単なるハイブリッド化にとどまらない、配慮の行き届いたオフロード4駆のハイブリッドモデル
LEXUSは、LX700hの導入にあたり、LXが代々培ってきた「信頼性」「耐久性」「悪路走破性」を、電動化に於いても守り抜く事を第一とした、新しいハイブリッドシステムを開発。
モータートルクを活かした、LEXUSらしい走りの実現とともに、環境性能に於いては、車両使用時の年間CO2排出量をグローバルの全台数分をこれまで以上に低減していくかまえだ。
エンジンモデルも含め、基本素性の向上により、LEXUSならではの走りの味“Lexus Driving Signature”のさらなるレベルアップを実施。ドライバーの操作に遅れなく反応する“対話のできる走り”に磨きをかけるとともに、安全装備に関しては、より安全、安心に乗ってもらえるよう、最新のLexus Safety System +(LSS+)にアップデートされている。
LX700hの主な特徴
1.LEXUS初のパラレルハイブリッドシステム
V型6気筒3.5Lツインターボエンジンと10速ATの間に、クラッチを有する「モータージェネレーター(MG)」を配したパラレルハイブリッドシステムを起用。
LX700hでは、従来のLEXUSパラレルハイブリッド車には装備されないオルタネータとスタータを標準化。これが「LEXUS初のパラレルハイブリッド」たるゆえんだ。
万一、ハイブリッドシステムが停止した際にもスタータでのエンジン始動が可能、オルタネータで発電した電気を12V補器バッテリーに供給することで、エンジンのみでの退避走行を可能とした。
このへんは、「どこにでも行け、どこからでも生きて帰れること」が信条のランクルを母体とするクルマならではの措置で、LEXUS初のシステムだ。
遠くない将来、現行ランクル300にも同様のシステムが載ることだろう。


2.エンジン車両などの渡河性能
リヤフロアに搭載したハイブリッドメインバッテリー本体を、上下分割した防水トレイでパッキングする防水構造を採用した。
深水路などでの水の侵入を防止することで、エンジン車同等の渡河性能700mmを確保。万が一防水トレイに水が浸入した際にはトレイ内に配した被水センサーが検知、メーター表示でドライバーへの注意喚起を行う。これも単なるハイブリッド化にとどめてはいけない、ランクルベース車ならではの配慮だ。


3.モータートルクを活かした走り
応答性の良いモーターのトルク特性と大排気量ツインターボエンジンの組み合わせにより、低速に於いてはアクセル低開度からレスポンスの良いリニアな発進・加速を、アクセル踏み込み時や高速域に於いては大トルクを活かした力強く伸びのある加速を実現、LEXUSらしい“対話のできる走り”を追求している。
オフロードに於いてはトランスファーHiレンジにとどまらず、Loレンジでのモーター駆動をLEXUSとして初採用。
4.給電機能
センターコンソール下に配した、防水構造のACコンバータにより、1500Wまたは2400W(地域によって異なる)までの給電を可能にした。
5.GA-Fプラットホームの改良
ハイブリッド化に伴い、ボディ側にも手が入れられている。
モータージェネレーターの追加による重量増、全長が伸びたパワートレーン搭載に対応し、専用のクロスメンバーを追加。断面と板厚を最適化した上で薄型形状にすることで、エンジン車同等の最低地上高を確保した。パワートレーンの重量増に合わせ、リヤ側エンジンマウントの材質もより耐久性の高いものに変えたという。
リヤフロアにハイブリッドメインバッテリーが搭載されたとなると、スペアタイヤとの干渉が心配になる。クルマの性格上、応急用パンクキットというわけにはいかず、スペアタイヤは位置、というよりも取付角度を変更。全体の場所はそのままに、スペアタイヤクロスを新設し、スペアタイヤの取付角度を最適化することで、搭載位置を下げながらもデパーチャアングルを維持し、悪路走破性とサービス性向上を両立したという。
現行ランクル&LX600計画時から、ハイブリッド版LX700hは視野に入れていたろうが、このへんリヤアンダーのレイアウト成立に、設計者はさぞ頭の痛い思いをしたことだろう。

LEXUS統一の走りの味、Lexus Driving Signatureの追求
ここから先は、LX700h追加を機に受けた、LX600も含むシリーズ全体の変更項目だ。
1.剛性向上の取り組み
LEXUSの他のモデルで実践しているラジエータサポート周辺の剛性向上がLXにも織り込まれた。
ステアリング操作に対するリニアな反応を実現するとともに、補強部材をパッチ形状とすることでホイールアーティキュレーションを維持、悪路走破性を犠牲にすることなく、操舵応答性を向上させたという。
インストルメントパネルのリインフォースメントについては、ステアリング支持剛性向上の為のブラケット追加および既存ブラケットの板厚変更、ステアフィールと操縦安定性向上の改良は予断がない。
2.新構造のキャブマウントクッション
フレームにボディをマウントするためのキャブマウントクッションも構造が改められた。
フレームとボディがこじる動きをする際の結合剛性を向上させることで、フレーム車特有のブルブルという低周波振動をより低減、フレーム車ならではの高い堅牢性やロードノイズの遮音性はそのままに、すっきりとした乗り心地を実現させたという。
3.AVSの進化
AVSアクチュエータ部のバルブ構造を見直し、路面の段差通過などでアブソーバーが急に縮む際の減衰力を滑らかにコントロールすることで、突き上げ感を抑えた滑らかな乗り心地を実現した。
トランスファーLoレンジに於いても、極低速から車両が停止する際の減衰力コントロールを改善、余分な車両の動きを抑え、悪路に於ける安心感と上質感を高めている。
より一層、楽な・上質なドライブのための機能・装備の進化
ハイブリッドモデルの追加に合わせ、エンジン車も含めて機能・装備面でも商品性強化が図られている。
1.12.3インチ大型フル液晶メーターの採用
ドライバーが運転に集中できるよう、運転支援情報をわかりやすく表示可能。
LXで伝統的に用いられてきたバッテリー電圧やエンジン油圧の表示のほか、画面カスタマイズにより、ブースト計、ハイブリッド車ならバッテリー充電状態の表示選択もできる。
ドライブモードセレクトやマルチテレインセレクトの、モード切替時の車両アニメーション表示も一新されている。


2.エレクトロシフトマチック採用(ハイブリッドモデルのみ)
LEXUSオフロード4WD車としては初めてエレクトロシフトマチックを起用した。
「揉み出し」のような悪路走行特有の操作時に於ける操作のしやすさ、握りやすさを、オフロードのTAKUMI監修のもとに追求、心地よい触感と高い操作性を両立する、LX専用のシフトノブを新規採用したという。
また、エレクトロシフトマチックの採用に伴い、「アドバンストパーク」のスイッチも、センターコンソール上面の見やすい位置に変更された。

3.前席リフレッシュシート採用(EXECUTIVEはドライバー席)
前席乗員の疲労軽減の一助として、エアプラダー(空気袋)方式のリフレッシュシートを新たに採用した。
センターディスプレイ上のスイッチからON・OFFおよび全身2コース、部位別3コースの全5コースから選択でき、強度も5段階から設定できる。
4.「置くだけ充電」の進化
センターコンソール上面の「置くだけ充電」の世代を更新し、急速充電に対応するともに、従来、センターコンソールのみだったEXECUTIVEについてはフロントセンターコンソールにも設定を追加した。
他には、冒頭で触れた、LEXUSの予防安全機能「Lexus Safety System +(LSS+)」も進化している以外に、高度運転支援技術「Lexus Teammate」の機能「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」と、「アドバンストパーク(ハイブリッドモデルのみ)」が採用されている。
顧客のライフスタイルに寄り添うべく、ラインアップを変更
従来、価格順に「LX600 “EXECUTIVE”」「LX600 “OFFROAD”」、そして標準の「LX600」の、3バリエーションだったが、今回、「“OFFROAD”」に代わり、「“OVERTRAIL+”」が登板した。
この「“OVERTRAIL+”」の追加は、カーボンニュートラル社会や、「人と自然とモビリティの共生」の実現を目指し、顧客の幅広いアウトドアライフスタイルに寄り添う「LEXUS OVERTRAIL PROJECT」の一環で、アウトドアテイストのある内外装を持つ「“OVERTRAIL+”」となっている。
内外装色
・エクステリアデザイン
黒光輝塗装スピンドルグリルとマットグレー塗装アルミホイールをはじめ、フォグランプ、ルーフレール、ウインドウモール、ホイールアーチモール、ドアハンドル、アウターミラー、リヤバンパーサイドメッキモールを黒・ダーク系色でコーディネート。

・ボディカラー
一見、ソリッドのようでありながら、メタリックの陰影によって立体感を際立たせ、LEXUSらしい上質さを感じさせる「ムーンデザート」を“OVERTRAIL+”設定色とし、全6色をラインアップした。
・インテリアデザイン
内装色には、“OVERTRAIL+”設定色として「モノリス」を設定。
シート表皮のメーン部分とドアトリムに低彩度のモノリスを組み合わせ、アッシュパール墨ブラックのオーナメント加飾を施し、LEXUSらしい上質なオフロードシーンを演出する。


装備
・フロント・センター・リヤ・ディファレンシャルロック
全機種に標準装備されるセンターデフロックに加え、OVERTRAIL+用に、フロント・センター・リヤのディファレンシャルロックを設定、車輪がスタックした際などに、必要に応じてディファレンシャルをロックさせ、脱出性能を高める。
「“OVERTRAIL+”」が他の機種に対し、単なる内外の着せ替えモデルでないことを証明するデバイスだ。

・265/65R18タイヤ&アルミホイール(マットグレーメタリック塗装)
悪路での路面追随性を向上させる、扁平率の高い18インチタイヤを設定。ロードノイズにも配慮し、トレッドパターンや構造を最適化し、オンロードでの優れた操安・乗り心地性能をオフロード性能を両立させている。

車両本体価格
バリエーションは、前述したとおり、従来の「“OFFROAD”」が「“OVERTRAIL+”」に置き換わっただけなので、基本3バリエーションであることに変わりはないが、その3バリエーションが、今回追加されたハイブリッドモデルにもそのままスライドされているので、価格はトータル6とおり。
在来からの続投となる「LX600 “EXECUTIVE”」と標準の「LX600」の2機種は、それぞれ200万円の値上げ幅だ。
