モーターがクラッチを制御!「ホンダ E-Clutch」|バイクのメカニズム

2024年4月25日、ホンダ・CB650R/CBR650Rの外観が一新されて新発売。さらに「Honda E-Clutch」(ホンダ イークラッチ)搭載仕様が新設定され6月13日に発売される。新企画「簡単メカニズム解説」では世界初搭載となるその仕組みを紐解きます。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
取材協力●本田技研国業株式会社 / 株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

全て自動制御される電動クラッチ

バイクは左手のレバーを握ることでクラッチの断続や半クラッチ操作を行うのが一般的。始動したエンジンはアイドリング以上の回転を続ける一方で後輪は停止することがある。そのため駆動系の何処かにクラッチ(断続機)が必要であることはご存知の通り。   
ホンダのE-Clutchは文字通り電動クラッチのこと。通常左手でレバーを握る操作をモーターが担うことで、ライダーはクラッチレバー操作から開放される。単純に言うとモーターの回転動力がギヤを介してエンジン側のクラッチレバーを駆動する。
MCU(モーター・コントロール・ユニット) はFI-ECU(バイクの挙動情報が集中する燃料噴射電子制御装置)と通信連携され、バイクの走行状態に応じてクラッチは完全自動制御されるのが素晴らしい。さらに優秀なのは、エンジン側クラッチレバー軸に3分割構造が採用され、いつでもライダーの手動クラッチ操作を可能としている点にある。
同ユニットはクランクケースカバー部に取り付けられ、追加デバイス的な巧みな構造。併売される標準車(手動クラッチ)と本体価格で50,000円差に過ぎない低コストに仕上げられた点も素晴らしい。

システム概要
手動操作
モーター制御
モーター制御→手動操作オーバーライド

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…