目次
ベネリ・レオンチーノ125……453,200円
250と共通のボディがポジションに自由度をもたらし快適なツーリングを提供する
レオンチーノに限ったことじゃないけれど、最近のスクランブラーはスタイリングや装備を見ただけではネイキッドモデルと判別がつきません。昔もオンロードモデルをベースにしていたけれど、バー付きのアップハンドルやアップマフラー、ブロックタイヤなどに換装して、もっとオフロードバイクらしさを醸し出していたものです。そういう意味ではレオンチーノ125をスクランブラーとしていてもおかしくありません。まあ個人的には、タイヤくらいブロックパターンを履いていてもいいかな、とは思いますけど。
タンクからシートエンドにかけてインテグレートされたような流麗なボディスタイリングは、いかにもヨーロピアンデザインといった印象を受けました。1980年代の日本製スポーツバイクの多くも、ヨーロピアンスタイルを取り入れていたことを思い出します。レオンチーノ125のスタイリングにはそうした往時の雰囲気が感じられますが、エンジンを中心に凝縮感を持たせているところに現代的なエッセンスを感じます。いずれにしても、個性的なフォルムなので街で目立つこと請け合いです。
125㏄の原付2種バイクとしては大柄なボディです。調べてみると、同じレオンチーノの250とほとんど変わらないサイズでした。まあ大柄だといってもシンプルなデザインなので威圧されるようなことはありません。また145㎏の車重はこのクラスとしては重たいほうですが、取り回し性は悪くありません。
シート高は795㎜。加えてボディが大柄ということで乗降性はどうかな?と思ったのですが、ボディがスリムなので乗降性は悪くなかったし、足つき性にも問題ありません。望むならばサスペンションの初期作動がよりソフトなら、さらに足つきが良くなるはずです。
やや後退した位置にあるステップ、フラット気味のハンドルなどから、ポジション全体はスクランブラーというよりネイキッドスポーツといった感じです。しかし窮屈なところはまったくなく、上体もアップライトでシートの自由度もあるので、街乗りからツーリングまで疲労の少ない適切な乗車姿勢を実現してくれます。
フラットなエンジン特性で低回転から高回転までフルに使える
キーをオンにすると、スクエア形状の大型ディスプレイが明るく点灯します。フルデジタルのこのメーターは非常に見やすく、情報量も豊富です。セル一発で目覚めたエンジンは、水冷SOHC4バルブ単気筒で3プラグという珍しい方式を採用している。最高出力は9.4kw(12.8PS)/9500rpm、最大トルク10.0Nm/8500rpmというスペックとなっている。同クラスの日本製ロードモデルに比べてやや下回る数値ですが、果たしてそれが実走にどう影響するのか気になるところではあります。
スタートすると低速域でとくにトルクが強い印象はありませんが、回転がスムーズに上昇していってくれるのでテンポよくシフトアップしていくと、不足のない加速を見せてくれます。また回転の伸びもよく、引っ張れば10000回転まで回るので、高回転を駆使して走らせるとけっこう楽しくなります。実際のスピードは大したことがなくても、その範囲内で十分にスポーツライディングが満喫できると感じました。
狭い山道が多い日本のワインディングでは、思い切りアクセルを開けて走る喜びが味わえるはずです。
ひとクラス上の安定感を実現した走行性
車格の大きさはそのまま走行安定性の高さになっています。直進安定性、コーナリング安定性ともに高くしっかりしている印象です。骨格にはスチール製トレリスフレームが採用されているのですが、それはおそらく250と共通なので、とにかく剛性が高いのです。加えて、スポーツ走行を意識したのか、倒立フロントフォーク、モノショック式リアサスとも硬めに設定してあり、結果的にカチッとした乗り味になっているのが特徴です。
ハンドリング自体は、小型バイクならではの軽快性があり、ニュートラルな特性でもあるので扱いにくさはありません。前後ディスクブレーキのコントロール性や制動力に関しても大きな不満はありませんし、タイヤのグリップ性についても問題ありません。ただしスクランブラーカテゴリーとしてみた場合、ダート路をガンガン攻めるのはちょっと考えもの。もしもダート林道をツーリングするようなオフロード走行をメインステージにするなら、最低限タイヤはオフタイプに換装したほうがいいと思います。今回は少しだけフラットダートを走行してみましたが、普通に走るのならまったく問題ない走破性を発揮してくれました。
レオンチーノ125をスクランブラーではなくネイキッドのロードスターと位置付けた場合、日本製バイクでは、ホンダCB125R、ヤマハMT-125、スズキGSX-S125あたりがライバルモデルになると思います。スペック的には日本製バイクにやや劣りますが、現実には大同小異ですし、価格面でもほぼ同じ。そういう点からも十分に選択肢となるバイクだと思いました。
ディテール解説
主要諸元
車名(型式):LEONCINO 125(U46) 全長×全幅×全高:2030mm×840mm×1115mm 軸間距離:1370mm 最低地上高:185mm シート高:795mm 車両整備重量:145kg エンジン種類:水冷4ストローク単気筒 弁方式:SOHC4バルブ 総排気量:125cc 内径×行程/圧縮比:Φ54.0×54.5/11.6:1 最高出力:9.4kw(12.8PS)/9500rpm 最大トルク:10.0Nm/8500rpm 最高速度:99km/h 始動方式:セルフスターター 点火方式:トランジスタ(TLI) 潤滑方式:圧送飛沫併用型 燃料供給方式:フューエルインジェクション トランスミッション形式:常時噛合6速リターン クラッチ形式:湿式多板 2次減速方式:チェーン式 フレーム形式:トレリス(格子)フレーム 懸架方式(前):倒立テレスコピック 懸架方式(後):スイングアーム ホイールトラベル(前):125mm ホイールトラベル(後):60mm タイヤサイズ(前):100/80-17 タイヤサイズ(後):130/70-17 ブレーキ形式/径(前):油圧デイスク/280mmCBS ブレーキ形式/径(後):油圧デイスク/220mmCBS 燃料タンク容量:12.5L 使用燃料:無鉛プレミアムガソリン指定(指定オクタン価95) 燃費(WMTCモード):45.5km/L 乗車定員:2名 製造国:中国