只今のトリップ計387.9km|ヤマハ XSR125はガソリン満タンでどこまでイケる? 東京・日本橋から京都をめざす東海道ガス欠チャレンジ第7弾![3日目]

ヤマハ XSR125を駆って、東京・日本橋から京都をめざし、満タンきっちり使い切りの東海道ワンウェイ・アタックを敢行。大漁旗ひるがえる浜名湖を横目に遠州&三河を渡る!

REPORT●AFO RIDER タカハシ(AFO RIDER Takahashi)
PHOTO●高橋克也(KATSUYA Takahashi)
ILLUSTRATION●高橋克也(KATSUYA Takahashi)

越すに越されなかった大井川

AFORIDER ヤマハ XSR125 東海道 ガス欠 高橋克也
大井川にかかる全長897.4mの木造歩道橋、蓬莱橋。

藤枝の宿を出れば、大井川は目と鼻の先だ。箱根馬子唄に「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」とうたわれているとおり、かつては橋を架けることも渡し船を出すことも許されず、庶民は川越人足(かわごしにんそく)の肩車とかで渡るしかなかった東海道の最難所だ。
この制度は明治時代に取りやめになり、蓬莱橋が架けられてからは歩いて渡れるようになった。今では橋の実用性は失われ、もっぱら観光用として使われている。

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蓬莱橋は1879年(明治12年)に架橋された。世界一長い木造歩道橋としてギネス認定されている。
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通行料は人と自転車が100円。むかつくカップルとかですら無作法にガンガン渡ってるのに、なぜかバイクは渡っちゃいけないという不平等ルールが適用されている。

ついでに川堤の道を走って川会所に立ち寄った。大井川橋東岸から川下へのびる葉桜の道は、かつて島田大堤とよばれた大きな堤防の一部だ。
川会所をちらっと見物し、西をめざしてまた走り出した。ここからの東海道は、御前崎を迂回して内陸を突っ切り、浜名湖へ向かっている。

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花見だ月見だと、季節の風情なんぞ楽しむ趣味人じゃないが、これもせっかくの桜の残りカスだ。島田大堤でちょっと立ち止まって葉桜見物。
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大井川の川越し料金の徴収などを担っていた川会所。1856年(安政3年)に建てられた建物が今も保存されている。
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川会所には、川庄屋(トップの役人)と年行事(その補佐役)の、どことなく冷酷っぽい人形が鎮座していた。ふたりの顔を見比べると、何かしらの血縁を感じるのはタカハシだけじゃないだろう。

大井川を越えて金谷宿を過ぎ、掛川からバイパスに乗る。ここからは効率最優先でひたすらガンガン走る。袋井をこえ、天竜川を渡ればそこが浜松。浜名湖も目前だ。

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金谷宿と日坂宿を結ぶ小夜の中山トンネル。静岡県道381号こと旧国道1号は、このあたりから現役の国道1号になる。江戸時代には難所だった峠も、令和の今では大小さまざまなコーナーが楽しめる快適なワインディングだ。

海の男と陸のバイク

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天竜川を渡った直後、フューエルメーターが残り1目盛りに。トリップは311.3km。

浜名湖の西側までくると、125ccはバイパスを走れなくなる。旧東海道に降り、浜名湖につきあたったところで、ふらりと舞阪漁港に立ち寄った。規模は小さいが、シラス漁で全国にその名をとどろかせる名港だ。

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港の漁船群には、色鮮やかな大漁旗が誇らしげにひるがえっていた。
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舞阪漁港からは、浜名湖と遠州灘をつなぐ今切口(いまぎれぐち)を渡る国道1号 浜名バイパスが見晴らせる。

港をウロウロしていたら、タカハシが何らかの悪事を働こうとする不審者ないし変質者だと感じたらしく(それも無理はないが)、バイクでやってきた男性に声をかけられた。聞けば、ずらりと停泊しているシラス漁船のうち「吉丸」の船長だとのこと。

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船長の陸の愛機、パールカデットグレーのDAX125。カスタムされたシートがよく似合う。

船長は、ホンダ ダックス125を1年待ちで買い、少年時代以来のバイクライフを再び楽しみはじめたばかりだそうだ。写真をおねだりしてみたが、いかにも海の男らしく豪気に笑いながらも、軽薄なWebメディアなんぞに出るには困惑もあったのだろう、「おれの写真は勘弁で」とあっさり断られた。残念だがバイクの写真だけを掲載しておく。

AFORIDER ヤマハ XSR125 東海道 ガス欠 高橋克也 イラスト
「バイク談義に花をさかせる海の男と、あやしいアコガレの目で見つめるタカハシ」の図

浜名湖からは海岸沿いにしばらく西へ、潮見坂から内陸に食い込む形で進路を北向きにかえ、岡崎へ向かう。ずいぶん前からピコピコ点滅したかと思うと、また目盛りを戻したりとフラフラしていたフューエルメーターが落ち着いてきたのは豊川市内のこと。トリップ355.1km地点をもって、ピコピコ状況確定と判断した。

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東海道中では、東京、横浜に次ぐ巨大都市、名古屋まで83km。
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夕暮れ迫る愛知県豊橋市街。家路をたどるクルマの波に巻き込まれてノロノロ進む。
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豊川市内、トリップ355.1kmでフューエルメーターのラストワン点滅を記録。すぐそばの距離標の表示は294.6kmとなっていた。
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松並木で名高い御油(ごゆ)宿、松の枝の間に落日を見送る。
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岡崎市にさしかかる国道1号。まもなく夜がやってくる。

岡崎駅近くの宿につき、バイクをパーキングに押し込む。すでにフューエルメーターのピコピコが始まっているが、こいつがあとどれだけ走るかは、まだ全然わからない。荷物を部屋にほうりこむと、コンビニ飯を飲み込んですぐに眠った。

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トリップ387.9km、本日の走行139.1km、フューエルメーターはピコピコ点滅を続けている。
AFORIDER ヤマハ XSR125 東海道 ガス欠 高橋克也 イラストマップ
【MAP】東海道ガス欠チャレンジ#7 ヤマハXSR125 [日本橋~岡崎]

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AFO RIDER タカハシ

イラストレーター、カメラマン、ライター、ムービークリエイターなど、世間をあざむく幾つもの顔をもつが…