帰省ラッシュ時の苦痛を回避せよ!高速道路走行の渋滞に関する常識・非常識

ゴールデンウィーク、お盆休み、正月休みなど、大型連休のお約束といえば、帰省ラッシュによる高速道路の大渋滞。全国各地の主要道路では、渋滞20kmなんてのも当たり前。ここでは渋滞が起こる原因とは? 渋滞時には走行車線と追い越し車線、どちらを走ればいい? 高速道路の「路側帯」と一般道の「路肩」の違いなど、“高速道路走行の渋滞に関する常識と非常識”をリサーチしてみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
参考サイト:NEXCO西日本 https://www.w-nexco.co.jp/

高速道路における渋滞の種類は3つ

高速道路での「渋滞」とは、時速40km/h以下での低速走行。または停止と発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態を指す。なお、渋滞の中でも車両の進行が著しく悪く、ほぼ停止している状態を「停滞」という。高速道路における主な渋滞の種類は、

A:工事規制により発生する「工事渋滞」
B:交通事故で発生する「事故渋滞」
C:交通が集中することで発生する「交通集中渋滞」

西日本の高速道路を管轄するNEXCO西日本によれば、「C:交通集中渋滞」は、全国における全渋滞の約64%を占めている。「C:交通集中渋滞」の主な原因は下記の4つ。

1:上り坂と下り坂(サグ部)→交通集中渋滞の約58%

高速道路において、下り坂から上り坂にさしかかる個所を「サグ」と呼ぶ。この個所では速度の上昇を防ぐため、ブレーキを踏む運転者が多い。これにより後続車との車間距離が次々に縮まり、渋滞が発生。

2:トンネルの入り口部とトンネル内→交通集中渋滞の約20%

トンネル入り口部の暗がりやトンネル内の壁が、運転者に圧迫感や緊張感を与える。これによりトンネル外よりも速度が低下。後続車との車間距離が徐々に縮まり、渋滞が起こる。

3:合流部→交通集中渋滞の約14%

インターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリアからの車両の合流に伴い、走行車線を走行する車両が速度を低下。後続車も次々にブレーキを踏むことで渋滞が発生する。

4:料金所→交通集中渋滞の約1%

イラスト作者:ニッキー

料金所での一旦停止に伴い、渋滞が起こる。ただし昨今では、バイクもクルマもETCの普及により、料金所が原因となる交通集中渋滞は約1%まで低下した。

渋滞時は「走行車線」と「追い越し車線」、どちらを走るのがいい?

『追い越し車線』は前の車両を追い越す時に利用する車線で、一般的に「通常の車線よりも早く進める」というイメージが強いのが特徴。

この心理的状況により、渋滞時も多くの車両が、『走行車線』から『追い越し車線』に移動しがち。結果的に『追い越し車線』は、『走行車線』よりも車の流れが悪くなる傾向がある。

ただし左側からの合流(インターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリアからの車両が合流する地点)が多いエリアの場合、当然ながら右側の車線を走ったほうがスムーズ。

渋滞路の走行時は、カーナビなどで合流地点の有無などを確認しながら車線を選ぶのがベター。

高速道路の「路側帯」は走行NG!「路側帯」と「路肩」との違い

左)高速道路の路側帯  右)一般道の路肩

道路の一番左側にある白線の外側は、「歩道があるか・ないか」によって呼び名が異なるのが特徴。

「歩道が別途設けられた道路の、白線の外側」は、路肩と呼ばれ、道交法ではバイクの走行が禁止されていない(四輪車は不可)。ただし、「左側追越し禁止」の原則に違反する可能性もあるので、取り締まる警察官によっては、取り締まりの対象となる場合もある。

一方、「歩道のない白線の外側」は路側帯と呼ばれ、歩行者優先のため、バイク(原付を含む)の通行が禁止されている(自転車の走行は可能)。

高速道路にある路側帯は、緊急事態に対応するためのエリアであるため、四輪車はもちろん、バイクも走行禁止。

渋滞中の高速道路で、バイクが時々、路側帯を走行しているのを見かけるが…これは交通違反の対象となるだけでなく、タイヤのパンク(釘や異物を踏んでしまうため)、また故障車との接触や衝突等、トラブルや重大事故を招く危険があるため、絶対に避けるべし。

>>車両制限令第九条(路肩通行の制限)
歩道、自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は、その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあっては、路端から車道寄りの0.5m(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、0.25m)の幅の道路の部分)にはみ出してはならない。

■反則行為:通行区分違反
■罰則:3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
■反則金:二輪7000円/原付6000円
■点数:2点

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