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MAZDA3長期レポート

「フロントワイパーデアイサー」とはなに?

前回、前々回に引き続き、6月5日に納車されたMAZDA3 PROACTIVE Touring Selection、AWD、6MT、ポリメタルグレーメタリックの観察を続けよう。

MAZDA3 PROACTIVE Touring Selection、AWD、6MT。ボディカラーは、ポリメタルグレーメタリック

筆者が購入したのはAWDなので、降雪地向けの装備品がつく。以下のとおりだ。

・フロントワイパーデアイサー
・ヘッドランプウォッシャー
・ヒーテッドドアミラー
・大型ウォッシャータンク&ウォッシャー液残量警告灯
・リヤフォグランプ

「フロントワイパーデアイサー?」となったので、フロントウインドウを確認してみると、ウインドウの下端、ワイパーの上にあたる位置に熱線が確認できた。熱線はAピラーの内側にもある。フロントウインドウにたまった雪を取り除く際や、フロントウインドウが霜で凍りついたときに役立ちそうだ。フロントワイパーデアイサーはリヤウインドウデフォッガー(くもり取り)と連動して作動。ハザードランプ(非常点滅表示灯)スイッチの右横にリヤウインドウデフォッガーのスイッチがある。ヒーテッドドアミラーもこのスイッチと連動している。果たして、効果のありがたみを感じる日は来るだろうか。

ヒーテッドドアミラー
ヒーテッドドアミラー。熱線が見えるだろうか?
これが、「フロントワイパーデアイサー」だ。

ヘッドランプウォッシャーは、電源ポジションがONで、ヘッドランプが点灯しているときにワイパーのレバーを手前に2回引くと作動する。そうでなくても、ヘッドランプ点灯後、初めてフロントウォッシャーを作動させると、ヘッドランプウォッシャーが自動で作動する。なるほど。調べたいときに調べたいことがすぐに調べられるので、スマホアプリのMyMazdaは便利だ。

調べたいときにすぐに調べられるので、スマホアプリのMyMazdaは便利
調べればすぐわかるけれど、調べないとずっとわからないこともある。
作動していないとき、ワイパーは視界にまったく入らない。
ワイパーは、このようにコンシールドタイプだ。
MAZDA3のウィンドウウォッシャーは、ワイパーが下向きに作動しているときのみ噴射される。ウォッシャーノズルはボンネットではなく、ワイパーアームについている。

ワイパーはMAZDA3のこだわり装備のひとつだ。ボンネットフードの下に配置することでドライバーの視界の邪魔をしない。「視覚的ノイズ」を可能な限り除去するのが、運転時の安全性や快適性を高める基本だが、その点、MAZDA3はよく考えられている。エクステリアデザインの点でも、「ワイパーが見えない」ことが効いていて、MAZDA3のすっきりしたデザインにひと役買っているように感じる。

ウィンドウウォッシャータンクの補給口はここ。

そのワイパー、ただ隠れて配置されているだけではない。負荷を検知して反転位置を可変制御する機能を採用したことで、カウル内に雪が堆積した場合などでも安定した作動が可能だという。また、ボンネットフード上ではなくワイパーアームにウォッシャーノズルを取り付けたことにより、ウォッシャー液の噴射による瞬間的な視界の妨害を抑制している。これ、海外ブランドのクルマでも体験済みだが、なかなか感動的だ。ウォッシャー液の噴射プロセスとワイパーによる拭き取りの動きに無駄がなく、見ていて気持ちいい。なにより、拭き残しが極めて少なく、クリアな視界が即座に得られるのがありがたい。

こうして見ても、フロントワイパーの存在は見えない。

MAZDA3のワイパーは払拭性能をより高めるため、作動速度のコントロールを緻密に作り込んだという。これにより、均一な薄さの水膜を形成し、光りの屈折率を安定させることで、クリアな視界の確保に寄与。同時に、ワイパー作動時の視界を広げるため、作動角度を常に細かく調整する制御を採用。低速走行時はもちろんのこと、強い走行風を受ける高速走行時も、Aピラー直近まで払拭できるようにし、運転席側Aピラーまわりの視界をしっかり確保している。

雨の日のMAZDA3の視界は絶品だ。気に入ったデザインの傘を買ったような気分で、「雨よ降れ」と言いたくなる。雨天時のドライブは少なからずストレスを覚悟するものだが、MAZDA3に限ってはそのストレスが極めて低いレベルに抑えられているのを、雨天時のドライブを何度か経験して実感する(我が車がAWDなのも、高い安心感に少なからず寄与していると思う)。

MAZDA3はヘッドライトが素晴らしい

マツダ魂動デザインが採用するシリンドリカル(円筒形)のヘッドライト。

そして、ヘッドライトだ。これも、「早く暗くなれ」という気分にさせてくれる。MAZDA3はアダプティブLEDヘッドライト(ALH)を15S、15S Touring以外のグレードに標準設定している。先行車や対向車の状況に応じ、ヘッドライトの照射範囲や明るさを自動的に変化させるシステムだ。約30km/h以上で照射範囲を自動でコントロールする「グレアフリー(防眩)ハイビーム」と、左右側方をより広い範囲で照射する「ワイド配光ロービーム」、約95km/h以上になると光軸の上下を自動で切り換え、より遠方を照射する「ハイウェイモード」で構成されている。カーブの度合いに応じて6段階に進行方向を照射する可変配光を備えているのも特徴だ。

一度ALHのありがたみを体験してしまうと、普通のヘッドライトには戻れないし、戻りたくない。夜が明るいって、なんと素晴らしく、ストレスが軽減されるものかと、MAZDA3に乗る度に実感する。高速道路や郊外の一般道でのありがたみといったらない。雨の夜という、視界の面では非常に厳しい条件でも、MAZDA3なら苦にならないというのが実感だ(できれば、晴れていてほしいが)。

リヤフォグライト未点灯
リヤフォグライト点灯
リヤフォグライト未点灯
リヤフォグライト点灯

リヤフォグランプのありがたみはすでに体験した。仕事柄箱根(神奈川県箱根町)方面に出かけることが多いのだが、山の上のほうが目的地だったりすると、霧に遭遇することがときどきある。7月中旬のある日もそうで、標高が上がるにつれ、みるみる周囲は白くなっていった。帰路の急な下り勾配(箱根新道である)ではしばらく単独走行が続いたので、「後続車よ、気がついてね」の想いを込めてリヤフォグランプを点灯した。

レバー奥をひねるとリヤフォグライトが点灯する。リヤフォグは4WDのみに装着される。
MAZDA3 FB
右リヤに組み込まれたリヤフォグランプ。点灯するとこうなる。

付いていて(点いていて)良かった、の気分である。

僕がマツダMAZDA3を選んだ理由 SKYACTIV-X/AWD/6MT/ポリメタルグレーメタリック 長期レポート

MAZDA3がデビューしたのは2019年5月、期待の革新的燃料方式を採るSKYACTIV-X搭載モデルが登場したのが19年末。テクノロジーとモータースポーツを得意とするモータージャーナリスト、世良耕太さんがVWゴルフ7の後継のマイカーに選んだのは、MAZDA3 FB e-SKYACTIV-X搭載のAWD、6MTモデルだった。購入検討から実際に購入して1年超が経った。MAZDA3長期レポートでは、オーナーだからこそわかる長所は気になるところをレポートしてきた。MAZDA3に興味のある方、必読です。

https://motor-fan.jp/mf/article/59062/

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