Q. 冬の電熱装備は便利だけど、使いすぎるとバッテリーが上がる!?

茨城県・電熱ラブなハンター乗りさん

冬のバイクは寒さとの戦い! そんなときにありがたいのが、グリップヒーターや電熱ウェアですよね。スイッチひとつでポカポカになれる便利なアイテムですが、あれもこれも同時に使っていると、バッテリーが上がったりしないのでしょうか?

結論からいうと、グリップヒーターと電熱ウェアの同時使用は可能です。ただし、どんなバイクでも問題なく使えるわけではありません。大切なのは、バイクがつくる電気と、装備が使う電気のバランスなんです。

そもそもバイクは、エンジンが動いている間に発電機(ジェネレーター)で電気をつくっています。その電気はヘッドライトや点火装置、燃料噴射装置などに使われるほか、バッテリーの充電にも利用されます。つまり、発電した電気をすべて後付けの電装品に使えるわけではないんです。

しかも、発電量はエンジンの回転数などによって変化します。走っているからといって、いつでも十分な電気がつくられているとは限りません。例えば信号待ちや渋滞などで低回転が続くと、発電量より消費電力が多くなってしまうことも。不足した電気はバッテリーから補われるため、この状態が長く続けば、バッテリー上がりにつながる可能性があるというわけです。

グリップヒーター+電熱ウェアで約74W! さらにフォグランプを付けると……?

では、実際の電熱装備はどのくらい電気を使うのでしょうか? 某大手二輪用品メーカーの製品を例にすると、グリップヒーターは最大28.8W、電熱インナージャケットは最大45.5W。両方を最大出力で使うと、合計74.3Wになります。

さらに電熱パンツを加えると43.2Wがプラスされ、合計117.5W! 全身ポカポカなのはありがたいけれど、バイク側から見ればそれだけ電気の使用量が増えるということなんですね。

グリップヒーターと電熱ジャケットを最大出力で同時使用すると、合計約74W。さらに電熱パンツまで加えれば、消費電力は100Wを超える計算になる。

そして、もうひとつ気を付けたいのが後付けの電装品です。例えば夜間走行で便利なLEDフォグランプも、当然ながら電気を使います。仮に消費電力10Wのランプを2灯追加すれば20W。そこに先ほどのグリップヒーターと電熱ジャケットを組み合わせると、合計94.3Wにもなります。

実際、バイク用パーツメーカーのフォグランプキットにも、グリップヒーターなどとの併用によって車両の許容電力量を超える場合があると注意書きが見られます。車種専用品だからといって、ほかの電装品まで無条件に使えるわけではないんです。

ちなみに、電装品の消費電力を示すのがW(ワット)、電流の大きさを示すのがA(アンペア)。電気の使いすぎを考えるならまずWに注目すればOKですが、配線やヒューズにどれだけ電流が流れるかを確認する際にはAも重要になります。先ほどのグリップヒーターとジャケットは、製品の公表値で合計6.2A。電源を取り出す場所や配線の容量にも気を付けたいところです。

つまり、電装品を追加するなら、ひとつずつの消費電力だけでなく、全部合わせてどれくらい電気を使うのかを考えることが大切なんです。

バッテリーが大きければ安心? 電圧計も活用して上手に付き合おう!

「それなら、大きなバッテリーに交換すれば大丈夫?」と思うかもしれませんが、そう簡単な話でもありません。バッテリーの容量が大きければ、電力不足を補える時間は長くなる可能性があります。でも、バイクそのものの発電能力が増えるわけではないため、つくる電気を上回る状態が続けば、いずれバッテリーは上がってしまいます。

そこで覚えておきたいのが、電熱装備は必要以上に高い出力で使い続けないこと。温度調整ができる製品なら、十分に温まったら出力を下げるのもひとつの方法です。また、電圧が低下すると自動的に出力を抑えたり停止したりする製品もあります。ただし、こうした保護機能が付いていれば絶対にバッテリーが上がらない、というわけではありません。

もうひとつの選択肢が、専用バッテリーで動く電熱ウェアです。車両の電源を使わないため、バイク側の発電や充電に負担を掛けずに済みます。もちろん使用時間には限りがありますし、充電の手間も必要ですが、発電余力が気になるバイクでは検討する価値があるでしょう。

なお、電装品を新たに取り付ける場合は、製品の最大消費電力や車両との適合を確認することも大切。配線やヒューズの容量にも関わるので、不安がある場合はバイクショップに相談するのが安心です。

そして、モトチャンプ編集部からおすすめしたいのが電圧計の装着。コンパクトなデジタル式もあり、電圧を手軽に確認できるんです。例えば、グリップヒーターや電熱ウェアのスイッチを入れたとき、電圧がどのくらい変化するのかを見るだけでも参考になります。走行中やアイドリング中に電圧が低い状態が続くようなら、充電が追いついていない可能性も。ただし、電圧だけでバッテリーの状態や発電量を正確に判断できるわけではありません。あくまで異変に気付くための目安ですが、自分のバイクの電気事情を知るには便利なアイテムですよ。

製品名:デイトナ アクアプローバ コンパクトボルトメーター
デイトナの「アクアプローバ コンパクトボルトメーター」(品番92386)。手軽に電圧を確認でき、12V未満になるとバックライトが赤色に切り替わる警告機能も搭載。サイズは42×25×10.8mm。価格4620円(税込)。電圧が12V未満になるとバックライトが赤色に切り替わる。※直流12V車専用。

グリップヒーターも電熱ウェアも、寒い季節には本当にありがたいアイテム。でも、バイクが使える電気には限りがあるんです。便利だからとあれこれ追加する前に、「これも電気を使うんだよな」と、ちょっと思い出してもらえればOK。せっかくポカポカになったのに、出先でバッテリーが上がってエンジンが掛からない! なんてことになったら、笑えませんからね。

【モトチャンプ編集部】