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ホンダ・モンキー125……440,000円
5速化したニューエンジンが走りの楽しさを高めて、レジャーバイクとして行動範囲をさらに広げた
かつての50㏄モンキーはとにかく愛らしくていまもなお不動の人気車です。一方125は排気量に見合った大柄なボディが与えられたこともあって、デザインはモンキーでも愛らしさは希薄になってしまいました。でも走るという観点で見てみると、50㏄モンキーの場合は、車に積んでいって目的地付近の限られた範囲を行動するのに高い機動性を発揮するのが特徴でした。125はというと、自宅から自走でツーリングしたりキャンプや釣りなどのレジャーを楽しめる要素が強くなったのが特徴です。同じモンキーの名前でも用途は異なったものになったわけです。
ボクも何度となくモンキー125でツーリングしてきましたけれど、片道200㎞なんていう長距離移動もラクラクできてしまいました。峠道だって予想外に元気でスポーティに走れてしまい、若さを取り戻したような気になったものです。しかも60㎞/L以上の低燃費を実現してくれたので、ガソリン残量を気にせず走れたのもありがたかったです。以前、群馬の最奥部へツーリングしたときにはなんと70㎞/Lも走ってくれました。荷物の積載性に不満はあるものの、ツーリングバイクとしての適性が高いことは実感しています。
前置きが長くなってしまいましたが、そのモンキー125が発売から3年を経てモデルチェンジされました。同型のエンジンを積むグロム、スーパーカブC125も同様にモデルチェンジされたのですが、もっとも大きな変更は、そのエンジンが新しくなったことです。
新型エンジンはPGM-FIの空冷SOHC2バルブ単気筒で、ボア×ストロークが50.0×63.1㎜、圧縮比は10.0となっています。従来型ではそれぞれ52.4×57.9㎜、9.3でしたから、ロングストロークの高圧縮エンジンになったということになります。排気量は124㏄から123㏄へと少なくなりましたが、最高出力、最大トルクともに変化はありません。ただし最高出力は250rpm低い6750rpmで発生し、最大トルクは逆に250rpm高い5500rpmで発生する特性になっています。いずれにしても低中速型であることに変わりはありません。そしてもうひとつ大きな変化があります。それはマニュアル5速ミッションを採用したことです。50㏄時代を含めて5速ミッションとなったのは初です。さらにフロントブレーキのABSは標準装備となりました。
モンキーらしさをボディデザインに具現化した車体は、ずんぐりとしていてこれはこれで愛らしいとボクは思います。ひと回り大柄になったことで決して足つきが良いとはいえなくなってしまったけれど、ポジションにはゆとりが生まれ、「ちょっと遠出してみようかな」という気にさせてくれるのも好印象です。50㏄モンキーでは遠出しようとは思わなかったですから。
肉厚で大きなシートは座り心地が良くてとにかく快適。ソフトな作動性を見せる前後サスペンションと合わせて、実に乗り心地がいいのです。しかもただフワフワしてるのではなく、たとえば峠道をちょっとばかり攻めてみると、しっかりとダンパーが効いてタイヤを路面に押し付けてくれます。12インチと小径ながら極太タイヤのグリップ性はけっこう高いと感じました。またこのタイヤはブロックパターンなので、ダート道での走破性もまずまずです。ツーリングではよく道路工事などで未舗装となっている箇所を走らなくちゃいけない場面に遭遇しますが、そんな場面でも不安を抱くことなく涼しい顔で走り抜けることができます。
小径タイヤにショートホイールベースの組み合わせはとにかく小回りが利きます。多くのライダーが苦手なUターンもラクラクできてしまいますし、狭いスペースでの向き変えも楽勝です。車重も104㎏なので取り回し性は抜群です。反面、直進安定性はどうなんだろう?という懸念もあります。しかし、重量車のような直進性はさすがに持ち合わせていませんけど、変にフラついたりするなんていうことはありません。おそらく低重心も利いているのだと思います。
さて注目のエンジンですが、極低速から不足のないトルクを発生して確実に加速していくエンジン特性を受け継いでいます。従来型と並べて競争してみないと正確なことはいえませんが、5速ミッションの採用もあってよりスピーディな加速ができるんじゃないかなと感じました。ツーリング派のボクは4速のままのほうがイージーに走れて好きなのですが、今回、市街地から一般道、ワインディングと走ってみて、5速でも操作の煩わしさは感じませんでした。むしろワインディングではより適切なギヤが選択できてストレスのない走りができました。トータルで考えると、いい方向に進化していると思いました。
個性派のレジャーバイクであるモンキー125は、スポーツライクな走りも楽しめてさらに、快適なツーリングもできるコンパクトバイクとしてもっと注目されていいと感じました。カスタムパーツも豊富にありますから、自分のスタイルに合ったモンキー125に仕上げていくのも楽しいですね。
主要諸元
車名・型式 ホンダ・8BJ-JB03 全長(mm) 1,710 全幅(mm) 755 全高(mm) 1,030 軸距(mm) 1,145 最低地上高(mm)★ 175 シート高(mm)★ 776 車両重量(kg) 104 乗車定員(人) 1 燃料消費率*1(km/L) 国土交通省届出値: 定地燃費値*2(km/h) 70.5(60)〈1名乗車時〉 WMTCモード値★(クラス)*3 70.0(クラス 1)〈1名乗車時〉 最小回転半径(m) 1.9 エンジン型式 JB03E エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒 総排気量(cm³) 123 内径×行程(mm) 50.0 × 63.1 圧縮比★ 10.0 最高出力(kW[PS]/rpm) 6.9[9.4]/6,750 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 11[1.1]/5,500 燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉 始動方式★ セルフ式 点火装置形式★ フルトランジスタ式バッテリー点火 潤滑方式★ 圧送飛沫併用式 燃料タンク容量(L) 5.6 クラッチ形式★ 湿式多板コイルスプリング式 変速機形式 常時噛合式5段リターン 変速比 1速2.846 2速1.777 3速1.315 4速1.034 5速0.843 減速比(1次★/2次) 3.040/2.642 キャスター角(度)★ 25° 00′ トレール量(mm)★ 82 タイヤ 前:120/80-12 65J 後:130/80-12 69J ブレーキ形式 前:油圧式ディスク(ABS) 後:油圧式ディスク 懸架方式 前:テレスコピック式 後:スイングアーム式 フレーム形式 バックボーン