2つのフリード、車中泊におすすめなのはどっち?
まず2つのグレードに大きく分かれるフリードだが、そこからさらに細分化されている。3列シート車となる「エアー」は2列目シートがキャプテンタイプの6人乗りと、ベンチタイプの7人乗りを設定。一方「クロスター」には3列仕様の6人乗りと2列仕様の5人乗りが用意される。荷物の積載性や車中泊を前提に考えるなら、本命はやっぱり「クロスター」の5人乗りと言いたいところ。そんな「クロスター」の5人乗りと「エアー」の7人乗りに同じ量の荷物を積み込んだり車中泊をしてみると意外な違いがあった。
アウトドア仕立ての「クロスター」は、車中泊に申し分ないパッケージング。後席を前に倒すだけで広々空間が完成し、しかも後席シートとラゲッジの隙間を埋める専用ボードまで装備されている。ただひとりで過ごす空間としては最高だが、ラゲッジと後席背面を足した長さが1700mmに満たないため、身長170cmの著者が寝転ぶとピッタリという感じ。足を曲げずに横になれるが、余裕を持って寝転ぶには少々窮屈。ただしスペース全体を斜めに使って寝転べばその問題は解決できた。また寝転ぶ場所がシートの背面ということで、空気を入れて膨らませるインフレーターマットや厚手のキャンプマットは欠かせない。
一方「エアー」での車中泊は、2列目シートを倒して3列目と連結させて就寝スペースを確保するのが最適な手法。寝転ぶスペースとしては1500mmに満たないためかなり短いが、前席を前方へスライドし、前席と後席の隙間を埋めれば足をしっかり伸ばして寝られるスペースが完成する。しかもクッション性の高いシートに寝る形になるので、寝心地の良さは「クロスター」よりも明らかに上。厚手のキャンプマットなどがなくても十分寝られるほどだった。
そんな両車において、特筆すべきはラゲッジの積載性。「エアー」は3列目シートをはね上げることで十分すぎるほどの荷物が積め、積載スペースに無駄な凹凸が少ないのでコンテナボックスなど箱型の荷物がスマートに積み込める。対する「クロスター」はそれ以上に形状が秀逸。上下2段に収納スペースが分けられ、ほとんどの荷物が下段へ隠すように収められる。しかも開口部の地上高が約300mmと低いので、荷物の出し入れもスムーズにできる。さらに上下2段に仕切るボードは表裏で素材が違い、片面は汚れや濡れに強いワイパブル仕様になっているのもアウトドア派にはうれしい仕様だ。
アウトドアシーンでの使い勝手を総合的に考えるとやっぱり「クロスター」が魅力的だが、“寝心地”という面においては「エアー」の方が快適かもと感じた2台のフリード。とはいえはソロ車中泊にとって、どちらも“サイコーにちょうどいい”は間違いなかった。



広々空間はジャストサイズな『FREED CROSSTAR』







超低床フロアは最強の積載性!







車両:フリード クロスター e:HEV/FF/5人乗り
全長×全幅×全高:4310×1720×1755mm
室内長×室内幅×室内高:1935×1470×1270mm
車両価格:332万7500円
※車両の数値は撮影時に計測した参考値です。※撮影地「蓮田裏庭キャンプ場(埼玉県蓮田市)」
▷【実泊想定テスト】ホンダ・フリード AIR編はこちらから
STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2025年7月号 No.355より



