伝統のラダーフレームのレクサス GX vs. 高剛性アルミモノコックのディフェンダー 

GXの「バージョンL」グレードは7人乗りだが、「オーバートレイル+」は5人乗りとなる。一方のディフェンダーは全長が異なる90/110/130の3サイズが用意されており、GXと同様のボディサイズとなるのは同じく5人乗りを基本とし、3列目2座シートのオプション設定がある中間サイズの110だ。

ただし、GXはラダーフレームにキャビンが乗るボディオンフレーム構造であるのに対し、ディフェンダーはスペース効率に優れるモノコックボディを採用している違いもあって、後席空間はディフェンダーの方がやや広く確保されている。

両車の荷室空間は同じくらいだがシートギミックがやや異なる。GXは背もたれを倒し、さらに座面ごと前へ引き起こしたタンブル状態にすることで荷室床面長は1695mmのフラットな空間が確保できる。対するディフェンダーは後席座面のみを前へタンブルさせてフルフラットにし、その際の床面長は実寸1630mmほどだ。荷室幅はおおむね同じくらいで、5名乗車時の荷室長は1122mmと919mmでGXの方がやや広い。

またリアハッチはGXは縦開きのハンズフリー電動テールゲートであるのに対し、ディフェンダーは横開きドアを採用しており開閉は手動となるが大きな力は不要だ。なお、GXはガラスハッチのみの開閉も可能となっている。

レクサス GX550 オーバートレイル+
ボディサイズ=全長4960mm×全幅2000mm×全高1925mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=2480kg
タイヤサイズ=265/65R18(前後)

ランドローバー ディフェンダー110 XダイナミックSE D350
ボディサイズ=全長4945mm×全幅1995mm×全高1970mm
ホイールベース=3020mm
車両重量=2270kg
タイヤサイズ=

総合的な走行性能ではディフェンダーの勝ち

ディーゼルマイルドハイブリッドのディフェンダー「D350」の方が動力性能、燃費性能ともに優れているが、ガソリンエンジンでありながらディーゼルエンジン並の大トルクを発揮できるGXのエンジン性能は特筆すべき点だ。両車のWLTCモード平均燃費はGXが8.3km/L(オーバートレイル+)、ディフェンダーが10.5km/L(D350)となる。

オフロード性能に優れるのもディフェンダーの方と言えそうだ。悪路走行の要である最低地上高はGXが215mmでディフェンダーが220mm以上を確保しており、対地障害角や渡河性能もディフェンダーが優位となっている。

また悪路支援機能に関しても、ディフェンダーには路面状況に応じてエンジン出力やデフのロック率などが最適制御されるとともに各設定を好みに応じて細かに調整できる「テレインレスポンス」が備わる。

GXにも前後スタビライザーの効きを電制可変させる「E-KDSS」や、ブレーキを独立制御してトラクションを稼ぐ「アクティブトラクションコントロール」などの機能が備わり、状況に応じてモードセレクト可能な「マルチテレインセレクト」が搭載されるがディフェンダーの統合制御と手厚い支援機能には一歩及ばない。

ただしGXのシャシーは頑強なラダーフレームであり、リアサスはモーグル路などに最適なリアリジッドアクスルとなる。オンロード走行を含めた総合性能では、ラダーフレーム以上とも言われる高剛性モノコックボディと4輪独立懸架サスペンションが組み合わせられるディフェンダーが勝るかもしれないが、オフロード走行における信頼性ではGXが優勢だ。

レクサス GX550 オーバートレイル+
エンジン形式=V型6気筒ガソリンターボエンジン
排気量=3444cc
最高出力=353ps/4800-5200rpm
最大トルク=650Nm/2000-3600rpm
トランスミッション=10速AT
駆動方式=4WD

ランドローバー ディフェンダー110 XダイナミックSE D350
エンジン形式=直列6気筒ディーゼルターボエンジン+モーター
排気量=2993cc
最高出力=350ps/4000rpm
最大トルク=700Nm/1500-3000rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=4WD

同価格帯のプレミアムオフローダーでも相違点が多い2台

「GX550 オーバートレイル+」の価格は11950万円。対する「ディフェンダー 110 XダイナミックSE D350」は1027万円となる。これだけの性能が備わっていながらディフェンダーの方が安価だ。ディフェンダーの「XダイナミックSE」グレードで選べる4気筒ガソリンモデルなら価格は872万円からとさらに安い。

ただしディフェンダーにはエアサスなどのオプションも豊富に用意されている。選ぶ仕様によっては価格が大きく跳ね上がるためオーダーの際は自制心が必要だ。

両車とも世界屈指のプレミアムオフローダーであり、どちらも高い快適性と持て余すほどの悪路走破性能を備えているのは間違いない。ただし、両車の設計アプローチは大きく異なる。GXの構成はディフェンダーに比べればローテクと言わざるを得ないが「オフロードカーはこうあるべき」と望むユーザーも多いはずだ。

車両本体価格