「PAS babby」|ヤマハの新型電動アシスト自転車はパパ・ママどっちも乗りやすい!|PAS Kiss・PAS ULU

ヤマハ発動機(ヤマハ)は、電動アシスト自転車「PAS(パス)」のラインアップを一新する。2024年11月18日に3機種を一斉に発表した。

夫婦共用を視野に入れた子育てモデル

まずは、幼児2人の同乗基準に合致した3人乗りモデル「PAS babby(バビー)」と「PAS kiss(キッス)」をフルモデルチェンジし、2025年1月30日に発売する。価格は「バビー」が税込18万4000円で、「キッス」が税込18万7000円。「バビー」は、チャイルドシートが後方、「キッス」は前方にあるのが特徴だ。

20インチのホイールを装備した小径タイヤモデルで、車体フレームを一新した。従来に比べて車体を低重心化し、ドライブユニット周りのレイアウトを変更するとともに、跨がりやすさも改善した。これにより走行中はもちろん、押し歩き時の安定性も向上した。フロントチャイルドシートやハンドルとのスペースに余裕を持たせたことで、高身長のユーザーも漕ぎやすくなっているという。サドル形状も見直し、日本人の体型の97.5%をカバーできるとのこと。

ちなみに今回の車体の改良では、夫婦間の共用も視野に入れたという。成人男性と女性では体格に差があり、自転車の共用は難しい。しかし新型では、小柄な女性の扱いやすさはそのまま、男性でもゆったり座れて余裕のあるポジショニングを実現したという。

バス減便でもこれで安心! 学生向けモデル登場

さらにヤマハは、「パス」の新規モデルとして「PAS ULU(ウル)」を発表した。2025年3月21日の発売で、価格は税込15万5000円となる。

「ウル」は学生の通学向けに開発したモデルとなる。毎日の使用を想定し長距離での実用性も加味しながら、高校生が気兼ねなく使用できるようファッショナブルなデザインも採用した。

学生の日常使用を想定したことから、フレームはタフな印象も与える骨太タイプを採用し、部活動の大きな荷物にも対応できるよう耐荷重5kgのワイヤーバスケット&幅広リヤキャリア、大型の放熱フィン付きのリヤローラーブレーキも装備している。

また、ファッション性の高いカラーリングも採用。カジュアルな印象の「マットカーキグリーン」、さりげないアクセントを加えた「マットダスティダークブルー」、エレガントな印象の「マットエクリュ」、どんな服装にも合わせやすい「マットブラック2」の4色を設定した。

なぜ今回通学用のグレードを新設したかは、近年の交通需要の変化が背景にあるという。現在はバスなどの交通機関の減便が相次いでおり社会問題になっている。交通機関のダイヤ改正や減便・廃止は学生の足にもろに影響を与えてしまう。その影響を抑えるのが自転車の役割で、電動アシスト機能があればより通学がしやすくなるのだ。

出荷台数は10年前の2倍に

「パス」は、1993年から販売されている電動アシスト自転車専門のブランドだ。ヤマハによれば、10年前の2014年には44.6万台だった出荷台数が、2023年には74.2万台となり、成長が続いているという。

当初はシニア層をターゲットに据えていたが、近年では若年層のユーザーも増えているとのこと。特に“育メン”といわれる子育て層の登場も、パスの出荷台数の増加に寄与している。

今回のモデルチェンジおよび新機種の導入は、そういった層への訴求も含んでいる。10年前よりも市場規模が2倍に迫り、ヤマハはまだまだ伸びしろがあると考えている。

30年の歴史を重ねてきているパスだが、今後は電動アシスト自転車市場もろとも注目が上がる可能性はやはりある。その要因は、電動キックボードをはじめとした特定原付・小型電動モビリティの台頭だ。

特定原付に信頼性はあるか

特定原付は免許が必要なくヘルメットの着用義務もないため手軽に乗れるものではあるが、立派な原付であるためナンバーの交付や自賠責保険への加入が必要になる。その点、電動アシスト自転車は自転車であるため、ナンバーが必要なく自賠責への加入義務もない。

そしてなにより30年の信頼と実績がある。特定原付の解禁により、新興のメーカーが加速度的に増加しているが、その全てのメーカーが信頼性を確保しているかというと疑問が残る。消耗品の交換や故障対応の問題も残るし、なによりも走行中に機械的な問題が発生して自分や他人を傷つけてしまえば、取り返しの付かない事態になる。ペダルを漕がずに済むという便利性と裏腹に、実は途方もないリスクを抱えているのが特定原付界隈といえるだろう。

電動アシスト自転車は自分で漕がなければ進まないという枷があるが、その分安全だということができる。現在はどうしても便利な特定原付に目がいきがちだが、安全性・信頼性の観点から見れば、パスの領域にはまだまだ追いつけていないといえるだろう。

インプレッション

「ほぼすべての日本人のお尻の形に合うように作られたという新型のシートは、肉厚でもっちりとした感覚。お尻が痛くなりづらかった。また、シート高の調整は従来のクルクルタイプではなくクイックレバー式。フレーム側のスリットを長めに設定したことで、非力な人でも簡単にレバー操作できた(編集部山田)」

キーワードで検索する

著者プロフィール

磐城蟻光 近影

磐城蟻光