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AT限定バイク免許の種類とメリット?
AT限定の免許とは、クラッチを必要としないバイク、いわゆるCVTやAT(オートマチック・トランスミッション)搭載バイク向けの免許だ。種類には以下の3タイプがある。
【AT小型限定普通二輪免許】
・運転できるバイクの排気量:125cc以下(AT限定)
・取得可能な年齢:16歳
・2人乗り:可
・高速道路の走行:不可
【AT限定普通二輪免許】
・運転できるバイクの排気量:400cc以下(AT限定)
・取得可能な年齢:16歳
・2人乗り:可
・高速道路の走行:可
【AT限定大型二輪免許】
・運転できるバイクの排気量:制限なし(AT限定)
・取得可能な年齢:18歳
・2人乗り:可
・高速道路の走行:可
AT小型限定普通二輪免許とAT限定普通二輪免許は、16歳以上なら取得可能。AT限定大型二輪免許では18歳以上でないと取得できない。また、AT小型限定普通二輪免許は高速道路や自動車専用道路を走れないが、AT限定普通二輪免許やAT限定大型二輪免許であればOKだ。
2人乗りについては、一般道であればどの免許でも可能だが、高速道路に関してはAT小型限定普通二輪免許は不可。ただし、AT限定普通二輪免許やAT限定大型二輪免許についても、
「年齢が20歳以上」
「大型自動二輪車免許又は普通自動二輪車免許を受けていた期間が通算3年以上」
といった条件をクリアする必要がある。
どんなバイクを運転できる?
AT限定のバイク免許で運転できるのは、まずスクーター。例えば、AT小型限定普通二輪免許を取れば、ホンダ「リード125」やヤマハ「NMAX」など125ccクラスや、ホンダ「ディオ110」といった110ccクラスのモデルを運転できる。
また、最近はより大型のスクーターも豊富。例えば、AT限定普通二輪免許を取得すれば、スズキ「バーグマン400」などに乗れるし、AT限定大型二輪免許ならばヤマハ「TMAX560」といった大排気量モデルの運転も可能だ。
さらに、例えば、ホンダの「スーパーカブC125」や「CT125・ハンターカブ」など、変速形式に常時噛合式4段リターンを採用しているモデルも、クラッチ操作が不要なので、AT限定普通二輪免許を取れば乗ることができる。
加えて、最近は、大型モデルでも、AT限定免許に対応するモデルが出てきた。例えば、ホンダの「ゴールドウイング ツアー」「CRF1100アフリカツイン」「NT1100」「レブル1100」などだ。これらは、独自のAT機構「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」を搭載することで、クラッチ操作が不要。いずれもAT限定大型免許があれば運転可能だ。
ほかにも、カワサキが2024年1月13日に発売した電動バイク「ニンジャ e-1」「Z e-1」も、クラッチやシフト操作は不要。これらも原付二種モデルに該当するため、AT小型限定普通二輪免許で乗ることができる。
免許の取得方法は?
AT限定バイク免許を取得するには、自動車教習所に通うか、運転免許試験場などで直接受験するいわゆる「一発試験」を受けるといった2つの選択肢がある。
それぞれ、大まかな流れは以下の通りだ。
【自動車教習所に通う場合】
学科教習・技能教習
↓
卒業検定
↓
適性検査・学科試験
↓*技能試験は免除
免許証の交付
自動車教習所に通う場合は、学科教習と技能教習を、後述する所定の時間で受講したのち、卒業検定に合格すれば卒業できる。その後、運転免許試験場へ出向き、適性検査と学科試験をパスすることで免許の取得が可能となる。
一発試験に比べると、技能試験が免除されるなどで、比較的に取得しやすいのがこの方法。だが、取得に必要な日時はもちろん、費用も一発試験よりもかかる傾向だ。
【一発試験の場合】
適性検査・学科試験
↓
技能試験
↓
取得時講習・応急救護講習
↓
免許証の交付
一発試験の場合は、運転免許試験場で適性検査や学科試験、技能試験をパスした後、取得時講習や応急救護講習を受けることで交付される。なお、取得時講習や応急救護講習は、都道府県の公安委員会が委託する指定自動車教習所で実施することが一般的。技能試験に受かったのち、指定自動車教習所へ予約を取り受講すると、免許証の交付を受けることができる。
この場合の費用については後述するが、自動車教習所に通う場合と比べると、比較的に安価な印象もある。ただし、特に、技能試験の難易度はかなり高い傾向にあるようで、受験1回目で合格するケースは少ないようだ。何度も落ちると、取得の日数や費用的にもかかってしまうので注意したい。
教習所の教習時間は?
自動車教習所に通う場合、学科教習や技能教習の教習時間は免許の種類によって異なる。また、すでに免許を持っているかどうかでも違う。主な教習時間は以下の通りだ。
このように、すでにほかの運転免許を持っている方が、教習時間は短い。また、マニュアル車(MT車)と比べてクラッチ操作が不要な分、技能の教習時間が短く設定されている傾向にある。ただし、特にAT限定大型二輪免許の場合は、運転により高度な技術を要求されるため、ほかの免許と比較すると、教習にもより多くの時間を擁する傾向だ。
ちなみに、バイク免許を初めて取る場合、教習所によっては、いきなりAT限定大型二輪免許を取得することをすすめないところも多いようだ。まずは、AT小型限定普通二輪免許かAT限定普通二輪免許など、より運転が楽な免許を取りバイクに慣れる。その後、ステップアップとしてAT限定大型二輪免許などを取ることを推奨しているケースも多い。
なお、受講できる一日あたりの教習時間は、教習所や本人のスケジュールなどによって異なるため、実際に卒業できるまでの日数はさまざま。また、一般的な教習所に通う場合と、短期日程で実施するいわゆる合宿免許でも違ってくる。詳しくは、自分が通う予定の自動車教習所へ直接相談して欲しい。
運転免許試験場での費用
自動車教習所を卒業した後に学科試験を受けたり、一発試験を受ける場合に、運転免許試験場で必要な費用は以下の通りだ。
【一発試験の場合】
・受験料:2600円
・試験車使用料:1450円
・免許証交付料:2050円
*合計6100円
合格後は別に取得時講習と応急救護講習の受講料が必要となる。費用は以下の通りだ。
・大型自動二輪免許(AT限定含む):1万6650円
・普通自動二輪免許(小型限定やAT限定含む):1万6200円
【教習所を卒業し学科試験を受ける場合】
・受験料1750円
・免許証交付料2050円
*合計3800円
自動車教習所に通う場合の教習費用については、自分が通う教習所などによって違うため、一概にいえない。参考までに、ある教習所の例を挙げると、ほかの免許なしか原付免許のみの場合で、AT小型限定普通二輪免許が15万円程度で、AT限定普通二輪免許が18万円程度、AT限定大型二輪免許が29万円程度。排気量がより大きなバイクに乗れる免許になるほど、教習料金も高い傾向だ。
受験資格で注意すべき点
バイク免許を取得できる年齢は、前述の通り、基本的には16歳以上だが、AT限定大型二輪免許は18歳以上なので注意したい(大型二輪免許も同じ)。
また、一発試験、自動車教習所を卒業後の学科試験などについては、自分が居住する都道府県にある運転免許試験場に行かないと受け付けてもらえない。
さらに、視力に関しては以下のような規定がある。
・視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること
・一眼の視力が0.3に満たない人、もしくは一眼が見えない人は、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること
なお、視力検査については、メガネやコンタクトレンズを使用してもOKだ。ほかにも、適正検査では、色彩識別検査、運動能力検査、聴力検査などが実施されることが多い。
快適に走れるオートマバイクは魅力がいっぱい
AT限定免許で運転できるバイクは、前述の通り、最近はかなり種類が豊富になった。また、125ccを超えるバイクであれば高速道路を走れるから、遠方へのツーリングも楽しむことが可能。しかも、クラッチ操作を必要としないため、長距離走行や渋滞路でも疲れにくいといったメリットがある。
これから本格的にバイクを楽しんでみたい若い世代はもちろん、バイク旅を快適に楽しみたいライダーにもってこいなのがオートマのバイク。しかも、AT限定免許は、これも先述のように、MT車向けの免許より比較的に簡単に取れるので、興味がある人はぜひチャレンジしてみて欲しい。
なお、ここで紹介した内容は、あくまで一般的な例だ。地域や場所によっては内容が異なる場合があるので、具体的な不明点や気づいた点などは、自動車教習所や運転免許試験場などに直接確認して欲しい。