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今日は何の日?

■コンパクトながらクラウンレベルの静粛性と乗り心地を実現したプログレ

1998(平成10)年5月14日、トヨタの“小さな高級車”をテーマに開発された「プログレ」がデビューした。10代目「クラウン」のプラットフォームを流用し、全長はクラウンより300mm短いが、ホイールベースは2780mmと長くとり広い室内空間を確保し、さらに静粛性や乗り心地は高級車に負けないレベルを実現した。

トヨタ「プログレ」
1998年にデビューした小さな高級車の元祖「ブログレ」
トヨタ「プログレ」
「ブログレ」のリヤビュー

ボディサイズが小さいこと以外はすべて高級車クラスのプログレ

コンパクトながら一般的な高級車のような質感のクルマ“小さな高級車”をテーマに開発されたのが、1998年5月のこの日にデビューした3ボックスセダンの「プログレ」だ。全長はクラウンより300mm短く、5ナンバー規格の4700mmより200mmも短い。そして全幅は、5ナンバー規格に収まる全長4500mm×全幅1700mm×全高1435mmのコンパクトサイズである。

「ブログレ」のサイドビュー
「ブログレ」のサイドビュー

全長の割にホイールベースは2780mmと長いため、余裕の室内空間を確保。そのインテリアについては、ウォールナットの本木目パネルや革シート、高級高性能オーディオなどの高級車にふさわしい素材が贅沢に使われた。

「ブログレ」のコクピット
「ブログレ」のコクピット

パワートレインは、最高出力200ps/最大トルク25.5kgmを発揮する2.5L直6 DOHC、215ps/30.0kgmの3.0L直6 DOHCの2種エンジンと4速/5速ATの組み合わせ。駆動方式は、エンジン縦置きのFRおよび4WDが用意された。

プログレのインテリア
プログレのインテリア

またサスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン。ABS、TRC(トランクションコントロール)、VSC(スタビリティコントロール)、ブレーキアシストを標準装備、上級グレードには世界初のカーテンシールドサイドエアバッグが採用された。

車両価格は、標準仕様の2.5Lエンジン搭載車が310万円、3.0Lエンジン搭載車が350万円。高級車並みの静粛性や乗り心地、安全性をアピールしたブログレだったが、小さな高級車というアピールは市場には響かなかったようで厳しい販売を強いられ、2007年に生産を終了した。

その他、小さな高級車を謳ったモデル

ブレビス
2001年にデビューしたブログレの兄弟車「ブレビス」

・プログレより若い層をターゲットにした兄弟車「ブレビス」
プログレの兄弟車として、2001年にデビューしたミディアムサイズの高級セダン。インテリアには、本革巻ステアリング、高級ファブリックまたは本革シート(オプション)、杢調パネル、電動リヤサンシェードなどを装備。シートポジションやステアリング位置、ペダルの位置まで設定できるパーソナルドライビングポジションシステムなど先進技術を採用。その他、パワートレインや足回り、安全技術などは、ブログレの先進バージョンが装備された。

ベリーサ
2004年に誕生した「ベリーサ」。コンパクトカーながら高級さをアピール
ベリーサ
コンパクトカーながら上級車並みの「ベリーサ」のインテリア

・コンパクトカーで小さな高級車をアピールしたマツダ「ベリーサ」
マツダのコンパクトカー・ベリーサは、2004年6月にデビュー。「デミオ」をベースに、“シンプル・クオリティ・コンパクト”をキャッチフレーズにした、高い質感にこだわり、高級さを追求した異色のコンパクトカーである。若者向けのデミオに対して、ターゲット層を50歳代の夫婦まで引き上げ、上級セダン・アテンザ用シートやカードキー、HDDミュージックサーバー、オプション設定で本革シートを用意するなど、他のコンパクトカーとは一線を画する上質さをアピールした。
ただし、デミオに対して車両価格差が30万円ほどあったため、コンパクトカーでこの価格差をユーザーが許容できなかったためか、販売は苦戦した。

レクサスLBX
2023年にデビューしたコンパクトクロスオーバーSUV「レクサスLBX」
レクサスLBX
「レクサスLBX」の高級・豪華なコクピット

・最新の“小さな高級車”「レクサスLBX」
最近“小さな高級車”として最近話題になったのが、2023年末にレクサスからデビューしたコンパクトクロスオーバーSUV「レクサスLBX」だ。ヤリスクロスと同じプラットフォームながら、ホイールベースとトレッドを拡大、さらに車幅のワイド化によって成立させたダイナミックなスタイリングが特徴。静粛性や乗り心地、操縦安定性を確保するボディの強化、新開発のショックアブソーバーの採用。さらに、レクサスブランドならではのインテリアの高級化が図られている。
パワートレインは1.5L直3 DOHCにフロントモーターを組み合わせたハイブリッド仕様のみ。駆動方式はFFのほか、小型リアモーターで後輪を駆動する4WDも用意された。ハイブリッドならではのスムースな加速、世界に誇るレクサス基準の静粛性と乗り心地を実現させた、まさに小さな高級車である。好調な販売で滑り出し、生産が間に合っていないらしいが、日本車で成功例の少ない“小さな高級車”の今後の売れ行きに注目だ。

・・・・・・・
クルマは、ボディサイズが大きくなるほど上級・上質な高級車になるのが一般的である。これまで海外を含めて小さな高級車を目指したクルマは数多くあったが、成功した例は少ない。大きなクルマが高級車という概念を打ち砕く小さな高級車とは、いったいどういうクルマなのか、正直なところピンとこない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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