カーライフ 誰も成し得なかった技術にこそプレミアムは宿る「ホンダNR」が搭載した「楕円ピストン・エンジン」とは?【写真・2枚目】 ホンダNR。唯一無二のエンジンを目の字断面のツインスパーフレームに搭載し、倒立フォークや片持ち式のスイングアーム(プロアーム)、マグネシウムホイールと足まわりも最上のものを装着する。 フォルクスワーゲン・パサートW8に搭載されたW型8気筒エンジンは、シリンダーバンク角15度の狭角V型4気筒をさらに72度のバンク角で組み合わせている。シリンダーが互い違いに配置されているため、シリンダーヘッドはひとつしか持たず、カムシャフトも共用だ。そのため8気筒ながらV型6気筒に近いコンパクトなエンジンである。 1979年、NR500(NR1)がついにGPデビューを飾る。片山敬済とともにハンドルを託されたミック・グラント(写真)は、NR500にとって初戦となるイギリスGPで、こちらも4ストロークにとっては不利な押しがけスタートで出遅れた後、第1コーナーで転倒し炎上。片山車も3周目にイグニッショントラブルでリタイア。続く第12戦では500ccクラスのレースは無かったが、この年の最終戦となる第13戦フランスGPでは屈辱の予選落ちを喫した。 750ccの耐久レース用エンジンの開発により、楕円ピストンエンジンの技術が向上。国内仕様は77PS/11500rpm、5.4kgm/9000rpm、レッドゾーンは15000rpmからで輸出仕様の最高出力は130PS/14500rpm、7.2kgm/9000rpmであった。 市販車のNRのピストンとコンロッド。一般的な楕円ではなく、加工面とシーリング性で有利な正規楕円包絡線形状を採用する。 1969年に登場したCB750フォア。量産市販車として世界初の直列4気筒エンジンを搭載し、前輪ディスクブレーキやドライサンプの潤滑方式など当時の最上級の装備をおごられたバイク。4キャブレターの4本出しマフラーは威風堂々としたスタイルは世界中のバイク乗りに衝撃を与え、空前のヒット作となる。 この画像の記事を読む