ヤマハX FORCEの実力やいかに? サーキットと公道を走ったインプレッション! 【動画・モトチャンプTV】

150ccクラスの軽二輪スクーターとして人気だったマジェスティSの後継モデル的な立ち位置で発売されたヤマハX FORCE。フラットフロアを採用して昔ながらのスクーターファンから支持されているモデルを、改めて検討してみよう。
ヤマハX FORCEのフロントスタイル。

150ccクラスの軽二輪スクーターとして2015年に発売されたヤマハ・マジェスティS。小さめの車体と高速走行も可能な水冷155ccエンジンを採用したことで、150ccクラスの人気を確立したモデルでもある。年々熟成を重ねてきたマジェスティSだが、モデルチェンジすることなく2020年に生産を終了。それから2年が経った2022年に新規車種としてX FORCEが発売されている。コンセプトはマジェスティSと非常に良く似たもので、実質的な後継モデルと呼べるだろう。

特徴的なリヤスタイル。

X FORCEのコンセプトは「Master of Street Scooter」で通勤・通学などを快適かつ便利にしてくれる、見て乗って楽しいスクーター。今回も例によって動画を無料配信しているユーチューブチャンネル「モトチャンプTV」にアップされている「【試乗 ヤマハ・X FORCE】フラットフロアって、やっぱり正義かも!?」という回をダイジェストにまとめている。動画では恒例となった編集長チャボとジャーナリストのケニー佐川が掛け合いながら解説をしているので、合わせて試聴いただきたい。

ヤマハX FORCEってどんなマシン?

鋭いデザインのフロントマスクが印象的。

まずスタイリングは非常に精悍。フロントまわりに厚みを持たせたデザインは見ているだけでスポーティな走りを連想させてくれる。またリヤスタイルはコンパクトにまとめられ、エンジンやマフラーの存在感を引き出している。

ハンドルバーは広めのタイプを採用している。

自由度の高い幅広タイプのバーハンドルを採用したことも特徴。モタードのようなポジションでもあり、舗装路だけでなくオフロードでも扱いやすそうな印象だ。幅広タイプのハンドルは抑えの効くポジションが得られるため、日常的な取り回しの良さにも貢献している。

NMAXと同じ155ccのBLUE COREエンジンを採用。

エンジンはNMAXと共通の水冷155cc単気筒BLUE CORE。始動モーターのないSMG(スマートモータージェネレーター)により静粛なエンジンスタートを可能としている。さらにVVA(可変バルブ機構)を取り入れ回転数に応じして最適な吸気を可能としている。これによりパワフルさと低燃費性能を両立させている。またトラクションコントロールシステムを採用しているため、滑りやすい路面で後輪がスリップすることを抑制してくれる。

前後に13インチホイールとディスクブレーキを採用。

全長1895mmとコンパクトな車体で1340mmとショートホイールベースであることから、軽快なハンドリングを生み出している。前後には新設計の軽量な13インチホイールを採用したことも優れた操縦安定性を実現している。またフロントにφ267mmの大径ウェーブディスクを、リヤにφ230mmディスクとして安心感のある制動性能が得られるディスクブレーキを採用。もちろん前後独立式のABSを装備しているため、ホイールロックを抑制してくれる。

スマホと連動すればメーターの情報を表示できる。

単色のデジタルメーターを採用しているが、もちろんX FORCEにもY-Connectと呼ばれる専用アプリによりスマホと連動させることができる。スマホと連動させることでメーター表示機能はもちろん、スロットル開度やエンジン回転数、加速度、エコ運転状況などのほかメンテナンスタイミングといった車両情報を表示してくれる。

X FORCEならではの特徴

このクラスでは珍しくなったフラットフロア。

150ccクラスのスクーターとしては珍しくなってしまったが、X FORCEはフラットなフロアを採用している。フレーム剛性という意味では不利になるものの、利便性や自由度の高いポジションなどスクーターらしさを追求しているのだ。この点をチャボは大絶賛。コンビニフックが使えるなどケニー佐川も実用性の高さを評価している。

シートもフラットな形状となっている。

先代に当たるマジェスティSはシートにストッパーが設けられ、腰をホールドしてくれる安心感はあるもののポジションの自由度は狭かった。ところがX FORCEにはフラットな形状のシートが採用されている。ライディングポジションの自由度が高まり、状況に応じた乗り方ができるようになった。ケニー佐川によれば現代的な設計であり新型のバイクではフラットなシートが増えているというから、まさに時代に応じた変更と言えるだろう。

シート下スペースとは別に2つのヘルメットホルダーも装備している。

シート下スペースは23.2L容量を確保しているので、スクーターらしい実用性と言えそうだ。またフルフェイスだと大きさを選ぶが、大きめのジェットヘルメットなら余裕で収納できる。さらに前方左右に2つのヘルメットホルダーが装備されているので、タンデム時の休憩などでヘルメットを2つ固定しつつ、シート下には手荷物を置いておくこともできる。

ケニー佐川の試乗インプレッション

一般道を走っただけでマシンの軽さと原付2種では味わえない加速力を楽しめる。

今回もケニー佐川が試乗してインプレッションを語ってくれている。まず走り出しでエンジンスタートが静かなことに言及。そのまま加速していくと、車体の軽さが第一印象として得られる。そのため加速力の鋭さが伝わってきて、初見は非常にスポーティな印象。スロットルを開けると弾けるように加速してくれ、原付2種とは明らかに異なる世界。さらに軽さを武器に軽快なハンドリングが得られることも印象的なのだ。

ケニー佐川がサーキットを激走!

ブレーキングを強めにかけてABSの作動性も試している。リヤはゆったり目の効き具合で、フロントは最後の最後に介入してくる。コントロール性に優れ、なおかつ安心してブレーキングできる性能と言えそうだ。またサーキットを走ると想像以上にスポーティ。車体が軽いのでコーナーの出口でスロットルをワイドオープンにすると弾けるように加速してくれる。また低床のフラットフロアなのでフレーム剛性が心配になるところだが、あえてコーナー入り口でマシンを振って進入しても剛性不足を感じることはなかった。それ以上に軽さによるスポーティなハンドリングを楽しめることが印象に残る。

未舗装路でトラクションコントロールの効きを検証。

ワイドなバーハンドルを採用しているのでポジションも独特。シートがフラットなのでライポジに自由度があるため、大柄なケニー佐川でも自在に操ることができた。先代にあたるマジェスティSだとフロント荷重が大きく感じられたが、X FORCEはより現代的な走りが楽しめる。さらにダートを走ってトラクションコントロールを効かせるような走りもしている。やはりコーナーでズルッと滑りそうになっても、しっかり制御してくれた。オフ車ではないので本格的なオフロード走行は難しいが、滑りやすい路面でも安心できることだろう。

40万円を切る価格設定が嬉しい!

最後に気になる新車価格は39万6000円(税込)。ちなみにライバルたちと比較しても非常に買いやすい設定と言える。確かにアイドリングストップ機構などはないものの、スタンダードなスクーターとしての使い方やスポーティな走りなどはライバルに負けていない。スタイリッシュでライトな車体、さらに安価に買える魅力あふれる新型車なのだ。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…