連載

GENROQ ランボルギーニヒストリー

Lamborghini Egoista

「利己的」を車名に戴くシングルシーター

2010年に発表されたセストエレメントと同様に闘牛由来のネーミングを行わなかったエゴイスタ。開発を主導したのはヴァルター・デ・シルバ。

2013年5月、ランボルギーニは自らの創立50周年を記念して、サンタアガタ・ボロネーゼの本社を中心に、さまざまな記念イベントを開催した。その締めくくりとなったのが、本社施設内に特設されたテント内で行われたガラ・ディナー。1000人以上のゲストを迎えて行われたこのディナーのメインイベントのひとつとして披露されたのが、当時フォルクスワーゲン&アウディ・グループのデザイン部門を統括していた、ヴァルター・デ・シルバによって発案されたコンセプトカー、エゴイスタだった。

エゴイスタとは、イタリア語で利己的を意味する言葉であり、それはすなわちランボルギーニが、これからも独自のコンセプトや発想、そしてエンジニアリングによってカスタマーを満足させるモデルを作り続けていくことを意味していた。

キャノピーを跳ね上げて乗降する完全なコンセプトモデル

直線的な面を複雑に組み合わせたエクステリアデザインは、ステルス戦闘機を彷彿とさせる。乗り降りにはステアリングホイールを取り外す必要があるなど、量産を前提とせず、まさに開発者の「わがまま」によって製造された。

実際に披露されたエゴイスタは、戦闘機や攻撃型ヘリコプターからインスピレーションを得たというシングルシーターのモデルで、デ・シルバ氏によれば、創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニ氏が存命であれば、このような独創的で高性能なモデルを望んだに違いないと説明された。

このエゴイスタはシングルシーターで、キャビンへの乗降は、電動式開閉式のキャノピーを跳ね上げて行う。メーターパネルやオレンジ色の防眩フィルムなど、その演出はまさに戦闘機そのものといったところ。ミッドには当時のガヤルドから受け継がれた、5.2リッターのV型10気筒自然吸気エンジンが、600PSの最高出力で搭載されている。

もちろんエゴイスタはワンオフのコンセプトカーであるからセールスの予定は最初からなく、現在ではランボルギーニの敷地内にあるオフィシャル・ミュージアム、ムゼオ・ランボルギーニでその姿を見ることが多い。はたしてそれは、今後のランボルギーニ車に何らかの影響を与えるのだろうか。それとも単に50周年を記念するモニュメントに近いものなのか。どうやら後者とするのが一般的な評価のようだ。

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ エゴイスタ

発表:2013年
エンジン:90度V型10気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5204cc
圧縮比:ー
最高出力:600PS
最大トルク:ー
トランスミッション:ー
駆動方式:ー
車両重量:ー
最高速度:ー

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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