走りはいいね! 今日は雨だから路面の音も静かめだけど、乗り心地含めて悪くない

待ちに待ったクラウンの4車種目、エステートが出た。ステーションワゴンというよりも、ちょっとストレッチした5ドアハッチ風のデザインなので、今までの型にはまらない新しいデザインかなと思う。全長は4930mmなのでクロスオーバー(4930mm)と変わらない。

乗ってみて驚いたのは、さすが4モデル目ということで細かいところをいろいろアップデートしているようで、乗り心地が結構良くなっている。21インチの235/45R21と、なかなか大径のミシュランタイヤを履いているが、ウエット性能もいいしロードノイズ、乗り心地もいい。4モデル目のエステートは細かいところが進化しているな、というのが第1印象だ。




エステートでは、走行モードがエコ/ノーマル/スポーツ/カスタムに加えて“リヤコンフォート”というのがある。これは可変ダンパーが全体的にちょっと柔らかくなっているのと、もう1つはDRS(Dynamic Rear Steering)といって70km/h以上のリヤステアを同位相に少し余計につけていること。これで高速を走った時のリヤのスタビリティが上がる。ダンパーをちょっと下げリヤがストロークする分、ちょっと不安定になりやすい…というのが一般論としてあるので、リヤステアをちょっと強めに同位相にすることにより、リヤのスタビリティを上げて直進性を高めている。そんなチューニングがリヤコンフォートモードだ。


まぁ毎日通る道で試してみないとわからないが、絶対評価で言うとリヤコンフォートモードは凄くご機嫌だ。これがデフォルトでもいいんじゃないかな?という気もちょっとしている。
そういう意味で、走りは今までのクラウン・シリーズ中で最も進化したのが、このエステート。今後、イヤーモデルでクラウン・クロスオーバーやクラウン・スポーツに、エステートで得られた経験・知見が移植されていくと思う。

4車種揃ったクラウン・ファミリー。ただ、FRのクラウン・セダンだけは乗り心地がベラボウに良いので、どうやってFRのセダンの、あの上質な乗り味に近づけていくのか? クラウン4車種の中でもFRプラットフォームとFFプラットフォームがあるので、そこが1つのチャレンジかなという気がする。
ライバル車より全長チョイ短が扱い良し、PDAは漢方薬のごとく優しい
試乗車はPHEV(プラグインハイブリッド)なので今、EV走行。本当に気持ちいいよね! やっぱりエンジンをかけずに電気モーターだけで走ると圧倒的に静かなので、タイヤ周りの音・振動も余計に気を使わないといけない。そういう意味でもこのエステート、かなり上質な乗り味になっている。

インテリアも豪華に作っているからRAV4よりもかなり重量が重いのかな?と思ったら、意外にそこまで重くない(エステート 2.5L PHEV=2080kg/RAV4 2.5L PHEV=1920kg)。
全長4930mmと5mをかろうじて切っているので、日本車としてはデカいが、最近のBMWやメルセデス・ベンツのステーションワゴン(BMW 5シリーズツーリング=5060mm/メルセデス・ベンツ Eクラスステーションワゴン=4960mm)と比べたらエステートのほうがちょっと短いか。全長が5m超えるといきなり使いにくくなるからね。

クラウン・シリーズにはPDA=プロアクティブドライビングアシスト(Proactive Driving Assist)があり、あえてACCとかLKASを使わなくても、エンジンをかけたデフォルトの状態で、カーブがきたらちょっとエンジンブレーキをかけてスピード落としてくれたり、安全運転サポートを自然にやってくれる。なんか漢方薬みたいな感じかな? 結構、これが乗りやすいなという印象。
ワインディングなどを走っていて下り坂でカーブがくると、ドライバーが意識してスピード落とさなくても自然に周辺の状況を見ながら多少速度を落としてくれる。左カーブだったら左にハンドル切る方向に電動パワーステアリングのアシスト量が決まるので、切り遅れたりするとちょっと逆側が重くなったりと、正しい方向の操舵に多少アシストが入る。その辺は決め細かいチューニングをしているようなのだが、単独でその技術を評価するっていうのは難しいのだが、ものすごく自然に、ドライバーが意識しなくてもそっと裏側で制御がアシストしている、そんな感じ。

このクルマにはドライバーモニタリングシステムが付いているので、わざとアウトポジションを取っていると“前方を正しく見てください”とか、“姿勢が乱れている”みたいなアラームが出る。自動車技術はこういったITやセンサーなどを使うと、いろいろなことができる時代になった。
PHEVとHEV、値段差175万円をどう見るか?
今乗っているクラウン・エステートのHEV(635万円)は、PHEV(810万円)と比べて値段が175万円安いが、それでも600万円は超えているのでどんな走りなのかをチェックしてみよう。

HEVなのでPHEVとは違い、モーターだけで走るということがなかなかしにくいが、普通のHEVなのでバッテリー容量がそんなに大きくはないが、バッテリーが溜まっていたらわずかだがEV走行ができる。もっとEV走行をしたかったらPHEVになるのだが、175万円プラスしないと手に入らないわけだ。自分だったらどうかな?と思うのだが、この635万円のHEVでもいいかな?という感じもする。

でも何が違うって、PHEVはダンパーが違うので、そのダンパーがものすごく乗り心地がいいのだ。HEVのドライブモードはスポーツ/ノーマル/エコだが、PHEVだけにあるリヤコンフォート、これが本当に乗り心地がいいので、HEVもPHEVと同じダンパーを使って欲しいという気がする。HEVの方がコンベンショナルなダンパーだと思うが、細かいコツコツを拾う傾向がある。でも、これも絶対評価で言えば相当乗り心地がいい部類には入るのだけどね。
エステートのハイブリッドは普通のHEVだが、メーター内にEV走行比率というのが出てくる。今くらいのスピードだとEV走行比率55%。これで結構燃費に効くよね。EV走行比率が高まってエンジン走行の比率が下がれば、燃費が良くなる。

ハイブリッドの方がロードノイズもちょっと大きいかな。HEV(1890kg)に比べてPHEV(2080kg)は重量が重い分、細かい振動は車体の方で吸収するので重さはメリットになる。なので音・振動に関しては重い方が有利か。まぁPHEVのほうがEV走行比率が高いし、エンジンがかからないので静か。資金に余裕があったらPHEVがおススメ。やっぱり乗り心地が違う、高いだけあってPHEVの方が上質感がある。でもHEVも635万円だったら全然悪くない。
PHEVとHEV、値段と装備、燃費を考慮して…アナタならどっち?

ついに登場したクラウンの4モデル目、クラウン・エステート。ステーションワゴンだが見ての通り、リヤがストレッチした昔ながらのステーションワゴンというスタイリングではなく、気の利いた5ドアハッチのリヤストレッチ版、みたいな感じ。トヨタ的には型にはまらないクラウン・シリーズ。クロスオーバー、スポーツ、セダンのFR、そしてこのエステート。

2.5LのPHEV(プラグインハイブリッド)は、EVモードもできるしエンジンがかかっても非常に燃費がいい。今、PHEVは各メーカーいろいろ出てきているが、トヨタのシステムが1番、電費と燃費がいい。

あと、同じようなサイズのクロスオーバーSUVが結構出てきて、後席の乗り心地をずっとチェックしてきているが、今まで出ている日本のライバル車の中では、後席の乗り心地はこのエステートが1番いい。ドライバビリティも悪くないので、4モデル目にしてついにクラウンが1つの完成形に来たな!という感じがした。
ただ、HEV(635万円)に対してPHEVは800万円以上(810万円)するので、お値段も相当いい感じなのだが、リヤコンフォートモードは特筆もの。トヨタの持っている技術を全て織り込んで、かなり高級感のある素晴らしいエステートに仕上がったと思う。
【SPECIFICATIONS】
車名:トヨタ クラウン・エステートRS(プラグインハイブリッド)
全長×全幅×全高:4930×1880×1625mm
ホイールベース:2850mm
トレッド(前/後):1605/1615mm
車両重量:2080kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.5m
エンジン種類:直列4気筒DOHC
内径×行程:87.5×103.4mm
総排気量:2487cc
エンジン最高出力:130kW(177ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:219Nm(22.3kgm)/3600rpm
燃料タンク容量:47L(無鉛プレミアム)
フロントモーター最高出力:134kW(182ps)
フロントモーター最大トルク:270Nm(27.5kgm)
リアモーター最高出力:40kW(54ps)
リアモーター最大トルク:121Nm(12.3kgm)
ミッション:CVT
燃料消費率(WLTCモード):20.0km/L
サスペンション(前/後):マクファーソンストラット/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後共): 235/45R21
車両本体価格(税込):8,100,000円

