エンジョイから本気組までチューニングの幅は千差万別
Kカーからアメ車、旧車まで、ジャンルを問わず多彩なマシンが集結する人気イベント「DRAG FESTIVAL(通称ドラフェス)」。中でも注目を集めるのが、ロータリーとSRエンジン搭載車たち。若手オーナーのチャレンジから、ベテランが長年かけて仕上げたマシンまで、チューニングのアプローチはまさに千差万別。今回はその中から個性が光る注目車両をピックアップ!
WEKFESTアワードカーが全開で駆け抜ける!
モーリーシルビア(S15)【ドライバー:森山翔太/ベストタイム:12秒846】



今年5月の「WEK FEST」でSクラスのアワードを受賞した森山さんのS15シルビア。ブレイブによって仕上げられたこのマシンは、今回のドラフェスが初のドラッグ参戦だ。
エンジンはHKSのキャパシティアップグレードキットで2.2L化した腰下に、ナプレックのハイレスポンスキットとギャレットのGBC35-700タービンをセット。LINKのフルコン制御で620psを発揮する。エンジンベイのディテールにこだわり、サイクルフェンダー化やパウダーコート処理、電動ファン化などが施されているのも特徴的だ。

ストリートとショーカーを兼ね備えたインテリアには、MOMOステアリングに「アクセル全開、すばやくシフト」と書かれたマスキングテープが…。走行時の心構えが感じられる。

リアにはフージャー製のドラッグラジアル(315/35R17)を装着し、ガレージマックのエアロをまとう。
前日の練習走行中にスロットルケーブルホルダーが割れるトラブルに見舞われたが、何とか修復して当日出走。しかし本番ではミッションがブローし、惜しくもリタイアとなった。
9秒台入りを目指しエンジン&タービンを刷新
エンドレス180SX(RPS13)【ドライバー:石原陽介/ベストタイム:10秒015】


ドラフェス常連の石原さんが駆る180SXの登場だ。兵庫県のエンドレスが手がけたこのスーパーチューンドは、エンジンブローを機に仕様を一新し、排気量を2.2Lへ拡大。タービンも新調し、出力はついに750psに到達した。
ドライバーがその特性にも慣れてきたことで、安定感ある走行が可能に。タイムも着実に短縮されており、次なる目標は9秒9の壁突破だ。
340馬力のストリート仕様でエンジョイドラッグ実践中!
CREWCH★たいにぃワンチ【ドライバー:久留内太陽/ベストタイム:13秒272】


ドラッグチューナーとして名高い“クルウチ”代表の息子さんが乗る180SXは、街乗りを前提としたストリート仕様のシャコタンマシン。派手なチューニングは施されていないものの、燃料系の強化とHKS・GT2835タービンにより340psを発生させている。

タイヤにはフージャーのドラッグラジアル(245/45R17)をセットし、フェンダーとのクリアランスはギリギリ。これまでのベストは13秒185で、今後は13秒切りを狙って挑戦を続ける。
ノーマルSRでもまずは“楽しむ”がいちばん!
CREWCH★じろびあ(S15)【ドライバー:佐保田宗二郎/ベストタイム:16秒693】


180SXに乗る佐保田さんは、久留内さんと同様に、ストリート仕様の愛車でドラフェスにエントリー。エンジンはSR20DEのフルノーマルで、最高出力はカタログスペックそのままの165ps。パワーこそ控えめだが、「まずはドラッグレースに慣れることが先」と、今シーズンから本格的なチャレンジを開始した。
前回のラウンドでは、走行中にエアクリーナーが飛ぶという小トラブルがあったものの、今回はパンストを被せるというユニークな対策で無事クリア。愛車に合わせた工夫が光る。

当日はフリー走行時間をフルに活用し、スタートのタイミングやアクセルワークをじっくりと確認。約10本の走行を重ね、一本一本を丁寧にこなしていた姿が印象的だった。
足元にはR32純正ホイールにNITTO・NT555Rのドラッグラジアルをセットし、しっかりとグリップを確保。ちなみに、普段の街乗りでは当時モノのWORKエクイップをツライチで履かせており、見た目へのこだわりも忘れていない。
完成直後の180SXで12秒台に突入!
しょーりん【ドライバー:大森将理/ベストタイム:12秒813】

ドリフト競技への参戦を目指して、ブレイブで製作された大森さんの180SX。あくまでドリ車として組み上げられたマシンだが、今回のドラフェスではシェイクダウンの場として初のドラッグレースにチャレンジ。異なるステージでの走行ながら、12秒台という好タイムをマークし、仕上がりの高さを証明してみせた。

エンジンは東名パワードのキットで2.2L化し、ナプレックのハイレスポンスキット、HKSのGT2835Rタービンを組み合わせた仕様。制御はLINKのフルコンで、出力は470psに到達する。ドリフト仕様の足まわりのままでドラッグに挑んだが、セットアップに関しては今後の課題になりそうだ。

ステアリングコラムにはLINKのディスプレイが装着され、余分な装備を排除したダッシュまわりからは軽量化へのこだわりも伝わってくる。ステアリングはなんとD1で実際に使用されていた、ノムケンのサイン入りという貴重なお宝だ。

リアタイヤにはドラッグレース仕様としてNITTO・NT555RⅡを装着。グリップ重視のタイヤながら、足のセットは変更せずそのままで出走したという。ジャンルを越えた初挑戦で結果を出してみせた大森さんの180SX。ドリフトでも本領発揮となるか、今後の活躍が楽しみだ。
⚫︎取材イベント:DRAG FESTIVAL 2025 WEST Rd.2