッタークラスの第2弾として、アドベンチャーツアラーの1000MT-Xを販売中。

2024年にデビューし、2026年から日本市場への導入が始まった150SCは、そんなCF MOTOが初めて手がけたスクーターで、同社が公表したわけではないものの、仮想敵としたのはホンダPCX160だろう。以下のスペック表を見れば、誰もがそういう印象を抱くはずだ。

もっとも、“パーソナルコンフォートサルーンと”いうコンセプトを掲げて2010年から発売が始まったPCXシリーズは、既存のアンダー200ccクラスのスクーターとは一線を画する小さな高級車としての資質が評価され、世界中で大人気を獲得中のモデルである。

逆に言うなら、そんなPCXに真っ向勝負を挑むところには、今現在のCF MOTOの自信が表れているように思う。

2010年に初代が登場したPCXは、2025年から第5世代に移行。日本では125ccと160ccが併売されているが、欧州では125cc、東南アジアでは160ccがメイン。

ちなみに、試乗前の僕が把握していたPCXとは異なる150SCの特徴は、5インチTFTフルカラーディスプレイ、TYPE-AとTYPE-Cの端子が存在するUSB電源、2チャンネル式のABSくらいで(PCXのメーターはモノクロ液晶で、USB電源の端子はTYPE-Cのみ。ABSは1チャンネル式)、本国のウェブサイトを読み込んでも、それ以外の大きな相違点は発見できなかった。

PCXとの相違点と共通点

もし僕が門外漢だったら、次期PCXと言われても、先代PCXと言われても、納得するかも?……。今回の試乗で150SCと初めて対面した僕は、そんな印象を抱いた。

いや、その発言はCF MOTOからもホンダからも怒られそうな気がするが、事前に想像していた通り、やっぱり150SCの外観と車格はPCXとよく似ている。

そしてその印象は、さまざまな場面を走っても大きくは変わらなかった。

と言っても、ゼロ発進からのダッシュ力と振動の少なさ、静粛性はPCXのほうが優位だと思うけれど、どんな状況でもパワーユニットが過不足ない力を発揮することや、100km/hはあっという間でも、そこから伸びが徐々に鈍って120km/hという数字がなかなか確認できない最高速も、2台に共通する要素。

一方の車体はどうかと言うと、リラックス指向のライディングポジションや上質な乗り心地、扱いやすい前後ブレーキなどもよく似ている。

あえて言うならハンドリングは微妙に異なっていて、安定成分が強めのPCXと比較すると、150SCはコーナー進入時のセルフステアが明確なのだが、世間でPCXのライバルと呼ばれているヤマハNMAXほどスポーティなキャラクターではない。

そんなわけで、試乗中の僕の気持ちはあまり盛り上がらなかったのだけれど、改めて考えるとその背景には、過去に何度もPCXやNMAXを試乗しているという個人的な事情があると思う。

逆に近年の150cc前後のスクーターを未経験のライダーなら、150SCのライディングフィールに感心する可能性は大いにあるだろう。

他社はウカウカしていられない?

そして試乗から数日後、さらに改めて深く考えた僕は、初めて手がけたスクーターで、世界中で大人気を獲得しているPCXと比べて遜色がない性能を実現しているのは恐るべきこと……のように思えてきた。

近年の僕は中国製のバイクに乗ると、他国の2輪メーカーはもはやウカウカしていられない?と感じることが増えているのだが、今回の試乗でも同様の印象を抱いたのだ。

もっとも、150SCが日本で大人気を獲得できるのかと言うと、それはなかなか微妙なところだろう。何と言っても日本人の多くは、価格差がほとんど無くて同程度の性能であれば、母国製を購入するのが普通なのだから。

とはいえ、市街地でもツーリング先でも、至るところで目にするPCXに対して(日本市場ではシリーズ累計で20万台以上を販売)、何らかの抵抗を感じている人にとっては、150SCは有力な選択肢になり得ると思う。

ライディングポジション(身長182cm・体重74kg)

ライディングポジションはPCXと同様に、スポーツバイクとクルーザーの中間という印象。765mmというシート高は、近年の150~200ccスクーターでは低い部類だが、ステップスルー構造ではなく、サイドパネルの左右方向への張り出しが決して小さくはないので、身長160cm以下のライダーは手強さを感じるかもしれない。

ディティール解説

ヘッドライトボディはV字型だが、LEDヘッドライトは左右独立式で、その上部にはアイブロウタイプのシグネチャーランプが備わる。
上端の左右を尖らせたスクリーンが個性を演出しつつも、コクピットは落ち着いた雰囲気。イグニッションはスマート式を選択。
計器は5インチTFTフルカラーディスプレイで、すべての操作はスイッチボックスから行える。リアのABS、トラクションコントロール、急制動時におけるブレーキランプの高速点滅、盗難防止アラートシステムのサウンドは、任意で解除・選択することが可能。
スイッチボックスはCF MOTOのオリジナルで、操作性はなかなか良好。右にはセル・キルスイッチに加えて、アイドリングストップとハザード用のボタンが備わる。左の十字ボタンは、メーター内の表示内容と設定を変更する際に使用。
左側のリッド付きポケットには、500mlサイズのペットボトルが収納できる。内部に備わるUSB電源の端子は、TYPE-AとTYPE-Cの2種類。
シートは前後とも十分な面積を確保しているので、快適なタンデムツーリングが楽しめそう。メイン部のレザーにはCF MOTO、タンデム部にはSCの刻印が入る。アシストグリップは左右分割式。
シート下のトランクスペース容量は、フルフェイスヘルメットの収納を可能とする30ℓ。
パワーユニットと駆動系の構成はオーソドックス。水冷OHC2バルブ単気筒のボア×ストロークは、ニア×スクエア型にして、60×55mmのPCX160と比較すればロングストローク型となる57×58mm。
3代目以降のPCXと同じく、150SCのフレームはダブルクレードルタイプ。とはいえ、実際の構成は各車各様。
ブレーキディスクは前後ともφ230mmで、キャリパーはフロント:片押し式2ピストン・リア:片押し式1ピストン。2チャンネル式のABSはボッシュ製。
純正タイヤは中国のCST。フロント:110/70-14・リア:130/70-13というサイズは、第4世代以降のPCXと同じ。

主要諸元

全長×全幅×全高:1915mm×750mm×1120mm 
軸間距離:1315mm 
最低地上高:135mm 
シート高:765mm 
装備重量:135kg 
エンジン形式:水冷4ストローク単気筒 
弁形式:OHC2バルブ 
総排気量:149cc 
ボア×ストローク:57×58mm 
圧縮比:10,6
最高出力:10.5kW〈14.2PS〉/8250rpm 
最大トルク:14.2N・m〈1.45 kg-f・m〉/6500rpm 
燃料供給装置: フューエルインジェクション 
始動方式:セルフスターター 
点火方式:フルトランジスタ 
クラッチ形式:乾式自動遠心シュータイプ 
変速機形式:Vベルト無段変速 
フレーム形式:ダブルクレードル 
ブレーキ形式前:油圧式ディスク 
ブレーキ形式後:油圧式ディスク 
タイヤサイズ前:110/70-14 
タイヤサイズ後:130/70-13 
燃料タンク容量:8.5ℓ 
乗車定員 2名