【税込み89万円】値段は高い、でもその性能には超納得でした!|排気量125ccの本格派デュアルパーパスは希少な存在、ファンティック・XEF 125

コンペティションモデルを思わせる精悍なフォルムは、本格派の香りが漂う。立派なサイズ感を始め各部の仕上がりは市販レーサーに近い。車体は基本的に兄貴分のXEF 250 Trailと共通。しかし125は初心者にも優しい乗り味を披露した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●モータリスト合同会社

ファンティック・XEF 125…….890,000円

ブラック/イエロークラシック

レッド/ホワイト/ブラック

 CABALLEROの投入で50年振りのブランド復活を果たしたイタリアのファンティック。現在日本市場には50cc~500ccまで、5つのカテゴリーに分かれて全14機種が販売されている。
 今回の試乗車はエンデューロ・カテゴリーにある3機種の中間に位置するXEF 125。兄貴分の同250 Trailと弟分のXE 50、そしてモタード・カテゴリーのXMF 125及びXM50の5機種は、全長とホイールベースがいずれも共通。つまり基本的に同じフレームで造られているのが特徴である。
 コンペティションマシンは別として、現在国内4メーカーに原付二種(125cc)の同様なモデルは見当たらず、唯一輸入車でアプリリアのRX 125がある程度。ファンティックXEF 125は昨年投入された新型で、このタイプのカンフル剤になるか期待値は大きい。ちなみにイタリア本国のXEF 125にはPerformance及びCompetitionとネーミングされたふたつのグレードが存在するが、日本に導入されているのは後者の方。
 アルミスイングアームやアルミ製ハンドルの採用。ステアリングブラケットにはコンピュータを駆使した削り出し部品を、またフロントフォークのボトム部にはアルミ鍛造部品を使用。リヤショックはビギーバックタイプとなりマフラーも異なっている。結果的に乾燥重量で4kg軽い108kgに仕上げられているのが見逃せないところ。つまり日本市場向けには吟味されたアルミパーツを奢る、上級グレードが投入されているわけだ。
 日本での呼称はシンプルにXEF 125だが、スイングアーム部にCompetitionの文字がそのまま残っている。

 クロームモブデン鋼のスチール製ペリメター(セミダルブクレードル)フレームには、水冷4ストロークの単気筒エンジンを搭載。バルブ駆動方式はSOHCでローラーロッカーアームを介して4バルブを駆動する。ボア・ストロークは52×58.7mmのロングストロークタイプで、Variable camshaft timing(可変バルブタイミング)機構が装備されている。
 余談ながらヤマハの原付二種スクーター5機種の内、上級3車に搭載されているBLUE COREエンジンのボア・ストロークと共通。ヤマハにはVVA(バリアブル・バルブ・アクチエーション)と呼ばれる可変バルブシステムが装備されているが、XEF 125も同様に低速用(ローカム)と中高速用(ハイカム)ふたつのカムプロフィールを使い分ける事で、それぞれの領域に相応しい出力特性が巧みにミックスされて、全回転域にわたって優れた出力特性を発揮する。
 
 ひと目見て足の長い前後サスペンションは競技用モデルに匹敵する本格的なストロークと高いロードクリアランス(最低地上高)を誇っている事がわかる。
 主要諸元の車体寸法データに着目すると、兄貴分の同250 Trailと共通だが、試乗車に関してはステアリングのアッパーブラケット部に着目するとφ41mm倒立式フロントフォークが突き出し固定されている。一方リヤのモノショックは、ボトム側ピボット部の取付孔が2箇所に開けられていて、試乗車は上側に取り付けられていた。この結果15mmのローダウン化が図られている。フロントの突き出しをゼロにし、リヤショックボトム側ピボットの下孔に取り付けると標準の諸元となるわけだ。250 Trailのリヤショックはボトム側ピボット部の取付孔は1箇所のみ。ローダウンセッティングを可能としているのは125ならではの配慮である。           
 サイドスタンドは標準のままで、特にローダウン専用のスタンドが用意されているわけではない。標準時でもローダウン時でも双方で使える様に、ローダウンのレベルをそれほど欲張らなかったと思われる。
 ちなみに車両価格は890,000円、125ccのバイクとしてはかなり高価。その事からもサスペンション等、オフローダーとしてのポテンシャルは競技用マシンレベルの仕上がりが期待できそうである。

少しのローダウンに優しさが感じられる。

 試乗車を目前にすると、前後タイヤと同フェンダーとの間隔やロードクリアランスの大きさ、そして大きく跳ね上げられるサイドスタンドの存在が、いかにも本格派ヨーロピアンオフロード車らしい。
 一目瞭然の足(前後サスペンション)の長さや細く長いタンクシートの形状は、競技用のエンデューロマシンを見るようなフォルムである。腰高で車体サイズ的にも大きく立派。またヘッドランプやウインカーはフロントフォークにゴムバンドで固定される方式で、簡単に脱着できる。モトクロスコース等で楽しむ、ランドスポーツマシンとしても使いやすくデザインされている。

 驚くべきは、ハンドルに手を触れた瞬間にわかる車体の軽さ。これは大きなチャームポイント。シートに股がる時、車体を引き起こしてサイドスタンドを跳ね上げる時等、一連の動作が軽々と扱えてしまう。
 今回の試乗は、XEF 250 Trailとの乗り換え比較ができたが、125の軽さとそこからくる親しみやすさは格段の違いが感じ取れた。しかも試乗車はローダウン仕様。詳しくは足つき性チェックの写真をご確認頂きたいが、シート高が15mm下がっているだけで、爪先立ちとなる250と比較して、125は指の付け根で地面を踏ん張れ、平地舗装路なら乗車したまま前後に押し引きする操作も楽にできる。感覚的には30mmぐらい低く感じられ前述の軽快さと相まってとてもフレンドリー。

 実際、狭い林道へ入って行っても、本格派サイズのオフロード用モデルの割に、自由自在に扱え、ウキウキと楽しい気分になれる。 前述の通り何かの時にバランスを回復する(保つ)ためにポンと片足で地面を叩く(着く)時にも125ならそれができやすく、その分安心感が高いのである。
 一方、マディな路面に突如現れる岩盤に乗り上げる様な時でも衝撃の吸収具合が絶妙。またちょっとしたギャップでジャンプしても着地でライダーに伝わるショックは思いの外少なく済んでしまう。
 そもそも林道レベル(筆者レベル)の走りで遭遇するギャップには、オーバースペックと思える程にサスペンション性能は充実している。タイトコーナーや路面にあるウネリの連続でもなかなか小気味よく鋭い操縦性を素直に発揮。その走りは常に落ち着いていたのである。
 
 エンジンのパワーフィーリングは一般的なレベルで、特別なパンチ力は望むべくもないが、低速でトロトロと進む様なシーンでも柔軟な粘り強さを発揮する出力特性は優秀。そこからの立ち上がりには十分に太いトルクと共に吹き上がりはスムーズ。それゆえ右手のスロットルワークは、マディーな路面でも扱いやすい。
 装着タイヤは、ミシュラン製TRACKER。間隔の空けられたブロックパターンのオフロード用タイヤは、舗装路ではロードノイズが大きめ。しかし舗装路を離れたところでのグリップ力と安心感は大きいのである。

 バイクを上手に扱う基本テクニックを身につけるにはオフロードで遊ぶのが良いと言われているが、本気でオフロードの楽しみ方とライディングテクニックをマスターしていきたいオフ・フリークにはなかなか見逃せないチョイスとなると思えた。価格的にかなり贅沢な一台である事は間違いないが、入門機として付き合い始め、やがてはモータースポーツへの参戦まで、あらゆるシーンで活用できるモデルとして、そのポテンシャルの高さは侮れないのである。

足つき性チェック(ライダー身長168cm / 体重52kg)

基本的な車体寸法はXEF250 Trailと共通だが、XEF125は前後サスペンションの取り付け位置が変更されてローダウンされていた。シート高は900mm(標準は915mm)ご覧の通り両足の踵は浮くが足つき性は良い。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…