安心感ある操縦性と乗り心地 車内は便利で快適な装備満載

新型車として登場してから時間が経ってもその魅力、存在感がまったく失せない軽自動車の一台が、軽自動車のワゴン×SUVという新ジャンルを提案したクロスオーバーモデルのハスラーだ。エクステリアのSUVテイストはもちろん、インテリアもアウトドア派が納得するデザイン性と機能性を備え、最低地上高はFF/4WDの駆動方式を問わず本格SUVに迫る180㎜を確保。走破性に関わるアプローチアングル、デパーチャーアングルも十分で、段差や悪路、雪道に強いのもハスラーらしさといっていい。

エクステリア

テールゲート部分を上下半分に塗り分けるツートーンカラーが、脱着式ハードトップのようなイメージを表現してオフロード風味を強めている。撮影車のボディカラーはツートーンの専用色だ。最小回転半径は4.6m。

アウトドアニーズにも応えるハスラーは、シートアレンジ性も優秀だ。前席をフルリクライニングして後席も格納すると、実測約2040㎜ものベッド長を実現。純正アクセサリーの「リラックスクッション」を用いることで、大人2名がまっすぐに寝られる車中泊にも適した室内空間が生まれるのである(そのフラット化のためフロントシートのサイドサポートは削られているが)。

乗降性

ACC(アダプティブクルーズコントロール)や車線逸脱抑制機能など、一定の先進運転支援機能は全グレードに標準装備(非装着車も用意)。さらにハスラーらしいのが4WD車にスノーモード、ヒルディセントコントロール、グリップコントロールを備えていること。見た目のゴツかわいさとは裏腹に、あらゆるシチュエーションに強い走行性能、走破性を実現しているわけだ。

インストルメントパネル

上下が平らな丸を3つ並べたインパネがユニーク。左から収納/オーディオ/メーター部となる。加飾はホワイトが基本だが、一部のボディカラーにオレンジとブルーを設定する。

エンジンは自然吸気と、登坂路などでのトルクアップを図るパワーモードを備えたターボが揃い、両エンジンともにISG(モーター機能付き発電機)によるマイルドハイブリッド仕様となる。燃費性能はライバルの一台と目される三菱デリカミニがFF/自然吸気で20.9㎞/ℓ、4WD/ターボは17.5㎞/ℓなのに対して、同25.0㎞/ℓ、20.8㎞/ℓ(WLTCモード)を誇る。

居住性

室内空間のゆとりにも注目だ。身長172㎝の筆者のドラポジ基準で後席に着座すれば、頭上に約160㎜、膝まわりに最大300㎜(後席スライド位置による)ものスペースがあり、これは同種のダイハツ・タフトを凌ぐ数値=広さとなる。さらにハスラーは、スズキグリーンテクノロジーのひとつ「エコクール」も搭載。これは内蔵した蓄冷剤をエアコンの冷気で凍らせ、アイドリングストップ中でも一定時間、吹き出し口から冷気を送風するもので、暑い時期の快適性に貢献してくれる。

うれしい装備

上級グレードのインパネアッパーボックスはリッド付きで、テーブルとして利用できる。休憩時に軽食やタブレットなどを置くのにちょうどいい。
月間販売台数      8093台(23年7月~12月平均値)
現行型発表       19年12月(一部仕様変更 22年5月)
WLTCモード燃費     25.0 ㎞/ℓ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム

そんなハスラーの自然吸気/FFモデルを走らせれば、一瞬、ターボモデル? と錯覚するほどの出足のスムーズさ、トルク感、伸びやかな低中速域の加速力を披露してくれることに驚いた。しかも、しなやかで路面に影響されにくい乗り心地は感動モノ。一方、ターボ/4WDモデルは動力性能のゆとりはもちろん、リヤサスの違い(トーションビーム→ITL)から、軽自動車らしからぬ上質で快適な乗り心地と安心感・安定感たっぷりの操縦安定性を味わわせてくれる。現時点で唯一、ライバルにリードされるのは、電動パーキングブレーキが未採用ということぐらいだろうか。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。

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