後席重視の乗り心地ながら運転も楽しめる秀逸モデル

中国やアジア地域でのショーファードリブンMPV需要に応えるべく、2020年に登場した初代LMは日本には導入されなかったが、2代目は国内向けもラインナップされ、4座仕様の〝EXECUTIVE〞に次いで、6座仕様の〝version L〞が追加設定された。この2レードの500万円という価格差の主な理由は、1列目と2列目を仕切る巨大な48インチディスプレイの有無が重きをなしているという。
エクステリア




とは言え、6座仕様の車内もかなりのものであることには違いない。頭上にはいかにもお金の掛かっていそうな大きなコンソールが配されていて、そこに14インチの後席向けディスプレイが標準装備される。これほど白いインテリアカラーが選べるのはLMならでは。「矢羽根」パネルによる独特の雰囲気やカッパー色のアクセント、後席スライドドアトリムのグラデーションを駆使したコントロールパーフォレーションによる斬新な表現なども目を惹く。
乗降性


ボディサイズはアルファード/ヴェルファイアよりも130㎜長く、40㎜ワイドで、20㎜高い。スピンドル形状を用いた複雑な3層構造のフロントグリルやボディ全体でダイナミックな抑揚を表現した風貌がさらなるプレステージ性を感じさせる。2.4ℓ直4ターボ+ハイブリッドのパワーユニットはシステム最高出力が371PSにも達しており、6速ATと四輪の駆動力を緻密に制御するAWDシステム「DIRECT4」が組み合わされている。走りはパワフルでかつ極めて滑らか&静かで、大柄な車体でも十分過ぎるほどの動力性能と、LMとして相応しい質感を兼ね備えている。
インストルメントパネル

それは足まわりにも当てはまる。トヨタ版に対して車体剛性の強化を図ったほか、電子制御ダンパーを採用したのが大きな違いとなるが、その仕上がりが素晴らしい。トヨタ版も全体としては良くできているが、高速巡行時には目立たないものの、市街地では大なり小なり突き上げを感じるところがあった。LMではそれが払拭されていて、縦揺れも横揺れも小さく、しなやかでフラットな走りを実現している。
居住性


後席重視のクルマかと思いきや、それだけでない。LMはドライバーにとっても運転して楽しいミニバンに仕上がっている。高出力モーターにより加速には瞬発力があり、エンジンはターボパワーで力強く吹け上がり、ステアリングを操作したとおり正確に応答してくれて、こういうクルマなりの〝意のまま〞の走りを実現していることにも感心させられた。
うれしい装備





新規デビュー発表 23年10月19日
月間販売台数 597台(24年6月~11月平均)
WLTCモード燃費 13.8km/ℓ ※「LM500h version L」

ラゲッジルーム


1500万円という車両価格は、ただでさえ高くなったイメージの強いトヨタ版のほぼ倍ながら、こうしたパーソナルユース向けの究極的なミニバンを待ち望んでいた人は少なくないようで、特に6座仕様の〝version L〞が追加されてからは販売台数がグンと増えて、24年11月には736台も売れたというから驚かずにいられない。


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